2020/10/01
それでは、日本共産党の企画総務の質問を始めます。
まず最初に、来年度の、新年度予算の編成について質問をしていきたいと思います。
八月に新年度の予算フレームが示されました。今年度の繰越金を活用することで、来年度の財調基金の取崩しを実質ゼロにするということがこの資料には書かれています。なぜ来年度の基金取崩しをゼロにするのか。今後の第二波、三波に備えたコロナ感染に備えた中長期財政運営はどうあるべきなのか、こういったことに問題意識を感じております。まず最初に、財調基金の目的、趣旨について伺います。
財政調整基金につきましては、大幅な税収増があった場合などには積み立て、経済事情の著しい変動等によって財源が著しく不足する場合に取り崩すことによって年度間の財源を調整し、長期的視点から財政の健全な運営を図ることを目的とする基金でございます。
地方財政法では、地方公共団体に対し、当該年度に余裕財源が生じ、または生じることが予想される場合や、決算余剰金が生じた場合には、その余裕財源または決算剰余金を積み立てたり、地方債の繰上償還の財源に充てることを義務づけております。
税収が多いときに積み上げていく、そして、経済情勢などで少ないときに使う、これが財調基金だということですから、この財調基金の目的を伺いますと、今まさにこのパンデミックという非常事態の下で大幅な税収減となっている、これが見込まれるという中で、この基金の活用が今こそ必要なときではないでしょうか。区はなぜ来年度の財調基金の活用を実質ゼロとしているのでしょうか。
財政運営上では、コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、地域経済への影響が長期化することも考えられまして、さらなる減収も十分に想定されることから、今後の様々な状況変化に耐え得るように繰越財源等を活用し、実質的には来年度三百億円の財政調整基金の残高を引き続き確保し、財政の持続可能性を維持していきたいというものでございます。
しかし、来年度の予算フレームを見てみますと、財調基金は実質ゼロだという一方で、六十二億円の不足が生じていて、そこは事業見直しをしていくというふうになっています。優先すべきことの一つに事業の本質的見直しを行っていくということになるんじゃないですか。そんなことになると、この事業の見直しは区民サービスに影響を及ぼすものであります。
例えば、今年度も緊急見直しがありましたけれども、障害者団体のバス補助がカットされて、デモもありました。また、病後児保育所の年間中止、こういったものもありました。こうした区民サービスへの影響がある。コスト削減ばかりに重点を置くのではなく、事務事業見直しにおいては、利用者や区民への説明、多角的な見直しがなければ区民の理解は得られません。
同時に、区として、今ある基金を区民生活を守るために今後どう活用するのか、そうしたことも示さなければ、サービス削減や、時に区民に痛みを伴う、少なくとも事務事業見直しへの理解を得られないんじゃないでしょうか。
まして、今、区民生活は大変疲弊しています。私の知っている北沢地域のあるライブバーを経営する方は、何とか営業を再開したけれども客が激減してしまった。もう店を閉じるかどうか考えているというお話でした。また、ある製造業の方は、四月から取引先四社のうち一社の仕事が止まってしまった。もう一社も仕事が減ってしまって大変な痛手を被っている、こういうお話であります。
この間、財調基金は積み上がってきました。区の財政は、区自身も健全と認めています。まず、事務事業見直しありきの財政運営であってはならないと思います。今後の財政運営について、基金活用をどう位置づけていくのか。コロナ禍で区民生活が疲弊する中、なぜ、まず事務事業見直しを優先させるのか。区民理解が得られるよう、区として説明していただきたいと思います。いかがでしょうか。
繰り返しになりますが、やはり今後の様々な経済状況を考えたときには、まず財政調整基金につきましては、先ほど言いました今後の持続可能性ということを維持していくために、当面は現在残高を確保していきたい。その他の、例えば特定目的基金ですとか、あとは起債の活用、その辺は計画的に図りながら、真に必要な区民サービスを維持していく。また、国や都の補助制度の活用、政策方針でもお示ししておりますが、優先課題の整理と本質的な見直しによって財源を確保していくということを優先していきたいと考えております。
