2020/06/11
コロナウイルス感染症で亡くなられた方に哀悼の意を表するとともに、療養中の方、御家族の方にお見舞いを申し上げます。
それでは、質問を始めます。今議会、我が党は、新型コロナウイルス感染症に対する区の当面の対応に対し区民目線でチェックを行い、コロナ後を見据えた区政運営について、住民の福祉の増進という自治体本来の役割を取り戻す転換を求め、議論します。
この間、区民の声を聞いて区に対策を求めてきました。五月にはアンケート調査を行い、新型コロナウイルス感染拡大の暮らしへの影響や困り事などをお聞きしました。二週間で九百通という大きな反響があり、感染への不安、自粛生活のつらさ、休業や収入減少、子どもの教育など様々な声が届いています。これらの声に基づき、私からは当面の対策を中心に質問いたします。
初めに、感染拡大を防ぐためのPCR検査体制の抜本的な強化と医療機関への支援についてです。
区がこの間、PCR検査体制を強化してきたことを評価します。現在は感染者数が減少し、検査はスムーズにできているとのことです。しかし、私たちが行ったアンケートには、誰がコロナに罹患しているのか不明なため疑心暗鬼に陥っている、いつ感染するか分からないことが不安、感染した場合に適正な医療が受けられるかなど、感染に対する不安の声があふれています。PCR検査数が少ないこと、情報不足で感染の実態が分からないことが不安な状況をつくっています。
広島、岩手などの十八道県の知事が積極的感染拡大防止戦略への転換を提言しています。全ての濃厚接触者は症状がなくても速やかに検査を受けられる体制をつくり、早期に無症状、軽症の感染者を発見し、療養させることが感染拡大の抑止につながり、結果として重症者の減少が期待される。また、医療、介護、福祉の従事者と、入院患者、入所者の検査を積極的に実施できる体制をつくり、先手を打って感染拡大を防止しようというもので、現在の五倍から十倍の検査能力を求めています。当区としても、この方向で進むべきです。PCR検査拡充の必要性について、区の認識を伺います。
世田谷区医師会もホームページで、感染症患者さんが迅速に医療に接続できない状況を再び起こしてはならないとして、発熱外来の増設、PCR検査センターの設備拡充、検査費用の自己負担完全無償化、衛生材料の安定供給、地域の医療体制などの課題を指摘しています。
第一波を検証し、第二波に備え、PCR検査体制を強化すべきです。どのように進めるのか、区の見解を伺います。
医療機関への支援の強化も待ったなしです。区内のあるコロナ患者を受入れている病院に話を聞くと、患者が半減し収入が落ち込んでいる、人件費など固定費で大変厳しい、キャッシュの支援が必要と、経営の窮状を訴えています。コロナ患者を必死に受入れてきた医療機関の破綻などあってはなりません。
区が第二次補正予算で医療機関への支援を計上したことを評価します。区として今後もさらなる支援を国に求めるとともに、医療機関の経営状態などの実態をつかみ、医療崩壊を防ぐこと、第二波に備え、医師、医療機関が求める物資や体制、財源などを整備、強化することが必要です。区の見解を伺います。
次に、本庁舎整備についてです。
本庁舎整備は、大震災に備えた災害対策の拠点機能の整備、老朽化、狭隘化の解決のために必要です。しかし、暮らしや福祉を削って庁舎整備を進めるようなことがあっては、区民の理解は得られません。緊急時だからこそ、暮らし、福祉優先の姿勢を貫き、さらに事業費圧縮への努力を強く求めます。
庁舎整備は区民生活優先で進めるという区の姿勢を示し、区民理解を進める努力をすべきです。見解を伺います。
その上で、財源確保に特段の努力が必要です。第一は、三百二十億円の財政調整基金の積極的活用です。第二は、国から必要な財源を獲得することです。ふるさと納税の影響額は約六十億円と見込まれています。区は、ふるセタなどの取組を進めています。しかし、不交付団体は地方交付税で減収を補填されないという制度上の不公平を是正する必要があります。区長もさきの議会で、国会審議や世論を喚起するインパクトのあるアクションを準備していきたいと答弁しています。党派を超えて協力して進めていきましょう。
地方創生臨時交付金は、国の第一次補正予算の一兆円のうち、世田谷区に交付されたのはわずか六億円です。人口も感染者数も多い世田谷区が必要な対策を打つためには、あまりに不当な配分です。世田谷区の実情に合った金額が給付されるよう、二十三区が一体となって国に働きかける必要があります。
国からこうした財源を獲得するために、区長は国や政党に積極的に働きかけるべきです。見解を伺います。
