代表質問 令和6年11月27日定例会

2024/11/27

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質問項目

答弁 >>

質問

十月に行われた総選挙の結果を受けて

川上こういち 議員

 おはようございます。日本共産党世田谷区議団を代表して質問を行います。

 初めに、十月に行われた総選挙の結果、与党の自民、公明両党は、合わせて過半数を下回る歴史的大敗を喫し、裏金政治、自民党政治そのものへの審判が下されました。大局的に見れば、国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索し探求する新しい政治プロセスが始まったことを示すものです。日本共産党は、この歴史的な結果を心から歓迎します。

 この政治の激動をつくり出す上で決定的な役割を果たしたのは、自民党の政治資金パーティーによる裏金づくりを暴露し、さらに、選挙の最中に、裏金非公認議員に対する政党助成金からの二千万円の支給をスクープしたしんぶん赤旗と日本共産党の論戦でした。今後、各党には、企業・団体献金の禁止、消費税の減税、紙の健康保険証の存続、選択的夫婦別姓、学費値上げストップなど、自公政権の下でこれまで実現できなかった国民の切実な願いに応えるか否かが鋭く問われることになります。

 日本共産党は、財界の利益最優先、日米軍事同盟絶対の政治のゆがみを根本から正す立場を持ち、内政においても、外交においても、自民党政治転換の確かな旗印を掲げる党として、公約実現のために全力を挙げる決意です。

 社会保障をめぐる世代間の分断についてです。

 選挙前の九月、岸田自公政権は、七十五歳以上の医療費の窓口負担について、三割負担の対象拡大を明記した高齢社会対策大綱を閣議決定しました。これまで国の社会保障費を削減するため、社会保障が高齢者に偏っている高齢者向けの予算を子どもや若者に回すなど、世代間の対立をあおる宣伝を繰り返しながら、年金、介護、医療などの制度改悪を強行して、全世代に負担増と給付削減を押しつけています。石破政権の下でも、その路線を強硬に推進しようとしています。

 総選挙の論戦で、現役世代との負担の公平を理由に社会保障改悪を提起している自公政権のみならず、国民民主党は、現役世代の社会保険料を減らすためとして、尊厳死の法制化を主張しました。そもそも社会保障は、人が生きる上で抱える様々な問題を解決する公的取組です。政治に求められることは、全ての人の健康で文化的な生活を保障し、憲法が明記する健康権や文化権、生活権などの基本的人権を守る制度をつくることだと考えます。

 確かに低賃金、長時間労働、非正規労働、高い学費、奨学金返済など、若者世代、現役世代を取り巻く厳しい環境の解決のために政治が力を尽くすのは当然のことです。しかし、その解決策を高齢者福祉削減に求めるというのは、あまりに無為無策、筋が違うのではないでしょうか。

 高齢者の負担増、給付減は自己責任論を強め、結局、全世代の社会保障や教育への公的負担の抑制削減につながります。年金、医療、介護の改悪は介護離職など現役世代の負担を増やし、家計所得を減らし、将来不安も加わり、消費を冷やして地域経済の打撃になります。若者にとっても、負担だけして年を取ったときにはサービスを受けられないということになります。

 日本共産党は総選挙で、高齢者は様々な病気を抱え、必要な医療費が高くなるのは当然だ。医療費負担率を低くして初めて現役世代と公平になると指摘。世代間対立をあおるなと厳しく批判しました。全ての世代が安心して人間らしく暮らせる社会保障拡充のための財源は、消費税増税など国民の暮らしにさらなる負担を強いるやり方ではなく、大企業、富裕層優遇をただす税制改革、日本の防衛とは無縁な大軍拡の中止など、税金の集め方、使い方を変えることで生み出すことができると訴えました。

 医療や年金、社会保障を支える責任が政治にあります。日本社会の分断を進め、高齢者と現役世代を対立させ、世代間のバッシングを助長する動きを広げることは許されません。

 世田谷区基本計画の基本方針では、乳幼児から高齢者までのあらゆる世代が安心して住み続けられるまちづくりを進める、世田谷区地域保健医療福祉総合計画でも、地域福祉推進の基本方針で、誰一人取り残さない世田谷をつくることを掲げています。区民に最も身近な自治体の世田谷区は、世代間分断ではなく、社会的な連帯の力で全ての区民の人権と尊厳が大事にされる区政を前に進めるべきです。区の計画で示されている誰一人取り残さない区政を今後どのように進めていくのか、区長の見解を伺います。

