代表質問 令和6年02月20日定例会

2024/02/20

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質問項目

答弁 >>

 

質問

震災対策について

川上こういち 議員

 日本共産党区議団を代表して、質問を行います。

 今年一月一日午後四時十分に、石川県能登地方を震源とする最大震度七の地震が発生しました。津波警報も発令され、日本海側の広い範囲に津波が到達しました。能登半島地震で亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。自らも被災しながら懸命の救援活動を行っている地元自治体をはじめ、関係者の方々に心からの敬意と感謝を申し上げます。

 今日、二月二十日で能登半島地震発生から五十日がたちました。石川県ではこれまでに二百四十一人の死亡が確認されました。死因で最も多かったのは圧死で、全体の四一%に上ると報道されています。次いで窒息二二%、低体温症が一四%となっています。倒れた家屋の下敷きになり、身動きが取れず、凍死に至る。住宅の倒壊が人的被害を拡大させた大きな要因となったことが浮き彫りとなりました。倒壊が多い地域での耐震基準を満たした割合、耐震化率を見てみると、住宅被害が多かった輪島市と珠洲市では、二〇一八年度の時点でそれぞれ四五%と五一%にとどまっています。

 いつ起きるか分からない首都直下地震から家屋の倒壊を防ぎ、区民の命や健康、財産を守るための住宅の耐震化を進めることは、喫緊の課題となっています。

 世田谷区はこの間、震災時の避難行動として在宅避難の重要性を周知し、そのための体制支援や啓発に取り組んでいます。避難所へ避難せずに自宅での生活を継続する在宅避難をする際は、自宅が安全な場所である必要があります。

  区は四月から、木造住宅耐震化支援事業の対象を、一九八一年五月までに着工された旧耐震基準の木造住宅から、二〇〇〇年五月までに着工された新耐震基準の木造住宅に拡充します。このことは積極的であり、評価します。しかし、旧耐震基準でいまだ耐震化が進んでいない住宅が、令和二年度末現在、三万一千七百九十六戸も残され、新耐震基準での推計、約一万七千戸と合わせると、約四万八千戸の住宅の耐震化が残されています。旧耐震基準、新耐震基準かかわらず、区民の震災に対する意識の高まりに応えた耐震化促進の取組が急務です。住宅の耐震化をさらに進めることを求めます。区の見解を伺います。

 世田谷区では、木造住宅の耐震化支援事業として、地震時に自らの安全を守るための場所や空間を確保できる耐震シェルター、耐震ベッドの設置費用の一部を助成する制度を実施しています。通常の耐震補強工事と比べ、比較的安価に設置することが可能であり、工事期間が短く、家の建て替えや引っ越しの場合でも再度設置し直すことができます。また、高齢者、障害者、要介護者等の方が住む住宅について、地震時の家具類の転倒、落下、移動から身を守る家具転倒防止器具の取付け支援を行い、地震の強い揺れを感知して電気を自動的に遮断する感震ブレーカーの設置を呼びかけるなどの震災対策を進めています。

 震災から区民の命を守るために、耐震シェルター、耐震ベッドの設置や家具転倒防止器具の取付け支援、感震ブレーカー設置をさらに進めることを求めます。区の見解を伺います。

自治体間の対話を広げ平和の構築を

川上こういち 議員

 次に、自治体間の対話を広げ平和の構築を求めて伺います。

 日本共産党は、今年一月に第二十九回党大会を開きました。百二年の歴史の中で初の女性委員長が選出されました。日本と世界の針路、党の未来にとって歴史的意義を持つ大会となりました。その中で、党代表団が昨年十二月にインドネシア、ラオス、ベトナムの東南アジア三か国を訪問したことについて報告がありました。この地域は、ASEAN、東南アジア諸国連合による平和の地域協力が進められており、日本共産党は、この取組を世界の平和秩序への貢献と位置づけています。

 ASEANは現在、地域内で年千五百回以上もの会合を行い、量とともに質も重視した、よい対話の習慣がつくられています。東南アジアもかつては戦争、紛争、対立が激しい地域でした。しかし、長年の徹底した対話の努力の積み重ねで、この地域を世界でも最も成功したと言われる平和の共同体に変えたのです。ASEANはこの平和の地域協力の流れを東アジア全体にも広げようとしています。東南アジアの平和と安定のためには、日本、中国、朝鮮半島、ロシアがある北東アジアの平和と安定が大切だと考えており、対話の習慣を東アジア全体に広げる努力を行っています。