特定目的は計画的に使っていくものですけれども、財調基金については、当面、今の三百億円を確保していくということですが、今後の財政運営について、柱に財調基金を活用していく、これに関する区の方向性をぜひ提示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
財政調整基金につきましては、冒頭申し上げました基金の趣旨を踏まえた活用を考えていきたいんですが、二十三区を比較しても、世田谷区の予算規模に対する財政調整基金の残高は決して割合としては多くはないというふうにも認識しております。その辺も踏まえまして、やはり今後の健全財政を維持していくというバランスを取りながら、財政運営を図っていきたいと考えております。
今後の経済状況を見ながらバランスを見てということですが、これはちょっとよく分かりません。来年度の予算でどうするのかということでも三百億円、これは維持するというふうに言っていますけれども、だったら、その後、経済状況を見てというのはどういうふうに進めていくのか。
例えば、今年度も百億円の繰越金が出ています。それを活用して、来年度当初予算及び百二十二億円の不足額の半分も補填するとなっています。また、事務事業見直しありきではなく、こうした繰越金や基金の活用での財源確保の検討が必要だというふうに思います。来年度当初予算が使い切れなかったとか、繰越金が生じる、こういう可能性もありますし、区民税また財調など歳入がコロナの影響でどうなるのか、不確定な要素もたくさんあります。今後の財政状況は非常に不確定なものです。それ次第でまさに区財政がどうなっていくのか、そこは基金も活用しなくてはいけないと思います。
今後、こうした基金の活用についてどう見直していくのか、どう位置づけていくのか、副区長、答弁を求めます。
今、財政調整基金のありようにつきましては、財政担当部長から申し上げたとおりだと私も思っております。やはりこの財政調整基金の一番使いどころという部分につきましては、先が少し見えてきた段階で、財政計画を含めて、今、世田谷区も五年先まで見通しを立てて出していますけれども、これも非常に不安定な状態。先ほど来、他会派からも、この不安定さについてはいろいろ御指摘もあったと思うんですけれども、そういう状況が少しでも見通せる段階で、例えばここはやはりサービスの部分についてもう少し拡充しなきゃいけない。
例えば、今般で言うと、コロナ禍の中でいろいろ不測の事態が起きているわけです。そうすると、そういう出動をしなきゃいけないときの財源が果たして東京都や国を頼りにできるかどうかという問題も正直出てきます。そういう段階こそ、本当に議会と御相談しながら財政調整基金というものの活用ということについて十分協議していかなきゃいけないと思います。
現時点では、その先が見えないという中では、もうその協議の前提になる部分のところがもう少し先を行かないと分かりません。予算編成の中でまたこういう議論が出てくると思うんですけれども、その中では、やはり事務事業の見直しを先に手をつけさせていただいて、でき得る限り、緊急性の高いところに優先的に出していく方法を取らせていただいて、その上で、そのサービスのありようとかそういうことについてもやはり十分検討していかなきゃいけません。
先ほど来出ています区民の方にもきちっと御説明をしていかなきゃいけないということ。これは財政の見える化にも続くと思うんですけれども、そういう部分について十分議論して、結論を出していきたい、こういうふうに思っております。
将来予測できない事態があったら財調を使うということですけれども、私、当面の問題でもやはり事務事業見直しを優先して財調は温存するというのはおかしいのではないかと。財調基金を積極的に使うべきではないかというふうに思います。伺いますが、その事務事業見直し、具体的にどのような内容を想定しているのでしょうか。
八月にお示しいたしました世田谷区政策方針に掲げておりますとおり、区民生活の安全や区民の健康、生命を守り抜くことを基本にいたしまして、感染症防止対策、それから区民や事業者の社会経済活動の維持、活性化のバランスを保つ地域社会づくり、こういったことを念頭に置きまして、来年度の予算編成に合わせて全ての施策事業の見直しに取り組んでいるところでございます。
この見直しに当たりましては、区民の生活や経済の実態に配慮いたしまして、単なるコスト削減だけの視点でなく、区民の理解を得られるよう、区民、利用者の視点を中心に、必要の度合い、それから利用者が得られる効果とコストのバランス、あるいは代替手段の有無など、多角的な軸を設けまして、一つ一つ事業を検証いたしまして、どのような見直しを行うべきか検討しているところでございます。