本庁舎整備は区内最大の公共事業です。公契約条例を持つ区として、この事業を地域の経済振興にしっかり役立てることが重要です。多くの区内事業者が工事に参加することで地域経済が活性化されます。経済の低迷が進むからこそ、本庁舎整備を経済対策として位置づけ、施工体制に区内事業者を組み込む仕組みづくりを進め、また、周辺業務、周辺工事での区内業者の活用を進めるべきです。区の見解を求めます。
次に、コロナの影響から下北沢の文化を守ることを求め、質問します。
下北沢は、音楽、演劇、古着、アートなど、サブカルチャーの町として世界から注目されています。一九七五年にライブハウスの下北沢ロフトがオープンして以来、独自の文化圏を形成してきました。多くのライブハウスやクラブが日本の音楽、世界的なムーブメントを押し上げる原動力となり、人的交流を生み、文化を育んできました。多くの才能がここから世に出ていきました。
今、イベントの中止、延期、営業の自粛要請で、ライブハウスなどは危機のさなかにあります。ドリンクチケット販売、クラウドファンディングなどで市民が支えていますが、ライブハウスは最後まで通常営業の対象から外れ、家賃などの固定費が大きな負担となっています。フリーランスであるミュージシャンや役者、スタッフの生活は困窮しています。こうした中、文化、芸術に関わる皆さんが国や自治体に文化芸術復興基金の創設を求めるなど、文化の灯を消すなの運動が広がっています。
国の第二次補正予算に家賃補助が入りました。最大限の活用と、区独自の上乗せ、横出しで、ライブハウスや小劇場への家賃補助などの支援を求めます。また、区の文化振興基金などを活用し、文化を守るための取組を求めます。区の見解を伺います。
次に、保育についてです。
自粛が解除され、保育園に通う子どもが日々増えています。現場の保育士からは、学校では分散登校をするのに保育園はこのまま通常保育に向かうのか、区は現場に丸投げで現場の声を聞いてくれないなどの声が上がっています。感染対策として、お昼寝や給食で間隔をあける工夫をしている、おもちゃは頻繁に消毒、布のおもちゃは洗濯している、そのための人を増やしてほしいとの声もあります。本来、おもちゃなどを買う予算が感染対策のために使われている実態もあります。
感染予防は、従来の体制では困難という声があります。現場の声を聞いて問題を改善し、現場を支援する努力と工夫を求めます。区の見解を伺います。
感染症予防のためにも、密にならない環境の改善が必要です。今後の保育の在り方について、区の見解を伺います。
今般、保育待機児がゼロになったとの報告がありました。保育の質を守りながら、八年間で百か所を超える認可保育園を整備してきたことが今回の結果に結びついたと評価します。しかし、自宅から二キロ以内に保育施設の空きがあるという理由で待機児としてカウントされない人が北沢地域では百人を超えています。希望する園に入れない人が残されています。
また、リーマンショックのときには、雇用情勢の変化から待機児が急増しました。今後も待機児ゼロを持続する努力が必要です。さらに、定員弾力化は子どもを詰め込む不正常な状態です。一刻も早く解消すべきです。子どもの健やかな育ちを保障するために、今後も区が保育の質を守る姿勢を堅持することを求めます。
保育待機児を来年度以降もゼロを維持するためにどうするのか、保育の質についてどう考えるのか、区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
私からは、二点について御答弁申し上げます。
最初に、医療機関に対する支援についてでございます。
区では現在、新型コロナウイルス感染者の治療に当たっている区内病院と、定期的に区と医療関係者との情報連絡会を行っており、感染者用の病床確保による病院経営の経営上の苦境や長期的な視点から防護服等の医療物品が不足する懸念があることなど、切実な声をいただいております。
各医療機関におきます経営上の危機と医療崩壊を防ぐためには、感染の第二波を見据え、感染者の受入れ体制の維持とさらなる拡充が必要であると認識しております。既に国に対して、区長会を通じまして財政面での支援要請を行ったところであり、区としても病院確保に向けて具体的な病院経営支援に着手してまいります。また、区といたしましては、新型コロナウイルスをともに乗りこえる寄附金の募集を開始し、財源の確保と物資支援に取り組むとともに、医療機関のニーズを的確に把握することができる情報連絡体制を構築し、N95マスクや防護服など物資面の具体的な支援を速やかに実施してまいります。
次に、積極的な基金の活用と財源の獲得についてでございます。
