一般質問 令和6年09月18日定例会

2024/09/18

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質問項目

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質問

ヒートアイランド対策について

川上こういち 議員

 通告に従い、質問します。

 樹木を増やして、ヒートアイランド対策の実施を求め伺います。

 今年の夏、一日の最高気温が三十五度以上の猛暑日が東京都で十九回記録されました。昨年、二〇二三年は二十二回、また、東京二十三区内で今年の夏に熱中症で死亡した人は二百五十二人に上り、過去最高となりました。温室効果ガスの排出を原因とした地球規模での気候危機が進行し、都市部の人工的な構造物や排熱を要因として、気温が上昇する現象、いわゆるヒートアイランド現象によって温暖化に拍車がかかり、気温上昇が激化している中、CO2を吸収し、気温を下げる樹木の役割が注目されています。

 世界各都市では、都市のヒートアイランド現象緩和や雨水の吸収、大気汚染対策、熱中症予防など様々な効果を持つとして、樹冠被覆率を高める取組が進められています。

 樹冠被覆率とは、ある地域の中で樹木の枝葉で覆われる面積の占める割合を言います。街路樹の樹冠で道路を覆うことで、真夏の五十度を超える路面温度が、高木の街路樹の枝や葉によって道路が覆われると、路面温度を二十度下げる効果があります。

 オーストラリアのメルボルンでは、樹冠被覆率を二〇四〇年までに四〇%に増やす目標を持っています。アメリカ・ロサンゼルスの研究では、面積の四割を樹木で覆い、屋根を白くするなどして熱反射を増やすことで猛暑による死者を減らし、救急搬送が最大七割減ることが明らかにされており、市は樹木が少ない低所得者などが住むエリアに樹木を重点的に植えているそうです。

 日本共産党は、国が緑被率とともに、樹冠被覆率の目標を持つことを国会で求め、今年六月に吉良よし子参議院議員と共産党都議団が発表した東京二〇三〇 六〇%脱炭素実行プランver・1の中で、街路樹や公園の樹木と緑の保全を抜本的に強化し、区部の樹冠被覆率を二〇%にすることを掲げました。直射日光を上部で遮って下の空間を涼しくする、高木は芝生や低木などと役割が全く異なります。世田谷区においても、次期みどりの基本計画策定において、樹冠被覆率の採用を検討するべきではないでしょうか。高木の樹冠被覆率の重要性について、区の認識を伺います。

 また、高木の樹冠被覆率の採用と目標を持って取り組むことを求めますが、区の見解を伺います。その上で、公共空間で樹冠被覆率を高める方針を持つことを求めます。見解を伺います。

清掃・リサイクル事業の再編について

川上こういち 議員

 次に、清掃・リサイクル事業の再編について伺います。

 用賀四丁目のエコプラザ用賀を活用した清掃・リサイクル施設の再編案が示されました。再編の基本的な考え方として、今後の職員規模や区が担う役割に応じたコンパクトな施設構成への再編、清掃・リサイクル事業の本庁機能と三つの清掃事務所の機能の集約化による業務効率向上を図るとしています。

 これは、エコプラザ用賀に清掃・リサイクル事業の新たな拠点施設を整備し、これまでの世田谷、玉川、砧の各清掃事務所の機能を集約して、引き続き地域での対応を行うための清掃分室を設置するというものです。しかし、区でのプラスチックの分別収集について、収集に係る車両や人員、場所確保が課題となり計画が示せていない状況であり、清掃事業の民間委託がさらに進められている中での再編が行われることで、行政サービスの後退があってはなりません。

 世田谷区は、二〇一九年に発生した台風十九号による浸水被害時の際、玉川地域を中心に清掃事務所職員が災害廃棄物の排出状況など直接現場の確認を行うとともに、被害に遭われた方々への声かけ、災害廃棄物の速やかな収集を行いました。

 そこで伺います。清掃事務所及び清掃・リサイクル施設の再編により、地域特性に応じたきめ細かな業務の後退、災害時の対応などが懸念されます。公の責任が果たせるのか、区の見解を伺います。

 区では清掃事業の民間委託を進め、この間、正規での清掃職員は減り続けています。しかし、災害時においては、ふだんから現場を熟知し、被災時の状況把握や必要な支援の伝達、支援に来た人々の陣頭指揮を執る役割を担うのは正規の職員です。

 藤井誠一郎立教大学コミュニティ福祉学部准教授は、中国地方の平成三十年七月豪雨の被災自治体では、行政改革で現業職員を削減した中で、災害廃棄物収集の陣頭指揮を執っていたのは、地域の実情を把握できていない東北地方から応援に来ていた人員であったと述べています。

