能登半島地震の死因で最も多かったのは、建物の倒壊による「圧死」で全体の約4割です。住宅耐震化の重要性が浮き彫りとなりました。区議団は震災時に自宅が安全な場合、自宅での生活を継続する在宅避難の重要性を周知し、支援や啓発に取り組むよう求めました。
在宅避難の際は、自宅が安全な場所である必要があり、区では4月から木造住宅耐震化支援の対象を拡充しました。区議団は代表質問で、住宅耐震化をさらにすすめるよう求めました。
区は「令和7年度末までに住宅の耐震化率95%以上を目標に取り組みをすすめている。合わせて4月から支援の拡充対象となる木造住宅についても具体的な目標数値を定め計画的に取り組みを進める」と答弁しました。
3月から、区内全世帯及び全事業所に在宅避難啓発冊子が配布されています。区内95ヶ所の指定避難所における受け入れ可能人数は最大で12万人。東京都の被害想定による発災4日から1週間にかけての避難者数は16万8千人余りです。約92万人の人口を擁する世田谷区で、希望者すべてを受け入れることはできません。しかし区が在宅避難を推奨していることの認知度は約3割にすぎません。
区議団は自宅が安全な場合は在宅避難が基本となることを、今年度配布する防災用品のカタログや区のホームページ、チラシなどで区民に周知する事を求めました。区は「危機感をもって周知啓発していく」と応えました。
日本共産党世田谷区議団は、令和6年度一般会計予算に賛成しました。今年度の予算は、震災から区民の命を守り、子ども・若者の教育費応援、生活困窮者対策の観点が反映されています。今後も、健全な財政力を生かし更なる福祉の増進に取り組むことを求めていきます。
●建築物耐震診断・補強工事[ 拡充]:新耐震基準で建てられ た木造住宅(S56 ~ H12建築)への助成
●避難所対策[ 新規]:災害対策基金を活用した避難者・在宅 避難者用備蓄物品の配備
●全区民に防災用品に特化したカタログギフトを配付
●脱炭素社会への取組み[ 新規]:エコ住宅補助金、電気自動 車用充電器設置
●大規模公園整備の取り組み:玉川野毛町公園、上用賀公園、 北烏山七丁目緑地
●中等度難聴者に対する補聴器購入費助成
●多様な学びの場や居場所の充実[新規]:学びの多様化学校 (不登校特例校)分教室「ねいろ」の指導体制の充実、区独自 の教員を配置。令和7年1月から給食提供を開始
●生活困難を抱える子どもと家庭への支援
[新規]:生活保護世帯出身の大学生等に対する給付型奨学金
[拡充]:生活困窮世帯等の子どもと家庭を支える学習・生活
支援の拠点事業「まいぷれいす」(2ケ所目)
世界ではロシアによるウクライナ侵略、イスラエルのパレスチナ・ガザへの攻撃がいまだに続き、国内では岸田政権がわずか5年で軍事費を2倍化、歴代政権が禁じてきた敵基地攻撃能力の保有を一片の閣議決定で決め、「平和国家」の根幹を揺るがす殺傷兵器の輸出推進に踏みだすなど、平和に対する深刻な逆流が起きています。
代表質問で、ASEAN(東南アジア諸国連合)が長年の徹底した対話の努力の積み重ねで世界でも最も成功したといわれる平和の共同体に発展したことを紹介。保坂展人区長に、平和を軸とした国内外の自治体間の対話の習慣を深める取り組みを行うことを求めました。
区長は「自治体間の対話は大変重要である。…国内外の自治体がつながり、声をあげ、平和を実現する。この事は最重要の課題だ。昨年私は平和首長会議の国内加盟都市会議総会で世田谷区の平和都市宣言や平和資料館をはじめとする区の平和の取り組みを各自治体に紹介した。…様々な場面で平和に関する対話を活発に行っていきたい」と答弁しました。
米軍や自衛隊基地の「機能を阻害する恐れ」のある行為を禁止し、基地などの周辺を「注視区域」と指定する「土地利用規制法」。国の審議会が自衛隊三宿駐屯地の衛生研究所、用賀駐屯地の周辺1kmを法が定める「注視区域」の候補地にあげました。
「機能阻害行為」の詳しい規定はなく、デモや座り込みも対象になるかもしれません。国は「注視区域内の土地等の利用状況を調査する」とし、自治体も調査に動員されます。国は際限ない国民監視と抑圧の体制を作ろうとしています。
区議会で区民に対する説明と「注視区域」指定撤回を国に求めるようただしました。保坂区長は「区域指定にどのような合理性があるのかの説明、および、自治体に事前に相談すること、周知や区民からの問い合わせに丁寧な対応を求めたい」と答弁しました。
残業時間増、若手の退職増、募集をかけても人が集まらない…区役所の職場が多忙化し、人手不足が深刻になっています。
これに対し区は、業務のアウトソーシングや民営化などでしのごうとしていますが、これで良いのでしょうか?