新型コロナウイルスが経済に与える影響は大変大きなものとなっており、区財政におきましても、リーマンショック時を超える大幅な財源不足が生じることは確実であり、短期的には一定の財政調整基金の取り崩しにより対応していく必要があると考えております。一方、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び地域経済や住民生活の支援を目的とした国の地方創生臨時交付金は、財政力や人口規模等により大きく割り落としされ、感染者数が全国で最も多い東京都及び特別区の取組に対し、配分額は大きく不足している状況にあります。
人口、感染者数とも特別区で最大となる世田谷区としては到底容認できるものではなく、先般、特別区長会を通じまして国に対し追加の支援措置を要望したところですが、引き続き、区長、特別職を先頭に各部長におきましても積極的な財源確保に取り組んでまいります。
以上でございます。
私からは、二点についてお答えいたします。
一点目、PCR検査の抜本的拡充についての区の認識についてでございます。
区内におけるPCR検査につきましては、区内医療機関による帰国者・接触者外来や保健所のほか、四月以降は区内両医師会との連携によりPCR検査センターを開設するなど拡充を図ってきており、現在は感染の疑いがある方を速やかに検査につなげる体制が整ってきているものと認識しております。
区内におけるPCR検査につきましては、現在は医師が必要と認めた場合に、当日もしくは翌日に検査を案内することができておりますが、第二波を見据えた場合、陽性者を速やかに入院や宿泊療養につなげ感染拡大を最小限にとどめるためのさらなる検査体制の強化や拡充が必要であると考えております。
感染者の早期発見に向け、PCR検査の対象範囲を独自に拡大する自治体があるほか、国におきましては、五月二十九日付で濃厚接触者を検査対象とするなど感染防止策の取組については変化してきており、区といたしましても、新たな検査手法の導入や検査対象の考え方など、第二波に向けた検査体制の拡充について取組を進めてまいります。
二点目でございます。PCR検査体制の強化についての区の見解でございます。区内における感染拡大が顕著でありました本年三月下旬から四月中旬にかけては、PCR検査の必要性のある方が迅速に検査を受けることができない時期があり、区ではこの間、区内両医師会の協力をいただき検査センターを開設するなど、検査体制の拡充を図ってまいりました。第二波の到来に備え、感染拡大を最小限にとどめるためには、迅速に検査を受けることができるよう体制強化を図り、陽性者を速やかに入院、宿泊療養につなげていくことが重要となります。今後は、区内医療機関のさらなる協力が必要になってくるものと認識しております。
区といたしましては、区内医療機関におけるPCR検査が一層拡大するよう緊密な連携体制を構築するとともに、新たに唾液による検査の導入に着手するほか、国や東京都に対して様々な支援について要請を行っていくなど、医療機関のニーズを的確に捉えた効率的かつ効果的な支援策に取り組んでまいります。
以上でございます。
私からは、本庁舎等整備を経済対策として位置づけることにつきまして御答弁申し上げます。
昨年度末、学識経験者などから成る検討委員会によりまとめられた施工者選定方法の報告書の中で、区内経済振興の効果を十分に引き出すことができる選定とするという基本方針を踏まえ、総合評価の評価項目の一つに地域経済への貢献を位置づけ、区内事業者への発注金額について提案を求めることといたしております。
発注金額につきましては、工事の下請だけではなく、資機材の購入、リース、あるいは日用品の購入も対象とし、幅広い経済効果が得られるものと考えております。さらに、区では、提案内容の実効性を高めるため、定期的に区内事業者への発注状況の報告を受け、これを公表していくことも検討しているところでございます。
本庁舎等整備につきましては、今後、八月を目途に作成をいたします中期財政見通しを見極めた上での判断となりますけれども、本体工事に先行する改修工事や関連業務なども含めまして、区内の経済の活性化に資するよう努めてまいります。
以上です。
私からは、本庁舎等整備と財源の確保について御答弁いたします。
新型コロナウイルスの影響により、短期的には大幅な歳入減が見込まれ、当面はコロナ前の水準への回復は見込めないことを前提とした財政運営が必要になると考えております。こうした厳しい財政見通しの中でも、区民の安全安心に資する公共施設の更新需要や災害対策の強化、増加する社会保障費関連経費に加え、感染拡大防止に備えた新しい生活様式への対応など、引き続き多くの財政需要に対応する必要がございます。