施設使用料等の見直しについて

川上こういち 議員

 次に、施設使用料等の見直しについて伺います。

 区は、物価高騰等の昨今の社会情勢を背景として、施設の管理運営経費の規模が増大しているとして、施設使用料等の見直しの考え方を示し、十一月に改定額の案を出しました。各施設とも、ほとんどが現行料金からの負担増となりますが、子ども・子育て家庭、高齢者、障害者などへの配慮に加えて、区民生活への影響に配慮し、急激な改定とならないよう、改定後は原則、現行の使用料等のおおむね三割を上限とするとしています。

 しかし、区民が物価高騰で、実質、賃金も年金も下がっており、苦しい暮らしを余儀なくされている下で、三割もの値上げは急激なものであると言わざるを得ません。施設利用料の値上げが示されたことを受けて、あるけやきネット使用団体からは、活動維持のための経費に加えて会場費まで値上がりとなれば、心苦しいが、毎月の会費を値上げせざるを得なくなると伺いました。地域行政推進条例の観点からも、施設利用控えにつながりかねない値上げによって、区民の学び、集う活動を阻害することがあってはなりません。

 そもそも公共施設の維持管理は、地方自治法に定められた住民福祉の増進を目的に掲げる自治体が税金によって賄うべきものであり、無料であるべきです。区は、十二月六日まで、施設使用料等の改定案に関する意見募集を実施しています。さきの区議会本会議でも我が党は求めましたが、施設利用料等は、区民の意見を幅広く聞き、物価が高騰しているからこそ、据置き、引下げを検討するべきです。見解を伺います。

公契約条例について

川上こういち 議員

 次に、公契約条例について伺います。

 二〇一五年四月の世田谷区公契約条例施行から間もなく十年を迎えます。区が発注する事業において、働く人の労働条件や事業者の経営環境の改善という公契約条例の趣旨が生かされているのかが改めて問われています。今年八月に行われた適正化委員会の議論では、労働条件の確保や労働報酬下限額の遵守など、条例の取組への認知や理解不足が依然としてあり、その課題として、認知度の向上、遵守状況の確認と理解度の向上、実態の把握を挙げています。

 昨年の十一月に、内閣官房が策定した労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針での実態調査によると、コスト別の転嫁率は、中央値でも平均値でも、原材料価格やエネルギーコストと比べ労務費は低く、労務費の転嫁は進んでいないとの結果であり、事業者は多くの場合、発注者のほうが取引上の立場が強く、受注者からは、特に労務費は価格転嫁を言い出しにくい状況にあると書かれています。国の調査結果を見ても、この世田谷区で公契約条例がしっかりと現場で生かされているのか、独自の実態調査を、本庁舎等整備工事の関係事業者も含め必要と考えます。

 区は、公契約条例についての事業者と労働者へのアンケート調査を実施すると伺っています。他会派からも質問がありましたが、どのような内容か、寄せられた声を今後どう生かしていくのか伺います。

 公契約条例の認知度向上のためには、発注者である事業を所管する区職員の条例の理解度向上の取組が欠かせません。理解が足りないことで、受注先の事業者に趣旨が伝わり切らずに実効性が損なわれることのないよう、全庁挙げて、この課題の解決に取り組むことが重要です。公契約条例の趣旨徹底における庁内の情報共有について伺います。

 区の公契約の業務に従事する労働者の賃金、労働時間、社会保険の加入、そのほかの労働条件を事業者と区が共に確認し、適正な労働条件の確保に役立てることを目的に、指定管理協定及び予定価格が五十万円を超える公契約の締結においては、チェックシートの提出を求めています。