 災害時の対応のみならず、清掃職員の方々は、毎日の生活ごみの収集はもちろん高齢者訪問収集事業での安否確認など、住民の身近なところで、安全安心を守るために働いていらっしゃいます。こうした役割を持つ清掃職員こそ、正規で採用し増やしていく方針を持つことが必要ではないでしょうか。正規での清掃職員を配置する計画を検討するべきです。区の見解を伺います。

奥沢図書館について

川上こういち 議員

 次に、奥沢図書館について伺います。

 奥沢図書館が入っている奥沢センタービルは、耐震不足が判明し、平成二十八年に管理組合総会において耐震化等工事の実施が決議されました。区は管理組合の理事長となり、工事実施に向けて調整を進めている状況ですが、いまだ実現はしていません。

 現在、奥沢図書館は旧奥沢まちづくりセンターの建物に仮事務所を設置しています。受付カウンターと、小規模な新聞雑誌の閲覧スペースにすぎず、実際に本を見ながら探すことのできる開架図書館にはなっていません。地域住民の方からは、知と学びと文化の情報拠点という世田谷区の位置づけにふさわしい図書館機能が失われている、地域に開かれた知的な居場所である奥沢図書館の早期再開館を求める声を伺っています。ある方は、図書館を知らずに成長する子どもたちが出てきてしまう、子どももお年寄りも安心できる居場所となる図書館は必要だと話してくださいました。図書館の再開を求める地域住民の声は切実です。

 伺います。早期に奥沢センタービル内での奥沢図書館の再開を図ることを求めます。再開が困難であるなら、区民の利便性や要望を踏まえ、奥沢地域に図書館を設置する検討を行うべきではないでしょうか、見解を伺います。

大阪・関西万博への修学旅行について

川上こういち 議員

 最後に、大阪・関西万博への修学旅行について伺います。

 二〇二五年四月から半年間にわたり大阪・関西万博が開催されることとなっており、世田谷区立中学校二十九校中五校が修学旅行の行き先としていることが決定しています。今年三月、現役の廃棄物処分場でもある万博会場予定地の夢洲一区でメタンガスによる爆発事故が起き、その後も頻繁に作業員が退避する事態となっています。夢洲からは、地中から可燃性のメタンガスが発生しており、危険は解消していません。万博協会がガスの発生はないと決めつけていたパビリオン周辺でも、迎賓館、日本館、大阪館の各付近をはじめ五か所で検知されるなど、会場のどこでもガスが発生するおそれがあります。

 また、夢洲は観光バス駐車場や教育関係者の団体休憩所予定地です。さらに、バス駐車場から入場ゲートまで一キロ近い徒歩移動を強いられ、屋根付団体休憩所は小学生優先でピーク時の混乱が想定され、中学生の昼食場所の確保や熱中症対応、雨天時の対応が難しい、道路や公共交通機関は混雑が予想され、地震など災害時の避難経路も不明確など、子どもたちの安全に関わる数々の問題点が指摘されています。

 日本共産党は、大阪・関西万博そのものの中止を求めていますが、会場の安全性に対する懸念や不安が解消されない中で、子どもたちの安全確保最優先の観点で、大阪・関西万博を修学旅行先とすることに教育委員会自ら問題点を検証し、慎重に対応することが必要と考えます。

 五校の区立中学校が修学旅行において、大阪・関西万博に行くことを決定していますが、会場予定地ではメタンガスによる爆発事故が起きました。安全性について、教育委員会としてどう認識しているのか、見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

釘宮 みどり33推進担当部長

 私からは、ヒートアイランド対策に関連して二点お答えいたします。

 まず、高木の樹冠被覆率の重要性と目標としてどうかということについてでございます。

 枝葉の茂りが多い高木をはじめ、様々な緑が町に増えることは、ヒートアイランド現象の緩和や景観形成、生物多様性の保全など多くの効果をもたらし、都市の環境を守る上で重要なものと認識しております。区は五年ごとに実施している緑の資源調査において、みどり率や緑被率などの指標のほか、中低木を含めた樹木の樹冠被覆面積に相当する樹木地の面積を確認しているところでございます。

 区内に様々な形で存在する緑についてしっかりと把握していくことは緑施策に取り組んでいく上で必要なものと考えております。令和八年度に予定している緑の資源調査に向けて、樹木地と高さデータを掛け合わせて高木の分布状況を確認するなど、きめ細かい緑の把握、分析方法について検討を進め、より効果的な緑施策につながる調査を実施してまいります。

 続きまして、公共空間において樹冠被覆率を高める方針についてです。

 樹冠被覆率を高めるには、個々の樹木が十分に生育できる植栽環境が必要でございます。区では、事業者からの相談などに対応するため、建築に伴う植栽ガイドブックを作成し、樹木の成長を見据えた空間確保や樹種剪定などについて普及啓発を行っております。

 公共空間における高木については、公共施設の種類に応じてその特徴などを踏まえつつ、より質の高い魅力のある緑づくりが行われるような方針を、次期みどりの基本計画策定の中で検討してまいります。