具体的な財政見通しにつきましては八月にお示ししてまいりますが、真に必要な区民サービス等の維持を前提としつつ、財政の持続可能性の確保と両立できるよう、今後の影響を的確に捉えた事務事業の見直しと併せ、基金や起債の計画的な活用などの財政負担の平準化につきましても検討してまいります。
以上でございます。
私からは、ライブハウスなどへの支援について答弁いたします。
新型コロナウイルス感染症により、特に対人サービス業は大きな経済的影響を受けており、東京都が定めるステップ二において、小劇場は運営の再開が始まっているものの、感染防止対策により観客数は以前の半数以下にならざるを得ないと聞いております。また、ライブハウスは依然として休業要請下にあります。そのため、特に物件を借りている事業者は家賃等が依然として大きな負担となっていると認識しております。
御指摘の国の家賃助成制度の活用を促すため、引き続き事業者への情報提供や申請のサポートなど、区としてでき得る限りの支援策を講じてまいります。また、区独自の対応としまして、文化芸術に係る事業者を支援するクラウドファンディングを生活文化政策部とともに民間事業者と連携して実施し、PRや手数料補助などにより、小劇場やライブハウスの支援、それを通じたアーティストの支援などを行うことを検討しております。
私からは以上です。
私からは、三点お答えいたします。
まず、現場の声を反映した保育所への支援についてです。
区内の保育所等におきましては、五月末で休園措置を終了し、自宅での保育が可能な保護者の方へ登園自粛を要請し、規模を縮小した保育を実施しております。休園期間中の五月中旬に、区は保育所等に対し運営状況などの調査を行い、各園からいただいた保育再開に向けた課題や感染予防を取り入れた保育の工夫などを取りまとめ、今後の感染症対策の参考とさせていただくとともに、各保育所等へもフィードバックし、情報共有を図っております。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響により定例の園長会などを中止しており、各園からの御意見などを聞く機会が限られている状況となっております。このような状況を踏まえ、まずは感染対策を徹底した上で、代表の園長の方々などとの意見交換会を早急に実施してまいります。引き続き現場の声に耳を傾け、安全安心な保育を行ってまいります。
二つ目でございます。感染症予防を踏まえた今後の保育の在り方についてです。現在、東京アラートが発出されており、縮小保育から通常保育への移行に当たっては、これまで以上に三密をつくらない感染予防対策の徹底が必要であると考えております。ある園では、手洗いの際に園児が間隔をあけて並べるように、床に印をつけ、様々な感染拡大防止対策を行っているところです。
感染予防対策として、このような各園で工夫して行っている保育の取組を区内保育施設で共有し、実践していくことが必要と考えております。六月中には、新型コロナウイルス感染症対策の徹底と新しい生活様式を踏まえた今後の保育の在り方について、現場の声も伺いながら区の方針をお示ししてまいります。
最後に、保育待機児ゼロの継続に向けた取組についてお答えいたします。
令和二年四月の保育待機児童はゼロとなりましたが、希望する保育園に入園できない世帯もいらっしゃる一方で、認可及び認可外保育施設におけるゼロから二歳児クラスの欠員は七百人を超えていることから、保護者ニーズとのミスマッチが生じている状況にあると認識しております。令和三年四月開園に向けた保育施設整備は、新型コロナウイルス感染症の影響等により約五百六十人にとどまる見通しで、このうち北沢地域は五施設、二百十六人分の定員拡大の予定となっております。さらに、既存施設の空きを有効利用して認証保育所の一歳児定員を拡充するなどの対策により、引き続き保育待機児童ゼロの継続に向けて取り組んでいくこととしております。
今後の保育定員の拡大につきましては、令和二年度からスタートした第二期子ども・子育て支援事業計画においてお示ししておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等により見直しが必要となっていることから、感染症対策の見通しが立った段階で、引き続き保育待機児童を生じさせないよう、弾力化の解消と定員拡大量の改定に向けた検討に着手してまいります。あわせて、子どもの最善の利益を第一に考えまして、委員御指摘の保育の質の維持向上にも努めてまいります。
以上です。
感染の第二波、第三波に備えた準備を今進めなきゃいけないと思います。PCR検査体制などの拡充をしっかりと進めていただきたいと同時に、財源の確保を国に対して大きく働きかけて、しっかり財源も確保しながら進めていただきたいと要望して、質問を終わります。