見直しの内容として、柱立てでございますが、例えば感染症の状況を踏まえました行事ですとかイベントの見直し、あるいは各種補助金の額や対象者等の見直し、あるいは外郭団体支援の見直し、安全を最優先した上で、公共施設ですとかインフラ整備の時期の調整、さらには、その他の施策事業につきまして、区民目線の必要性、有効性、公益性等の観点から、内容ですとか手法の転換、事業そのものの縮小や終了、一時休止などを検討していくということを考えております。
事務事業見直しについては、新実施計画の十の視点を貫くと、今るる述べていただきましたが、区民負担増や区民に痛みを求めるんじゃなくて区民の目線、区民生活を守る、そこを最優先にすべきだというふうに思います。そこをしっかりと守ることが事務事業見直しで必要です。それから、やはり財調基金の活用で見直しの規模も圧縮する、そのこともぜひ行ってほしいということを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
次に、政策形成過程での参加と協働、区民目線の検討を進める、そのためにということで質問したいと思います。
ふじみ荘の廃止をめぐって区の政策転換について区民の声を聞かずに決定された。その後、説明会を行われましたが、区民や利用者の理解は得られず、区も有効な対案を示せないまま、ふじみ荘の廃止決定に至りました。
ふじみ荘でコミュニティーをつくって憩いの場としてきた利用者の皆さんの行き場がなくなってしまった、高齢者に冷たい、大蔵や千歳は代替にならない、こういった声を私もたくさん伺ってきました。利用者は納得していません。説明会は、利用者の声を聞いて政策に反映させるためのものではなくて、単に廃止の方針を伝えるだけのものだったんじゃないか。
ふじみ荘廃止に至るプロセスに問題がありました。政策転換の前に十分に区民、利用者の意向を捉え、政策に反映できなかった。政策形成過程での住民参加、住民合意形成をどう進めるかが課題となっています。今後こうした問題を起こさないためにも、政策形成のプロセスを見直す必要があるというふうに考えます。
一般質問でも厚生会館の土地売却、STKハイツなどの公共施設の集約化について議論いたしました。障害・高齢分野などから土地がないという要望はよく聞きます。区もこの地域に高齢施設のニーズがあることを認めています。STKハイツの教育相談室分室は、知的や発達障害など不安を抱える親子が、まず相談する場所です。
中には、新しく行く場所に不安を感じて教育相談に行くことに強く抵抗する、そういうお子さんもいらっしゃいます。だから、駅に近い場所で助かった、こういう親の声も聞いています。こうした親子に交通不便な新教育センターへ行くというのは大変な負担です。そうした区民目線での検証が不十分だったというふうに考えます。
参加と協働は、区政の根幹に関わる問題です。区は、事務事業見直しについて、コロナ禍で困窮する区民、事業者の状況に十分配慮し、全ての事業について区民の理解を得られるよう、区民、利用者の視点を中心に、多角的な見直しの軸を設けると答弁しています。
そうであるなら、事務事業の見直しや公共施設等総合管理計画において、政策形成過程から参加と協働の在り方を検討するべきじゃないでしょうか。政策形成過程での参加と協働、区民目線での検討をどう進めるのか、たたき台や素案の段階で区民の議論を行うということもあるんじゃないか。見解を伺います。
政策立案から決定までの検討過程においては、区民、利用者の視点を中心に多角的な視点から検討することが政策の質を高め、区民の利益向上にもつながると認識しております。区は、これまでも各種計画などを策定する際には、たたき台や素案の段階からパブリックコメントや区民意見募集、意見交換会の開催など、案件に応じた意見聴取の手法を取り入れることで、区民の区政参画を促し、透明性の確保に努めてまいりました。
一方で、政策形成過程の未成熟な状況を公表することで、区民の無用な混乱を招くおそれのあるものもあり、どのような手法を取り入れることが適切であるか、区民の参加の機会を工夫しながら、政策ごとに最も適した手法を選択することが重要であると考えております。今後も、各種政策の検討に当たりましては、区民との協働による区政運営と区民生活のさらなる充実を図るため、区民の目線に立った適切な手法を選択し、政策決定を進めてまいります。
その政策形成は、物によっていろいろ選択するんだというお話でしたけれども、ここで具体的にどういうふうに検討の過程を変えていくのか、住民参加をそこに入れていくのか、その検討が必要だと思います。政策過程で区民参加を進めるための具体的な検討、これは行わないのでしょうか。
