一般質問 令和5年06月15日定例会

2023/06/15

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質問

インボイス制度について

川上こういち 議員

 通告に基づき、質問します。

 インボイス制度について伺います。

 今年十月一日に導入が予定されているインボイス制度により、これまで消費税納入の義務のなかった売上高一千万円以下の区内中小業者や個人事業主が課税事業者にならざるを得ない状況に追い込まれます。免税事業者のままでいることを選択しても、取引先が課税事業者の場合、インボイスがなければ仕入れ額の分の消費税が控除できないため、インボイスの登録を求められたり、取引から排除されたり、消費税分の値下げを求められたりするおそれがあります。政府・与党が検討している激変緩和措置も、免税事業者に新たな納税負担をかけ、事業の継続を困難にする問題を解消するわけではありません。制度をさらに複雑にする点でも激変緩和になりません。

 インボイスは、この不況の下で消費税の大増税をしようという話にほかなりません。アニメ、声優、漫画家、演劇のエンタメ四団体が行ったアンケートでは、インボイス制度が始まったらあなたの仕事は増減すると思いますかの問いに対し、それぞれの業界で二割から三割程度の人が廃業するかもしれない、廃業を決めていると回答しています。五月の企画総務常任委員会で、インボイス制度の見直しを国に対し求める陳情が出されました。昨日六月十四日には、国会正門前をはじめ全国二十か所でインボイス制度の導入中止を求める、「増税もう無理!!STOP!インボイス全国一揆」が開催されました。

 地域経済や文化を支える区内中小業者や個人事業主、フリーランスの生活となりわいを奪い、廃業に追い込んでいいのか。日本共産党は、インボイス制度の中止を求めています。

 インボイス導入後の区内中小業者や個人事業主への影響を区長はどう考えているのか、認識を伺います。

 区長会で区内業者の声をしっかりと届け、議論すること、国に意見を上げることを求めます。見解を伺います。

区内事業者支援について

川上こういち 議員

 次に、区内事業者支援について伺います。

 五月の区民生活常任委員会において、七月一日から実施されるせたがやPayによる消費喚起キャンペーンへの支援拡充が報告されました。現在、せたがやPayの加盟店数は四千四百六十六店、加盟店からは、せたがやPayによって売上げが上昇したとの声があり、地域経済への物価高騰の影響が続く中、区内の消費喚起策、個店支援に寄与していると評価します。

 今般の支援内容は、ポイント還元率が商店街に加盟している中小個店は二〇%、商店街に加盟していない中小個店は一五%、コンビニエンスストアなどの準大型店は一〇%と、それぞれ現行より拡充が図られるというものです。

 しかし、商店街に加盟しているか、いないかでポイント還元率に差をつけることは、加盟していない中小個店に対しペナルティーを課すようなものです。商店街への加盟店の拡大はそれぞれの商店街での取組であり、商店街に加盟していても、していなくても、中小個店が地域経済を支える担い手として大きな役割を果たしていることは変わりがありません。

 ポイント還元率を商店街加盟店と商店街非加盟店で差をつけることについての根拠を伺うとともに、区の事業で行うものに商店街加盟の有無で差をつけるべきではありません。見解を伺います。

 せたがやPayは、消費者が商品を購入する小売商店には恩恵がある一方、商店やスーパーなどを相手とする仕入れ業者など、顧客が事業者という場合にはせたがやPayを活用できない課題があり、我が党は、こうしたところへの支援の検討が必要だと訴えてきました。

 せたがやPayでの事業者間決済の検討を進めていると聞いています。その進捗状況と、このことで区内事業者にどのようなメリットがあると考えているのか、見解を伺います。

 世田谷区産業振興公社での総合経営相談は、区内中小事業者を対象に資金繰りや経営改善、販路開拓など、課題に応じて無料で中小企業診断士などによる相談を受けられるもので、令和三年には七百六十件、令和四年は八百四十件の相談が寄せられたと聞いています。今後、長引く物価高騰やインボイス制度導入が予想される中、このような区内中小事業者の営業を守り抜くための力となる相談事業は引き続き重要だと考えます。