 私からは以上でございます。

池田 清掃・リサイクル部長

 私からは二点、まず、清掃・リサイクル施設の再編と災害時の対応、地域への対応についてでございます。

 清掃・リサイクル事業の再編は、区が清掃事業の実施主体となってから二十四年が経過し、収集運搬に係る事業の民間委託化の進行や都から移管された施設の老朽化、災害などへの全区的な対応の必要性等を踏まえ、業務の効率化と事業のより効果的な展開を図るため、エコプラザ用賀を新たな清掃・リサイクル事業の拠点として建て替え、組織を集約化することを目的として設置してございます。

 一方で、ごみ収集に関する地域での困りごとなどにきめ細かに対応する機能は、地域に引き続き残すべきとの考え方から、区内三か所に分室的機能を配置することも併せて計画してございます。詳細な体制等は今後検討を深めてまいりますが、時代の変化に対応した新たな組織体制により、災害時の対応を含め、区民の皆様の多様なニーズに応えた事業を展開するとともに、環境に配慮した持続可能な社会の実現に向けた取組を進めてまいります。

 次に、清掃職員の計画的な採用についてでございます。

 清掃事業の民間委託が進んでいる一方で、清掃・リサイクル事業の中には区職員が直接担うべき業務も多くございます。また、区ではこうした視点に加え、これまでの被災地への職員派遣や台風十九号での対応経験などを踏まえ、現場職員の幅広い知識や経験、ノウハウの継承が重要と考えており、これまでも計画的に清掃事務所の職員の採用を行ってまいりました。

 一方、職員の確保には定着の視点も大変重要であり、今後は職員の計画的な採用に加え、採用した職員が安心して働き続けられるよう、職員に進むべきキャリアを提示し、自らのキャリアプランをイメージできるような体制の構築や人材育成体制の構築がより重要になると考えてございます。

 引き続き、人事所管等と連携し、必要な職員数の確保を図るとともに、職員の育成計画や必要なサポート体制につきましても、併せて取り組んでまいります。

 以上でございます。

玉野 教育政策・生涯学習部長

 私からは、奥沢図書館管理につきまして御答弁いたします。

 旧奥沢まちづくりセンターに開設いたしました奥沢図書館の仮事務所は、予約の受付、貸出し、返却といった機能に加え、新聞・雑誌閲覧スペースを設けるなど、できる限り図書館機能を維持できるよう取組を行っております。一方で、仮事務所が駅から離れた場所にあることから、これまでの奥沢図書館に比べ、利用者の方々には大変に御不便をおかけしております。

 今後、奥沢図書館は、センタービル耐震化後に戻ることを前提としており、引き続き、玉川総合支所と連携しながら、耐震工事への取組を注視しつつ、図書館サービスの向上を図るよう取り組んでまいります。

 以上でございます。

秋山 学校教育部長

 私から、大阪・関西万博への修学旅行の安全性における教育委員会の認識について御答弁いたします。

 修学旅行は、宿泊的行事を通して、よりよい人間関係を築く体験を育むとともに、三年間を通じた各教科等の学びを生かす場として設定しており、子どもたちにとって中学校生活最大の楽しみであり、また、安全第一で計画される必要があると考えております。

 御指摘の点につきましては、内閣官房国際博覧会推進本部事務局から、修学旅行等の学校行事を検討している学校等に向け、博覧会の活用に関する説明会を本年七月と八月に実施しており、メタンガス対応を含む会場内の安全対策についても扱っております。今後も政府や協会からの情報を注視するとともに、学校が行う実地踏査の際に熱中症や強風、豪雨等のリスク回避等、具体的な安全対策を確認するよう指導するなど、子どもたちの安全を最優先に考えた修学旅行とするよう進めてまいります。

 以上でございます。

再質問

川上こういち 議員

 万博の再質問ですけれども、政府や協会からの情報を注視するとの答弁ですけれども、あまりに主体性がない、無責任ではないでしょうか。万博協会は、安全は開催の前提、楽しんできてくださいなどと語っていますけれども、ガス発生について肝腎の安全宣言を出すことができていません。協会任せではなく、主体的に区教育委員会が安全性の把握をする、大阪・関西万博を修学旅行先として決定している学校には、子どもたちの安全確保を最優先の観点から、再度、慎重な検討を求めることも状況によっては必要と考えますが、その点の認識を伺います。

再答弁

秋山 学校教育部長

 再質問にお答えいたします。

 修学旅行についてでございますが、今回大阪・関西万博ということで、学校が保護者とともに行き先を選んでいるということに教育委員会としては重点を置いております。現段階におきまして、教育委員会としても安全性に関して主体的に情報収集を行い、学校による実地踏査で得られた情報についても確認するなど、学校現場との情報共有を密に行いまして、安全な修学旅行の実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

川上こういち 議員

 よろしくお願いします。

 終わります。

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