 適正化委員会の議論では、事業所が提出するチェックシートは、年間二千件から二千五百件ある中で、記載に問題がなかったケースで賃金未払いが生じたり、おおむね一割の事業所で、記入漏れや矛盾した回答がある状況となっています。事業所が出すものを信用するしかない中で、社会保険労務士による事業所調査は十二件程度という限定的なもの、下請事業者への周知は、元請事業者を通じて行う間接的なものであるのが現状です。区の努力にもかかわらず、チェックシートが十分に機能しているとは言えないのではないでしょうか。

 事業者に公契約条例が周知されていないことは、重層下請の仕組みの下で、しわ寄せは下請事業者、そこで働く人の労働条件に及びます。公契約条例で守られるべき下請、孫請事業者の状況を直接把握する取組が必要と考えます。チェックシートを下請、孫請にも提出を求めるべきです。見解を伺います。

 現在、区本庁舎等整備工事は、旧第一庁舎と旧第三庁舎の解体はおおむね終了し、新庁舎の地下部分の工事を行うため、掘削工事を進めています。今後も続くこの区内最大の公共工事で働く人々への公契約条例の周知と労働報酬下限額の適用など、実効性の担保が求められます。現在行われている本庁舎等整備工事は、区内公共工事のモデルとなるような現場にすることが重要です。下請、孫請を含め、公契約条例がしっかりと生かされているか状況を伺います。

福祉緊急対応について

川上こういち 議員

 次に、福祉緊急対応について伺います。

 世田谷区は九月の福祉保健常任委員会で、障害者や高齢者に対する福祉緊急対応等の支援の強化について報告しました。障害者総合支援法や介護保険法など、障害者や高齢者に対する福祉サービスにおいて、現行の制度では対応することが難しい世帯への支援が課題となっていることを踏まえ、障害者や高齢者に係る福祉緊急対応事業によるホームヘルプサービスの拡充や保健福祉センター職員のスキルアップ等により支援の強化を図るとしています。

 ひとり暮らしの高齢者の方で、認知症などが進んでいらっしゃる御自分では契約できないようなケース、虐待が疑われるケース、介護を拒否するケース、手をつけられないごみ屋敷、暴力暴言などハラスメントをするケースなど、いわゆる困難ケースや、ひきこもり、社会的孤立、経済的な困難などが背景となる孤立死が増加している状況で、孤立死の防止、介護保険や障害福祉サービス等の公的サービスにつなげていくための福祉緊急対応事業の拡充は非常に重要です。

 しかし、かつては最大で八十二名いた公務員ヘルパー、介護指導職が現在は三名に減少し、北沢・烏山地域では不在となっています。現在、介護指導職は、保健師やケースワーカーが訪問してもどうにもならない、何も解決しない困難ケースの対応という役割を担っています。介護指導職をされている方のお話を伺いますと、こうした困難ケースに当たる方の多くは追い詰められているといいます。玄関先で話をするだけだと助けに来てくれたとは思わず、自分が問い詰められたように感じるのだと。

 でも、介護指導職は、玄関先での相談や助言では分からない、御本人のお部屋に入って、その人がどんな生活をしているか、どんな気持ちで支援を嫌がるのかを見極める、食べることや暖かく寝ること、汚れた衣服や体をきれいにすることをしていくうちに、本人の中で考えるゆとりや余裕が生まれてくる。こうした関わりを持つことで、私たち介護指導職は定期的にその方の生活を支えている。保健師やケースワーカーには、日誌とメモとで毎日毎回すぐ伝えて、情報共有を図っていると話してくださいました。このような介護指導職の培ってきた経験やノウハウを途絶えさせてはなりません。

 誰一人取り残さない世田谷をつくろうと掲げている世田谷区地域保健医療福祉総合計画には、改正社会福祉法に基づき創設された重層的支援体制整備事業の実施計画を包含するものとされています。この事業の設計に当たり大切にした視点として、これまで培ってきた専門性や政策資源を生かすことが挙げられています。

 区民生活のセーフティーネット強化に行政が公的責任を果たすためにも、介護指導職の退職不補充の方針は見直して拡充へ踏み出すこと、欠員状態となっている北沢、烏山両地域に介護指導職の配置を行うべきではないでしょうか。困難ケースには、生活困窮に加え、障害を持っているなど複合的な要因を抱えていることが多いと言われています。こうした人を支えるための様々な分野の知見を生かした体制づくりが求められます。