 多くの区内中小事業者の困り事の把握、区の事業の活用へとつながるよう、周知、普及をさらに進めることを求めます。見解を伺います。

 区は、区内事業者の実態調査の実施を予定しています。地域に貢献してきた区内事業者の商売を続ける生の声がしっかりと反映される調査を求めます。単なる統計ではなく、地域経済、区民生活、区内事業者の営業を守る視点に立った経営状況が把握できるような実態調査が必要です。見解を伺います。

上用賀公園拡張計画におけるスポーツ施設整備について

川上こういち 議員

 続いて、上用賀公園拡張計画におけるスポーツ施設整備について伺います。

 五月の区民生活常任委員会などで上用賀公園拡張事業基本計画(素案)が示されました。これまで、区では基本計画の策定に当たり四回にわたるテーマ別のワークショップや拡張計画地のオープンパーク、拡張計画地周辺の区民に対してのアンケート調査や意見交換会を実施してきました。参加と協働でこの計画を進めてきたことを評価します。この計画の中には、エントランスゾーン、みどりと広場ゾーン、スポーツゾーンと分けられ、スポーツゾーンにはスポーツ施設の配置が示されています。

 かつて上用賀六丁目には、区内高齢者の憩い、コミュニティーの場として親しまれていた区立老人休養ホームふじみ荘があり、私は利用者の方、地域住民の方とともに、ふじみ荘の廃止中止を求める署名運動に取り組み、七千五百筆を超える署名が寄せられました。ふじみ荘で知り合いに会えることやお風呂に入ることを楽しみにしている、なくさないでほしいと話しながら署名に応じる方の声をたくさん伺ってきました。ふじみ荘の廃止後は、近隣には銭湯がないこともあり、これまでふじみ荘が担ってきた居場所としての機能や温浴施設の設置を上用賀スポーツ施設につくるよう要望してきました。

 そこで伺います。上用賀スポーツ施設に温浴施設の設置と、多世代が憩える居場所としての役割を果たす施設づくりを求めます。見解を伺います。

玉川野毛町公園拡張事業における整備・運営手法について

川上こういち 議員

 最後に、玉川野毛町公園拡張事業における整備・運営手法について伺います。

 区は、令和三年五月に玉川野毛町公園拡張事業の基本計画を策定した後、区民発意の活動を現地で行い、設計や今後の活動に反映させ、試行錯誤を繰り返しながら、公園の未来像を描く取組である玉川野毛町パークらぼを開催しながら、公園基本設計の検討を進め、令和五年に玉川野毛町公園拡張事業基本設計を策定しました。パークらぼでは、活動をやってみるアクティブDAY、公園の形を考えるデザインDAY、予定地を一般公開し、広く活動やデザインを区民と検証するオープンパークを延べ約六千二百人の参加で行い、五月二十一日には、今後の玉川野毛町パークらぼの取組を描くキックオフミーティングが開催されました。区民参加の協働の公園づくりを進めてきたことを評価します。

 公園内には飲食や物販などの便益、サービスの拠点となる施設を設置するとしており、既に民間活用の導入に向けたサウンディング調査が実施され、パークPFIの事業手法を用いることが検討されています。パークPFIは、都市公園内で飲食店などの公園施設を設置、管理する事業者を公募で選び、その収益を公園整備に還元するというものです。公募対象公園施設には、都市公園法の特例措置として、当該都市公園の敷地面積に対する建蔽率が最大一二%まで認められます。

 しかし、ここにパークPFIの手法を導入する必要があるでしょうか。基本設計図によると、便益、サービスの拠点となる施設の規模は、建築面積約四百平方メートル以下、二階建て以下となっています。大きな施設ではなく、収益が出るとしても僅かであり、公園整備に使える収益は一部にとどまることが考えられます。パークPFIを用いずに、従来手法での整備を進めることを求めます。

 玉川野毛町公園の便益、サービスの拠点となる施設の運営をなぜパークPFIで行う必要があるのか、見解を伺います。

 従来手法を用いて、区の責任でしっかりと管理を行うことを求めます。見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

有馬 政策経営部長

 私からは、インボイス制度についてお答えいたします。

 インボイス制度については、区は税務署からの要請に基づき、区ホームページにおける説明会の日程周知や国税庁ホームページへのリンクの掲載、区報への記事掲載やまちづくりセンター等でのチラシ、ポスター掲示など多様な周知に協力をしているところでございます。さらに、昨年十二月に、区では、制度の実施により大きな影響を受けるとされている中小零細企業やフリーランスの方々に本制度に対する受け止めを聞く区長との意見交換会を実施しております。その中では、課税計算をするための事務負担の増や、税制度そのものの周知不足、取引関係における不安などについての御意見が多かったものと認識しております。