 ロシアによるウクライナ侵略戦争とイスラエルによるガザ攻撃がいまだに続き、世界の平和に対する深刻な逆流が起こっている下で、日本が進むべき道は、戦争する国づくりではなく、ASEANと協力して、憲法九条を持つ日本が北東アジアで対話の習慣をつくって、戦争のない平和な地域にしていくために力を尽くすことが求められていると痛感した東南アジア訪問となりました。

 世田谷区は、戦後四十年の日に当たる一九八五年八月十五日に、国の内外に向けて平和都市宣言を行いました。宣言文には、「世田谷区は、平和を愛する区民の願いにこたえ、核兵器の廃絶と世界に平和の輪を広げていくことを誓い、ここに『平和都市』であることを宣言する」と書かれています。自治体の役割は、戦争そのものを起こさない努力を続けることであり、世田谷区からASEANのような国内外の自治体との平和の輪を広げる対話の習慣づくりを進めていく必要があるのではないでしょうか。

 区長は、平和首長会議や全国首長九条の会など、幅広い場で平和の発信を行っています。平和を軸とした国内外の自治体間の対話の習慣を深める取組を行うことを求めます。区長の見解を伺います。

企業・団体献金と民主政治について

川上こういち 議員

 次に、企業・団体献金と民主政治について伺います。

 自民党の政治資金パーティーをめぐる巨額の裏金事件は、主要派閥がそろって政治資金収支報告書を偽造していた、自民党ぐるみの違法行為です。裏金が何に使われたのか、いつからシステム化されたのかなど、全容解明が不可欠です。確定申告が始まりましたが、裏金を受領した議員は領収書なしで逃れられるのに、真面目に確定申告するなんて納得できないと怒りの声が上がるのは当然です。

 後を絶たない政治と金問題の根源にあるのが、企業・団体献金です。営利を目的とする企業や業界団体が政党、政治家に献金するのは、見返りを求めるためです。財界、大企業の利益のために政治がゆがめられる。金権腐敗政治を一掃するためには、全面禁止が欠かせません。

 日本共産党は、企業、団体による寄附を禁止し、政治資金パーティー収入も寄附とみなすことで、企業、団体によるパーティー券購入を禁じる企業・団体献金全面禁止法案を国会に提出しました。しかし、岸田首相は、企業にも政治活動の自由があるとして、企業・団体献金禁止に背を向けています。企業が献金によって行う政治活動とは、金の力で政治を動かそうという利権政治そのものです。国民が一票を投じて政治に参加する、これが議会制民主主義の大原則です。政治資金規正法は、政治資金について、「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財である」としています。主権者である国民一人一人の自覚的な献金を政治資金としてこそ、健全な民主政治の発達がもたらされると考えます。

 企業・団体献金についての区長の見解を伺います。

区政運営の基本姿勢について

川上こういち 議員

 次に、区政運営の基本姿勢について伺います。

 世田谷区は、区政運営の基本的な指針であり、区の最上位計画である世田谷区基本計画に掲げる目指すべき未来の世田谷の姿の実現に向け、持続可能な新たな行政経営への移行を着実に推進するため、新たな行政経営への移行実現プランの計画案を取りまとめました。この中で六つの改善の視点で挙げられた協働手法として、アウトソーシング手法を取り入れた業務構築を検討していくとしています。

 新たな行政課題や増大する業務量の対応に追われ、職員の確保も難しく、時間外勤務が増加する中で、少しでも業務負担を減らし、そのリソースを区民のための仕事に振り向けたいとのことですが、アウトソーシングはコストカット型経済の象徴です。公務の現場でも、歴代自民党政権が進めたコストカット型経済の手法により、人員削減と非正規労働の増加、民間委託、民営化が推進されてきました。これにより、賃金削減、公的責任の放棄と行政サービスの質が低下、官製ワーキングプアがつくられてきました。

 このことは経済の停滞をもたらし、先進国で唯一賃金が上がらない国となってしまいました。岸田首相は、昨年十月の国会の所信表明で、この三十年間、低物価、低賃金、低成長に象徴されるコストカット型経済を続け、人への投資や賃金、さらには未来への設備投資、研究開発投資までもがコストカットの対象とされ、この結果、消費と投資が停滞し、経済のさらなる悪循環を招いたとして、コストカット型経済からの完全脱却を言いました。