 区は、福祉緊急対応における区からの民間委託によるホームヘルプの強化並びに福祉緊急対応事業を含めた困難ケースに対応する保健福祉センターの知見を広げ、セーフティーネットへのバックアップ体制の強化を図るためとして、弁護士、医師などの専門人材による(仮称)保健福祉特別支援チームを設置するとしています。

 そこで伺います。チームには、専門人材のそれぞれの専門性だけでなく、困難ケースを解決するのにふさわしい、現場での知見、ノウハウが必要ではないでしょうか、見解を伺います。

多摩川の下野毛排水樋門整備について

川上こういち 議員

 最後に、多摩川の下野毛排水樋門整備について伺います。

 多摩川と丸子川に囲まれている上野毛・野毛地区には、多摩川と下水道の下野毛雨水幹線の合流部に下野毛排水樋門が設置されています。二〇一九年十月に発生した台風十九号で、玉堤地区とともに、上野毛・野毛地区が深刻な浸水被害を受けました。浸水した要因は複合的ですが、多摩川からの逆流を防ぐために、下野毛排水樋門を閉めた際に住居のある側に降った雨水が多摩川へ排水されなかったことが要因の一つとされています。
 この下野毛排水樋門について、雨水を多摩川へ放出するためのポンプゲート及び遠方操作機器の新設が今後実施予定となっています。下野毛排水樋門整備についての進捗状況を伺います。整備を少しでも早く進めるよう東京都に要望するべきと考えますが、区の見解を伺います。
 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

保坂 区長

 川上議員にお答えします。世代間の分断、社会保障をめぐっての議論についての御質問をいただきました。

 少子高齢化がますます進展する中で、年金や介護、医療などの社会保障費の増大は、現役世代の将来不安と併せて語られることが多く、若い世代と高齢世代との利害対立や分断を招きかねない課題であります。そうした世代間を含めた社会の分断を回避し、安定した地域社会をつくり出すためには、基本計画の重点政策として掲げております誰もが取り残されることなく生き生きと暮らせるための支援の強化を進める必要があります。誰かを排除するのではなく、社会的連帯を柱といたします。

 現在区は、人権政策をはじめ、子ども・若者、高齢者、障害者の福祉、災害対策など、あらゆる施策を総合的に進めることで、年齢、性別、国籍、障害の有無にかかわらず、自らの意思に基づき、個性と能力を十分に発揮することができる生き生きと尊厳を持って地域で暮らせるまちづくりを進めております。

 昨今の激しい変化にさらされている行政に今求められているのは、この変化に柔軟に対応できる組織体制と、これを支える人材の育成であります。今後、世田谷区を支える職員に対して、人への投資に真正面から取り組むことを通して組織改革を進め、誰一人取り残さない区政を実現してまいります。

 以上です。

中村 副区長

 私から、二点御答弁いたします。

 初めに、公契約条例についてです。

 公契約条例の周知と遵守の徹底に向けては、公契約を受注する事業者、業務に従事する労働者の方々に御理解をいただく取組を進めるだけでなく、公契約の発注者となる区職員の理解を深め、各事業所管での条例の的確な運用を図ることも重要であると、公契約適正化委員会において改めて御指摘を受けたところです。

 このため、区では本年八月に全庁を対象にした契約事務説明会を開催し、公契約条例の理念及び労働条件確認帳票の活用など、既存の取組の確認とともに、物価高や労務費の上昇に対応するための契約事業者との協議や、労働報酬下限額の予定価格への確実な反映などに係る実務的説明を行いました。さらに、全職員向けに行った契約事務セルフチェックにおいて、公契約条例に関する設問を追加しており、年末には管理職昇任予定者に対し、条例の理念と取組内容について研修を行う予定です。