 区としましては、物価高騰などにおける中小零細企業等の状況を注意深く見守っていき、国や都の施策も含め適切に対応していくとともに、このような事業者の現状を、またその対応を含め、区長から特別区長会に対し伝え、問題提起することで議論が深められるよう取り組んでまいります。

 以上でございます。

後藤 経済産業部長

 事業者支援について、四点御答弁申し上げます。

 まず、せたがやPayについて二点御答弁申し上げます。

 一点目、消費喚起キャンペーンでの商店街加盟の有無による還元率の差についてでございます。世田谷区地域経済の持続可能な発展条例においては、事業者の責務として、商店街への加入に努めるとともに、その事業に協力することを位置づけております。商店街は、商業振興の場としてだけでなく、地域のにぎわいや交流の場として、また、街路灯や防犯カメラ、AEDの整備等の安全安心の取組など、まちづくりの中心的な役割を担っていただいております。一方、商店街組織に加入しない新規出店者等も増えており、商店街が引き続き、地域コミュニティーの核としてその役割を果たせるよう、商店街自身の努力に加えまして、区としても商店街への加入を促進しているところでございます。

 こうした観点から、せたがやPayの実施主体である商店街振興組合連合会と協議し、商店街未加盟店が商店街組織に加入するに当たっての魅力、インセンティブの一つとして、今回の還元率を設定したところでございます。店舗における還元率が異なっても、個々の消費者に対する還元ポイントの上限総額は同じでございまして、ポイントは大型店を含めたせたがやPay加盟店であればどこでも使用可能です。したがって、区民生活を下支えする総合的な目的を損なうものではないと認識しているところでございます。

 二点目、事業者間決済についてでございます。せたがやPayでの事業者間決済につきましては、既に機能の改修自体はおおむね完了しており、今後、実際に事業者の方に御活用いただくに当たって、より分かりやすく使っていただけるよう調整を図っているところでございます。事業者間決済によって、せたがやコインによる区内事業者間での仕入れ等、商取引の拡大につながり、区内での経済循環が促進されることで持続可能な地域経済が推進されるものと期待をしているところでございます。

 また、区内事業者のメリットとしては、決済がせたがやコインによる店舗間での流通であることから、せたがやPayでの売上げを換金する際に生じる手数料がかからないという点などが挙げられます。この点も含めて、先行事例でもある木更津市のアクアコイン等も参考にしながら、実施主体の商店街振興組合連合会と連携して、早期に事業者の皆様に御利用いただけるよう進めてまいります。

 続きまして、総合経営相談の周知、普及についてでございます。

 総合経営相談は、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者の方々の課題解決に向け、中小企業診断士、社会保険労務士等の専門家によるワンストップでの相談を行うという趣旨の下、令和二年七月に世田谷区産業振興公社に委託して開設をしたものでございます。

 経営相談の周知は、主に区及び産業振興公社のホームページ、「区のおしらせ」、パンフレット、チラシ等を中心に行っております。今年度は、過去に融資を受けた事業者等に対する案内の送付、区内金融機関への案内及び周知の協力依頼を始めたほか、融資を受けた事業者の方々に中小企業診断士が直接働きかけることも検討しているところでございます。

 今後、さらに周知方法に工夫を図り、事業者の困り事や求める支援を把握し、多くの事業者の事業経営等に役立つ経営相談体制を整えてまいります。

 最後に、経営状況が把握できるような実態調査について御答弁申し上げます。効果的な経済産業政策を展開していくためには、区内事業者の経営状況や抱える課題等、実態に関する情報を把握することが重要と認識してございます。

 このため、区においては約二万七千の区内事業者を対象に、経営状況や課題、今後の方向性等に関するアンケート調査を本年七月頃より行う方向で準備を進めております。アンケート調査の結果を集計、分析することで区内事業者の方々の置かれた状況などをより精緻に把握し、それらを踏まえた上で、豊かな区民生活の実現などの視点も捉え、今後の経済産業政策の企画立案に生かしてまいります。