 しかし、賃金のコストカットのために、非正規雇用を四割にまで広げてしまった。企業の社会保険料のコストカットのために、医療、年金、介護など社会保障の連続切下げを進めてきた。企業の税のコストカットのために、法人税を大幅に減税し、その穴埋めに消費税の連続大増税を進めてきた。どれも財界の旗振りに従って自民党政治がやってきたことです。

 日本は、二〇二三年通年で、国際比較に使われる名目GDPの実額がドイツに抜かれ、世界四位に転落しました。コストカット型経済から抜け出すためには、三十年来の経済政策の大本からの切替えが必要です。今こそ、公務の現場から、コストカット型経済からの脱却を行うべきです。

 日本共産党は、人件費のコストカットとも言うべきアウトソーシングではなく、正規職員中心の雇用で必要な人員を増やして処遇改善を図ることを求めてきました。災害やパンデミックなどから区民の命を守る自治体の役割を果たすためにも、このことは重要だと考えます。

 区が進めるアウトソーシングについて、どこまでを公務で行うべきかを明確にすべきです。官製ワーキングプアを助長することにつながり、偽装請負の懸念もあります。区はこうした委託の弊害をどう認識しているのか、区長の見解を伺います。

 また、新たな行政経営への移行実現プラン案について、アウトソーシングで区民へのサービスが守られるのか、職員のノウハウの喪失や官製ワーキングプアを世田谷区から進めるつもりなのか、区の見解を伺います。

 世田谷区公共施設等総合管理計画一部改訂(第二期)(案)において、本格化する学校改築への対応や他の施設の適切な維持管理等に向けて、新たな維持管理手法として包括管理業務委託の導入の検討が示されています。施設や業務ごとに発注している業務を一括して事業者に委託し、管理する手法ですが、区内建設事業者からは、このことで地元業者への公正な発注が維持できるかとの声が上がっています。

 包括管理業務委託について、一事業者が管理を担い、区内事業者の活用の際には公契約条例の対象外として目が届きにくくなり、官製ワーキングプアを生むのではないか、また、区職員の現場把握の低下やノウハウの蓄積の喪失など課題があると考えます。区長の見解を伺います。

等々力渓谷内の危険木の処理について

川上こういち 議員

 次に、等々力渓谷内の危険木の処理について伺います。

 等々力渓谷は、武蔵野台地の南端を谷沢川が浸食してできた延長約一キロメートルの東京二十三区内唯一の渓谷で、東京都指定名勝となっています。多くの動植物が見られ、桜、常緑の木立、秋の紅葉など、四季を通じて、都会にいながら大自然を楽しめる癒やしのスポットです。

 令和五年七月に、等々力渓谷公園内でシラカシの大木が遊歩道に向かって倒れる被害がありました。倒木時は強風等もなく、原因は、病虫害により弱り始めていたところに、令和五年の異常な暑さで急速に樹勢の衰退が進み、自重により幹折れしたものと推定されています。

 区は、公園内の一部について、立入り、通行を禁止し、公園内の危険木の把握のための樹木調査を行いました。緊急対応が必要な木については、令和六年度から剪定・伐採作業を実施することとなっています。

 等々力渓谷公園は、地元住民の方が通勤、通学でも利用し、区内にとどまらず、国内外から多くの人が観光で訪れ、親しまれている世田谷区の自然の名所です。私自身も小学生の頃など、等々力渓谷は自宅から隣の駅にあり、ザリガニ釣りや友人と遊びに行ったりと、楽しい思い出があります。大人になっても散歩に出かけていました。危険木処理作業は今後行われていきますが、このことを貴重な樹木を守る機会と捉え、等々力渓谷に親しんできた方々に幅広く周知をすることが重要です。

 等々力渓谷内の危険木の処理の費用については、ふるさと納税の活用を求めます。区の見解を伺います。

国民健康保険について

川上こういち 議員

 最後に、国民健康保険について伺います。

 東京都は昨年十一月に、二〇二四年度の国民健康保険料について、一般会計からの独自繰入れがない場合、十九万千四百九十六円となり、今年度比で一人当たり一万六百四十円もの負担増になるとの試算を公表しました。同時に、都は、区市町村が行ってきた保険料抑制のための独自繰入れを計画的に解消するよう求め、保険料の徴収強化を行うとしています。自営業者やフリーランス、年金生活者、健康保険非適用の労働者などが加入する国民健康保険には、加入する全ての家族に定額の負担がかかる、人頭税のような仕組みを持つ均等割があるため、国民健康保険料の負担は、子育て世帯にとってとりわけ重いものになっています。子どもの均等割は、子どもの貧困対策にも、子育て支援にも逆行するものです。