自民党政治のもと、全国の公務職場で人件費カットが進められてきました。人員削減と非正規労働の増加、民間委託・民営化により、賃金の低下、公的責任の放棄と行政サービスの質の低下、官製ワーキングプアが作られてきました。世田谷区も過去の公務員削減の影響で40代の職員が極端に少なくノウハウの継承に課題が出る、非正規雇用が半数に迫るなどの問題が出ています。
東京都は非正規職員のスクールカウンセラーの契約更新を5年でやめる大量の「雇い止め」を行なっています。
世田谷区では95名の東京都配置カウンセラーのうち72名が雇い止めとなり、応募しなおし、20名が入れ替わりました。10年以上働いている方も少なくなく、ベテランを失うことで支援の質の低下につながります。
日本共産党は、コストカット型経営を脱却し、正規雇用を増やし必要な人員を配置することや、区が区民のためになる仕事を進め、公務員の仕事の専門性や魅力に光を当てて、区役所を魅力的な職場にしていくことを提案しています。
高齢者にとって、住まいの問題は深刻です。民間のアパートやマンションの多くは、高齢だというだけで貸してくれません。なぜ高齢者に貸したくないかというと、「居室内での死亡事故等に対する不安」が大きいといわれています。
区議会質問では、見守りの体制を整えるなど、高齢者に貸し出せる物件を増やすこと、高齢者の住宅問題の解決のために公営住宅の新たな整備を、と求めました。
区は「安否確認と原状回復費用の補償がセットになった見守りサービスについて、初回登録料を賃借人に補助する制度を実施しているが、今後は…普及啓発に取り組むなど、高齢者が安心して暮らせるための支援を推進していく」と答弁。
また、公営住宅の果たす役割は重要であるとの認識を示した上で、高齢者の居住を支援するため、「都営住宅の移管受入れ」「既存区営住宅の改築に合わせ住戸数を増やす」「都営住宅や東京都住宅供給公社の住宅建て替え時には、戸数を増やす要望をする」と答弁しました。引き続き、安心して住み続けられる住まいの確保を求めていきます。
奨学金は、国民の教育を受ける権利を保障するため、若者の借金となってしまう貸与制でなく、給付制とすべきです。
世田谷区は、親族からのサポートがなく、精神的にも経済的にも厳しい児童養護施設出身者を応援するため、返済義務のない奨学金を給付してきました。
区議団は、この制度の拡充を求めてきましたが、今年度から大学進学率が著しく低い生活保護世帯出身の若者を対象に、大学等への進学支援及び中退防止を目的とした給付型奨学金が実施されることになりました。
対象者:区内の生活保護世帯出身の大学生(大学、短期大学、高等専門学校、専門学校)等高等教育進学者
給付内容:学費(上限50万円)、教材費・通学交通費(実費)※中途退学した場合も返還不要
車椅子を利用する方から、バスでの移動は困難が多いとの切実な声が寄せられています。
車椅子でバスに乗る時は、運転手が後部乗降口に歩道との段差を解消するスロープ板を置き、その後乗降します。歩道が車道から高くなっている停留所では板の勾配もなだらかなので安心して乗降できます。そもそも、歩道がなく路肩のみの停留所では車椅子の乗降ができません。
予算特別委員会でユニバーサルデザインのバス停整備を求めました。区は、「バス停留所の歩車道段差を国のガイドラインを参考に15cmに改修していく方向で検討する」と答弁しました。
「世田谷一家殺人事件」から23年、警察関係者の方々の懸命な捜査にも関わらず今なお未解決のままであり、一刻も早い解決を願うことは当然です。しかし、自民党などから提案された意見書案は、DNA情報の操作への活用拡充、プライバシー保護の法整備もされてないまま運用されてい る警察庁のDNAデータベース拡充など求めています。DNA情報を扱うための国民的な議論と法整備の促進こそ求められます。
世田谷区役所新庁舎1期棟・区民会館が完成しました。
世田谷区役所本庁舎と区民会館は、約60年前に建てられたもので、老朽化と狭隘化が著しいことから、災害対策や区民サービス、区民活動の拠点の整備に向けて、改築・改修を進めています。
大成建設による施工計画や施工管理の検証不足で、工事が大幅に遅れました。工期延伸に係る違約金等の合意が大成建設との間で成立しましたが、最終竣工まで、まだ5年ほどかかります。
区議団は新庁舎に、「世田谷区平和都市宣言」を、平和が脅かされている今こそ広く区民に知らせるために、モニュメントなどの設置を求めています。
区は、整備や維持管理に多額の経費を要すこと、猛暑や豪雨 (雷)などにより水泳授業の計画的な実施が難しいことを理由に、学校プールの共同利用方針を取りまとめました。内容は、7つの 小中学校を拠点校として、それぞれ徒歩15分圏内の3~4校でプールを共同利用するものです。共同利用校の水泳授業は「民間委託を基本とする」としています。今後、学校改築に合わせ拠点校 に簡易温水プールを設置し、共同利用校のプールをなくす計画です。(表参照)
教員からは、「小学校低学年を夏の暑い中歩いて安全に移動させる大変さをわかってほしい。水泳指導はただ泳ぎを教えるだけではなく、子どもの心身の成長・発達を確認できる場である。 それが委託で良いのか!」など、怒りの声が寄せられています。
区議団は、子どもへの教育効果、安全性などを最優先に、プールの自校設置を維持することを求めました。
区は、「移動中の安全確保について十分に配慮して進める」、委託について、「仕様書の作成の際には、学校や教員の声を十分に聞き取る」と答弁しました。
最初の例となる奥沢中学校では、簡易温水プール設置を含む改築計画(29年度に完成予定)が進んでいます。教員の意見を聞き、子どもへの教育効果、安全性などを最優先に検証し見直すことを今後も求めていきます。