 以上でございます。

大澤 スポーツ推進部長

 私から、上用賀公園拡張事業について御答弁いたします。

 上用賀公園拡張事業につきましては、現在、基本計画の策定に向け検討を進めており、今般、施設整備のコンセプトや施設計画などについて基本計画素案としてお示しをしたところでございます。

 昨年度、実施しましたワークショップやオープンパークでは、スポーツ施設に求める機能として、温浴施設やシャワー施設、また、多世代が交流できる場や健康づくりの場を通したコミュニティーづくりにつながる場にしてほしいなどの御意見をいただきました。こうした御意見等を参考に、多世代の交流が生まれる空間、人と人がつながる、個々の世界が広がり人生がより豊かになるなど、つくる、つながる、ひろがるのコンセプトや体育館における浴室などの諸室を示した施設計画を取りまとめたところでございます。

 今後、実施予定の住民との意見交換での意見なども参考に、整備コンセプトに基づいた施設計画等について、さらに検討を重ねてまいります。

 私からは以上です。

釘宮 みどり33推進担当部長

  私からは、玉川野毛町公園の便益、サービスの拠点におけるパークPFIの活用についてお答えいたします。

 玉川野毛町公園拡張事業は、令和三年九月にスタートさせたパークらぼなどでの区民意見の集約や事業者へのサウンディング調査などを経て令和五年三月に基本設計を策定したところでございます。

 お話にありましたパークPFIは、これまでの設置管理許可の期間が十年だったものが最大二十年になるなど事業参入がしやすい制度となっております。区で実施したサウンディング調査でも、長期間にわたる出店により、長い目で見た収益を公園整備に還元しやすいとの御意見もいただいております。今年度は、便益、サービスの拠点の施設を整備、運営する事業者の公募を予定しており、公園のにぎわいや防災機能のほか、地元野菜の販売、買物不便地域の解消など、地域課題の改善や地元要望も踏まえ、どのような公共貢献ができるか、民間の創意工夫による提案を募ります。

 区といたしましては、パークPFIの活用がさらなる公園の魅力向上と、公園運営費の一部に寄与する税外収入の確保につながるものと考えており、引き続き、地域や公園利用者に愛され、区民の福祉向上に資する協働による公園づくりに鋭意取り組んでまいります。

 以上でございます。

再質問

川上こういち 議員

 インボイスについて、一点再質問を行います。

 区長は昨年十二月に意見交換会を実施されたという答弁がありましたけれども、五月の企画総務委員会でのインボイス制度の見直しを国に対し求める陳情で語られた陳情者の方々の切実な声を聞き及びでしょうか。そして、やはりインボイス実施が近づくにつれて、この制度にどう対応しようかということを超えて、本当に廃業まで追い込まれてしまうのではないかと、そこまで強い不安を持っている事業者がやっぱり多く生まれているというのが状況だと思います。

 改めて、区長に区内事業者の実情を直接聞いていただきたいと思います。区長の認識を伺います。

再答弁

保坂 区長

 川上議員の再質問にお答えいたします。

 昨年十二月十九日に、商店街であるとか工業会、あるいは建設産業、また、フリーランス協会の皆さんから、まとまって、このインボイス制度についてのお話を聞きました。準備を進めているある程度の規模の法人もありますし、ただ、やはり個店であるとか、フリーランスの皆さんの中には、本当にどうなっているか分からないし、どう対応しようかという悩まれている声も聞きました。

 今年五月における陳情においても、フリーランスの方々や中小零細企業の皆さんのインボイスに対する御意見、また、お仕事を通して感じる不安などをお聞きしています。

 双方どちらでも語られた周知不足による制度への不安、また、御自身の選択ができないということで、課税事業者となった場合の生活への不安などについて、国の制度ではありますが、その国の制度自身が十分伝え切っていない、あるいは、その現場からの声というものがこのように浸透し切っていないし、また矛盾もあるということを受け止めて、早い段階で特別区長会で意見を言うべく準備をしていきたいと思います。問題提起をして議論が深められるよう取り組んでまいります。

川上こういち 議員

 早い段階で準備をしていくと御答弁がありました。ぜひ区内業者の声をしっかりと区長会で上げていただきたいことをお願いをいたしまして、質問を終わります。

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