 これらの取組を積み重ねることにより、公契約条例の趣旨や適切な運用について全庁で共有し、条例に掲げる区の責務を確実に果たしてまいります。

 次に、福祉緊急対応についてです。

 区は、福祉緊急対応事業を含めたセーフティーネットの強化を図るため、(仮称)保健福祉特別支援チームの新設を検討しています。本チームは、保健福祉センターを中心とした職員が、現行制度では対応することが難しい、いわゆる困難ケースに対応し、適切な支援につなげていけるよう、アセスメント力の向上や具体的な支援目標の設定、個別支援の進め方について、ケア会議への参画をして助言を行うなど、バックアップ機能を果たすものです。

 そのためには、本チームには、専門性に加えて現場の知見やノウハウが必要であると認識しており、医療、法律、社会福祉、介護技術などの各種専門職や区職員など、現場職員への効果的な助言ができる人材構成を検討してまいります。この取組を通じまして、福祉のセーフティーネットをこれまで以上にきめ細かく構築し、全ての区民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる環境づくりを進めてまいります。

 以上です。

◎松村 技監

 私からは、下野毛排水樋門の整備についてお答えいたします。

 多摩川には、豪雨による河川の水位上昇の際に、下水道への逆流を防ぐため、お話しの下野毛排水樋門をはじめ四か所の排水樋門が設置されております。いずれも東京都が所有しておりまして、協定により、日常管理と増水時の操作を世田谷区が担っております。これまで区は、これらの排水樋門を閉鎖した際に、下水道管からの内水氾濫を防ぐため、雨水を多摩川に排水するポンプ施設の早期設置を求めておりまして、特にお話しのありました下野毛排水樋門につきましては、令和元年の台風で内水氾濫による浸水被害が発生していることから、一刻も早い整備を要望してきたところでございます。

 こうした取組によりまして、現在、都下水道局が下野毛排水樋門へのポンプ施設設置に向け、来年夏までに実施設計の完了を目指していると聞いております。その後の工事着手時期や工事期間については検討中とのことでございます。

 区といたしましては、引き続き早期整備の実現に向けて要望するとともに、工事などにおきまして必要となる調整など、都下水道局と連携協力をして進めてまいります。

 以上でございます。

有馬 政策経営部長

 私からは、施設使用料の見直しについてお答えいたします。

 今回の使用料改定は、平成三十年十月の改定時と比較して、昨今の物価高騰等の社会情勢を背景に、人件費や光熱水費などの施設の管理運営経費の規模が増大していることから、将来にわたって施設の機能を維持発展させていくため、全体的に使用料等を引き上げる方向でこの間御説明をしているところでございます。

 今回の改定に当たりましては、区民生活の影響に配慮し、急激な改定とならないよう改定率の上限を三割と設定するほか、高齢者や障害者、さらには、新たに十八歳以下を対象とした料金設定を行うなど、施設の利用については改定率や改定方法に配慮を行っております。

 改定額につきましては、議員お話にもございましたが、十一月十五日から区民意見募集を開始したところです。意見募集に際しては、区ホームページのほか、出張所やまちづくりセンター、使用料改定の対象施設などに改定案の資料が閲覧できるよう配架し、多くの方々の目にとどまる工夫をしております。今後、改定額の決定に向けましては、様々いただきました御意見を踏まえながら、施設所管課とともに料金設定について判断してまいります。

 以上でございます。

阿部 財務部長

 私からは、公契約条例について二点お答えします。

 まず、条例に関するアンケート調査についてです。

 区では、公契約条例施行から十年を経過するに当たり、公契約適正化委員会に対し、条例に基づくこれまでの取組をお示しし、今後の方向性について御議論をいただいております。

 この議論の中で確認された条例の実効性の確保については、いまだ十分でないとの課題認識から、条例の趣旨や条例に基づく取組について、公契約の業務に関わる事業者及び労働者の実態を区が直接把握し、今後の改善や充実につなげられるよう、アンケート調査を実施することといたしました。対象は、令和六年度に公契約を締結した事業者と下請負者、その下で業務に従事した労働者としまして、調査内容は、条例の認知度や条例が規定する労働報酬下限額の支払いなど、事業者の責務の遵守状況、さらには条例に基づく取組による労働条件や経営状況の改善効果等としており、年内にオンラインで伺うものとなっています。