 自民党政権が国保の国庫負担の削減、抑制を続ける一方、国保加入者の高齢化、貧困化が進んだ下で、国保料の値上げが止まらなくなり、協会けんぽなど他の健康保険との保険料の格差が一層広がっています。

 全国知事会は二〇一四年に、低所得者が多く加入する国保の保険料負担が重いのは国保の構造問題だとし、公費一兆円の投入で、高過ぎる国保料を、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの保険料並みに引き下げるよう国に要望しました。その後も、全国知事会、全国市長会は、国保への定率国庫負担の増額を国に要望し続けています。

 日本共産党は、全国知事会の要望を踏まえ、国保への一兆円の公費負担増を行うことで、国保料を協会けんぽ並みに引き下げること、均等割の廃止を提案しています。

 物価高騰で区民生活が深刻化する下で、今こそ世田谷区が国保料軽減の独自策に踏み出すべきではないでしょうか。これまでも求め続けてきましたが、国民健康保険均等割保険料を区独自に子どもの軽減対象を広げること、低所得者に対して軽減を行うことを求めます。区の見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

保坂 区長

 川上議員にお答えします。

 平和を軸とした自治体からの取組、発信についてでございます。

 私は、国内外の自治体間の対話は大変重要であると認識しております。区では、長年にわたり海外の姉妹都市との交流を続けており、相互の訪問などを通して各分野で交流することで、互いを理解し合い、友好を深めています。また、区内に視察に来られる各国の訪問団には、できるだけ私自身が直接お会いして対話をするようにしています。

 一方で、国内の自治体間におきましても、例えば再生可能エネルギー活用による自治体間連携や自治体間連携フォーラムを実施する中で、自然エネルギー利用や災害時の連携といった単独の自治体では解決することが難しい課題や広域的な取組が必要な課題などに対し、意見交換等の対話を通し、協力、連携を進めているところであります。

 国内外の自治体がつながり、声を上げ、平和を実現する。このことは最重要の課題です。平和の実現は、対立的な関係を対話により解決する努力によりつくり出されるものであると考えています。

 昨年、私は平和首長会議の国内加盟都市会議総会で、世田谷区の平和都市宣言や平和資料館をはじめとする区の平和の取組を各自治体に紹介いたしました。また、UNHCRの呼びかけるグローバルキャンペーン、難民を支援するネットワークについても御紹介をしました。これからも、国内外を含め、様々な場面で平和に関する対話を活発に行っていきたい、積極的に発信をしてまいりたいと考えています。

 次に、企業・団体献金についての見解についての質問でございます。

 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる政治資金収支報告書の不記載問題が大きく政界を揺るがしています。多数の自民党国会議員が、派閥からのノルマを超えたいわゆるキックバックと称される形での還流を受け、これは、議員側は資金管理団体の収支報告書に寄附として記載していなかった方々が多いという問題です。

 政治資金規正法に定める政治資金の収支の公開は、政治活動を資金面から国民の前に明らかにすることで、民主政治の透明性の確保と、公正で健全な発達に寄与することを目的としています。同時に、現在非公開とされている政策活動費の在り方も含め、政治不信は高まっており、民主政治の根幹を揺るがす事態は看過できるものではありません。国会の場で使途の実態を明らかにするとともに、企業・団体献金によって政策がゆがめられてはならず、本来、政党助成金の導入とともに廃止されるはずだった企業・団体献金の廃止も含め、政治資金規正法の抜本的な見直し及び政治腐敗防止法など、包括的な立法が必要だと考えてございます。

中村 副区長

 私からは、区が進めるアウトソーシングについて御答弁いたします。

 区政を取り巻く社会経済状況は大きく変化し、区民ニーズがますます多様化、複雑化する中、区民に寄り添う相談体制の確立や多様な主体との連携強化、それらを支える企画立案業務など、区職員しか担うことのできない業務に注力できる執行体制の確立が急務となっています。一方で、職員の業務量が年々増加し、今後、大幅な職員の増加が困難な状況が想定される中、事業執行体制を整え、経営力の一層の向上を図るためには、民間との協働によるアウトソーシング手法を一つの方策として取り入れていく必要がございます。