参加と協働、区民目線と高らかに理念を掲げていますけれども、具体的な検討なしでは、これは進みません。だから、ふじみ荘も区民の納得が得られない。そういう状況をつくってしまったんじゃないでしょうか。区政の在り方に関わる大きな問題だと考えます。従来型の延長ではなく、保坂区政でこそ、このプロセス、この仕組みを前進させていくべきだと考えますが、副区長、この認識はいかがでしょうか。
広報の関係のところでもちょっと触れましたが、やはり区民参加と協働の中でどうやってまずお伝えをして、それで、どういうふうに区民の方々から御意見をいただくか。この過程の中には、当然のことながら、区民の代表であります議会のほうからもいろいろ御指摘をいただくわけでございます。
我々が、今回のふじみ荘の分におきましては、二月の当初の段階から政策決定した内容をお示しして、いろいろ御意見をいただき、その内容について説明会も開かせていただいているということを踏まえますと、今般については、まだまだ代替策の部分についてのものがきちっと示されていないじゃないかというのは、昨日区長が申し上げたとおり、区長のほうもその確認をして、最終的にどういう案で代替という形のものをお示しするかということについてはきちっとやっていくということを申し上げたわけです。
そういう意味では、この政策形成過程の部分についてのオープン化というのは今までの課題でもありますし、そこについてはもうちょっと丁寧にやっていくという必要性はあろうかと思いますけれども、その内容の時々の状況の中でどういう発信をして、どういう御意見をいただきながら、最終的な結論を持っていくかということはもうちょっと透明化を図っていく。こういう努力はしていきたいと思っております。
透明化を図っていくということですから、これは期待をします。この間、ふじみ荘のような件があったり、それから厚生会館の問題などもありました。やはり区民の理解、納得を得るためにはオープン化を進めて、より早い段階から参加を進めていくということが重要だと思います。しっかり検討していただきたいと思います。
それでは次に、避難所の環境改善について伺います。
避難所の非常用電源の配備について、避難所の標準配備のガソリンであるとかカセットガスを使った発電機では、避難所の本部機能を三日間維持するのがやっとだと。我が党は、医療用などの電源が必要になる福祉避難所から優先的に電源確保を進めること、そして、何よりエアコンを稼働できる非常用電源の確保、その充実を求めてきました。避難所の電源確保は今どこまで進んでいるのでしょうか。
大規模災害発生時には、被災した区民が生活する場として避難所を開設いたしますが、その避難所の非常用電源につきましては、ガソリンを燃料とする発電機のみの備蓄に加えまして、ガスボンベ式発電機を全避難所に二台ずつ配備するとともに、ソーラーパネル一体型蓄電池を導入いたしまして、避難所運営に最低限必要な電気機器の使用でおおむね三日間の電源を確保しております。
また、令和元年台風第十九号に対する風水害対策総点検におきます具体的な取組といたしまして、避難者のために、スマートフォンやタブレット等の情報機器の充電に必要な電源として、大容量ポータブル蓄電池を全ての指定避難所に一台ずつ配備いたしました。
さらに、避難所に配備していますガソリンやガスボンベ式発電機などの燃料が枯渇した場合を想定いたしまして、環境に配慮した災害時の電源確保のための庁有車として電気自動車を七台導入いたしました。これによりまして、電気自動車を電源車として活用することが可能となりまして、停電が発生している避難所の電源として活用することとしております。今後も、これらの電源を有効活用しまして、避難所の電源確保に努めてまいります。
私たちは、エアコンが使える発電設備の設置であるとか、今回電気自動車を使った電源供給が始まったということですが、今後そういったことをさらに広げて配備を進めていく必要があると思いますが、今後の計画はどうでしょうか。
現状としまして、教育委員会によりますと、今日現在で停電時でも稼働する自立式のガス式エアコンを二十一校に配備、導入しております。体育館のエアコンの配備につきましては、それを含め九十校全てで完了しております。今後の展開でございますが、電気自動車などの活用も見据えまして、災害時の利用について、民間事業者との協定による避難所の電源確保についても関係部署と連携して検討してまいります。
時間ですので、以上で終わりにします。