 このアンケートで寄せられた御意見や公契約条例に関する現場の実態については、来年の公契約適正化委員会に御報告の上、具体的な御議論をいただきながら、条例の実効性確保の取組の進展に生かしてまいります。

 次に、チェックシートを下請、孫請にも提出させるべきとの御質問です。

 チェックシート、労働条件確認帳票は、公契約における適正な労働条件確保を目的として、公契約条例第四条第三項の規定に基づき、公契約の相手方となる事業者に、その活用と区への提出を求めるもので、改善を要する項目があった場合はその対応についても確認しています。

 下請負者については、契約事業者に対し、チェックシートの中で、下請負者の従業員の適正な労働環境の確保について必要な要請などを行うよう求めており、その確認も実施しているところです。また、公契約の業務の履行開始に当たって、下請負者の有無と履行体制の確認を行うとともに、履行段階においても、契約当初に提出されたチェックシートの再確認を行っております。

 チェックシートの内容、運用等につきましては、公契約適正化委員会において、より分かりやすく事業者が活用の意義を実感できるようなものとするべきとの御意見もいただいており、今年度実施するアンケート調査の結果も踏まえ、検討に取り組んでまいります。

 以上です。

佐藤 庁舎整備担当部長

 私からは、公契約条例について、本庁舎等整備工事における状況に関しお答えいたします。

 本庁舎等整備工事は、区として最大規模のプロジェクトであり、契約金額の上でも、従事する多くの技能者や地域経済への影響が大きく、区は発注者として事業全体を見渡した状況把握が必要であると認識しております。令和三年度の着工以降、現場では、技能者の所有資格や社会保険の加入状況、就業履歴を登録、蓄積することができる建設業界の横断的な仕組みである建設キャリアアップシステムを導入し、技能者の技能経験に応じた処遇改善に向けた対応を進めてまいりました。

 また、区は、この間継続する建設物価や労務費等の上昇傾向を受け、スライド条項等の適用により、大成建設との工事請負契約額を変更しながら、あわせて、大成建設と協力事業者との契約についても、建設物価等の上昇を踏まえた変更契約が締結されているか、大成建設に対して情報提供を求め、適時確認しております。

 区といたしましては、今後も建設業を取り巻く社会情勢を注視するとともに、関係所管と連携し、公契約条例の適切な履行確認を行い、労働者の適正な労働環境の確保に努めてまいります。

 以上でございます。

川上こういち 議員

 下野毛排水樋門について、東京都下水道局は、来年夏までに実施設計の完了を目指すということですけれども、それをつくっている間に起きてほしくないですけれども、台風十九号並みの豪雨が襲うことも十分にあり得ます。工事着手は実施設計ができた後ですから、実際の整備がいつになるか分からないわけです。

 私たちは、台風十九号が起きたときの翌朝から浸水被害に遭われた地域住民の方々に要望を伺って回ったんですけれども、上野毛・野毛地区にあるマンション、そこでは住人の方が朝早くから沿道の泥のかき出しをしていて、駐車場の壁にある浸水の跡を見せていただきましたけれども、膝上まで水が押し寄せていたと。玉堤地区でも、物すごい量の災害ごみ、山のように積み上がっているのを目の当たりにしましたし、二階建ての住宅に住んでいる方は、一階の天井まで水が入ってきて、二階に逃げたがもう助からないと思ったと話してくださいました。こうした台風十九号のような命の危険も感じるほどの規模の豪雨が起きてからではやはり遅いので、一刻も早く整備を、東京都に強く要望すること、重ねて申し述べておきます。

 公契約条例のチェックシートについてですが、記入されたものを見せていただきましたけれども、契約件名を書いて、賃金が労働報酬下限額以上の額に基づいて支払われているかとか、あるいは三六協定を結んでいるかとか、社会保険に入っているかなど、はいかいいえで答えるもので、難しいものではなく、時間もかかりません。先ほど答弁もありましたけれども、いいえがある場合はその理由、改善予定について書く欄もあります。

 現場の中で、労働条件及び労務管理状況についての法律が守れているか、チェックシート記入を通して意識づけをさせる、そうした効果もあると思います。下請、孫請事業者にもチェックシート提出の検討を改めて求めまして質問を終わります。

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