 アウトソーシングの実施に当たりましては、業務全てを事業者に委ねるのではなく、公的責任の下、区職員が担うべき業務とアウトソーシングが可能な業務、範囲を明確化することが重要です。また、業務ノウハウの継承や質の確保に努めるとともに、情報セキュリティーの確保や偽装請負の防止をはじめとした労働関係法令や、公契約条例に基づく労働報酬下限額の遵守など、適正な労働条件の確保に取り組んでまいります。

 今後、新たな行政経営への移行実現プランに掲げた取組の着実な推進に向け、こうしたアウトソーシング手法も取り入れながら、区の限られた経営資源の再配分と従来の仕事の進め方の改革を進め、持続可能な行政経営への移行に全庁を挙げて取り組んでまいります。

 以上です。

堂下 防災街づくり担当部長

 私からは、震災対策につきまして二点お答えいたします。

 まず、住宅の耐震化の促進に関する御質問にお答えいたします。

 世田谷区耐震改修促進計画では、旧耐震基準建築物のうち耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目指し、令和七年度末までに住宅の耐震化率九五%以上を目標に取組を進めております。

 住宅の耐震化率につきましては、木造住宅耐震化支援制度を導入した平成十七年度当初の七七・五%から、令和二年度末で九三・四%と、十五・九ポイント向上しております。目標の達成を確実なものとし、住宅の耐震化率をより向上させるため、支援制度の周知啓発の強化が必要であると判断し、広報紙やホームページ等の全体周知だけではなく、令和三年度から、旧耐震基準の木造住宅への直接周知や分譲マンションの管理組合等への直接周知を行ってまいりました。

 令和三年度以降強化してきた取組は、耐震診断士派遣数が増加するなど成果が上がっておりますが、令和六年度から着手する予定の耐震改修促進計画の改定作業におきまして、その効果を分析し、さらなる耐震化へ向けた取組に生かしてまいります。あわせて、来年度から支援の拡充対象となる二〇〇〇年基準を満たさない新耐震基準の木造住宅につきましても、具体的な目標数値を定め、計画的に耐震性不十分な住宅の解消に向け取組を進めてまいります。

 続きまして、耐震シェルター等の設置の促進に関する御質問についてお答えいたします。

 耐震シェルターや家具転倒防止器具、感震ブレーカーを設置することは、区民の生活を守る手法として有効であると考えております。

 耐震シェルター、耐震ベッドにつきましては、各地域で行われる防災イベント等や、旧耐震基準の木造住宅に対して実施している戸別訪問の際など、様々な機会を活用して支援制度の周知や普及啓発に取り組んでおります。

 家具転倒防止器具取付け支援につきましては、令和四年度から、後期高齢者である七十五歳となる方を対象に郵送による制度の直接周知を開始しました。令和三年度には支援実績が百五十三件であったものが、今年度は三百六十件に増加しており、一定の成果が出ているものと考えております。

 感震ブレーカーにつきましては、家庭用防災用品としてあっせんを行っており、地域の防災活動や、旧耐震基準の木造住宅への戸別訪問の際などの機会を活用し、周知しております。また、家具転倒防止器具や感震ブレーカーは、今後実施予定の在宅避難支援事業における防災用品カタログギフトの対象物品とする予定でおりますので、併せて普及啓発に取り組んでまいります。

 今後も様々な機会を活用し、設置促進に向け、積極的な周知に取り組んでまいります。

 私からは以上でございます。

有馬 政策経営部長

 私からは二点、初めに、新たな行政経営への移行実現プラン案についてでございます。

 新たな行政経営への移行実現プラン案は、区の中長期展望において、税収や職員の大幅な増加が見込めないことを背景に、学校施設をはじめとした公共施設等の更新や大規模災害への備えなど、今後の行政需要の増大に着実に対応するため、持続可能な行政経営の実現を最大の目的としております。

 本プラン案では、新たな参加と協働の構築や、デジタル技術の活用により区民サービスの質の向上を図るとともに、取組によって生み出した資源を相談業務や企画立案業務など、職員にしかできない業務へと振り向け、より一層の区民サービスの向上やさらなる業務改善の推進に充てていくものでございます。

 プラン実施の効果としましては、職員時間の有効活用、職員の専門性の向上、コスト削減などに表れるものと考えております。

 本プラン案においては、持続可能な行政経営の移行の一つの手段として協働を掲げ、その中にアウトソーシングの手法も取り入れております。

 今後も、区民ニーズに応えていくため、区と民間事業者が区民福祉の向上という大きな目的を共有し、それぞれの業務の役割に応じて、対等な立場により、また、公契約条例をはじめとした労働関係法令の遵守を徹底させるとともに、議員より御指摘をいただいた区民サービスの質の確保や業務ノウハウの継承、適正な労働環境の確保、委託にかかるコスト等にも十分留意し、効果的に業務を進めてまいります。

 続きまして、包括管理業務委託についてでございます。

 公共施設等総合管理計画一部改訂(第二期)で定めた包括管理業務委託は、施設の点検や保守、修繕等を事業者に包括的に委託するものであり、管理業務の効率化により、今後増加する施設更新等に限られた区の人員体制の中で適切に対応するために必要であると認識しております。

 包括管理業務委託契約は、それらの業務を再委託する場合、公契約条例で定める労働報酬下限額が適用されますが、さらに、先行自治体でも事例があるように、仕様書等に保守や修繕等に係る契約件数や金額等を委託前と同様の水準で行うよう明記するなど、仕組み構築の際には御懸念のような状況が生じないよう様々な工夫ができることが分かっております。

 また、今後、学校等公共施設の改築等の工事が本格化していく中で、区職員は設計から施工まで関わることが多くなり、区職員の専門性向上が図れるものと考えております。

 区としましては、区内事業者の活用や区職員の専門性確保等の御指摘も含め、全体の仕組みについて検討を進めてまいります。

 私からは以上です。

釘宮 みどり33推進担当部長

 私からは、等々力渓谷内の危険木の処理についてお答えいたします。

 等々力渓谷公園につきましては、昨年七月の公園内の倒木により、公園利用者の安全を最優先に考え、渓谷部分の立入り等を禁止するとともに、ほかの樹木についても健全性調査を行い、倒木の可能性がある危険木を約五十本確認しております。

 これら危険木への対応につきましては、令和六年度の伐採等の作業開始に向け準備を進めておりますが、渓谷内に車両や重機が入ることができないため、作業のほとんどを人の力で行う必要があることや、こうした技能を有する事業者も限られていることから、現時点では全ての危険木への対処が完了するまでに長い期間を要するものと見込んでおります。

 こうした中で、地域の皆様から早期開放に協力できればという声もいただいており、強い愛着を持つ方が多数いらっしゃいます。区といたしましては、今回の危険木への対応に加え、渓谷を含む自然豊かな崖線樹林地を後世に継承する今後の取組に、より多くの方の協力をいただければと考えており、御提案のふるさと納税を活用し寄附を募るなどの検討を進めてまいります。

 私からは以上です。

田中 保健福祉政策部長

 私からは、国保関連の御答弁をいたします。

 昨年度から、就学前の子どもを対象とした均等割保険料の五割軽減が実現しましたが、次元の異なる少子化対策を掲げられる中、なお不十分であると認識しております。軽減対象を現行の未就学児までという制限を撤廃することや、公費による軽減割合の拡大をすること、国民健康保険財政基盤の強化や低所得者層の負担軽減等について、昨年十一月に特別区長会から、厚生労働大臣宛ての国民健康保険制度の見直しに関する提言をいたしました。

 また、低所得者の負担軽減については、現時点では、均等割保険料の七割軽減、五割軽減、二割軽減の制度を活用している方が全体の約四割となっております。令和六年四月からは、均等割額の改定に伴う変更のほか、五割軽減及び二割軽減の軽減基準額を引き上げることにより、対象となる方の範囲が拡大します。

 国民健康保険制度は全国統一の制度であり、保険料水準統一が示される中、持続可能な社会保障制度として国が責任を持って対応すべきものと考えています。区民生活が厳しい中、この間の経緯や国の見解を踏まえ、特別区長会において継続して国に粘り強く要望しながら、区としても引き続き、国民健康保険料の区民負担が急増しないよう、運営に努めてまいります。

 私からは以上です。

川上こういち 議員

 ありがとうございます。能登半島地震での輪島市の大規模な火災が発生しましたけれども、そのとき住宅の電気系統がショートするなどして出火した可能性があると発表されています。そこで、やはり古い木造の建物ということもあります。先ほどもお願いしましたけれども、感震ブレーカーなど、しっかりと設置を進めていくよう、改めて要望したいと思います。

 以上です。

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