2021/03/16
それでは、日本共産党の福祉保健分野の質問を始めます。
最初に、新BOP学童クラブの在り方検討について質問をしていきます。
新BOP学童クラブは、全ての希望者を校内に設置されている新BOPに受け入れるという制度設計の下、この間、大規模化、狭隘化、人材確保などの課題が指摘されてきました。我が会派を含め、多くの会派が、これまで職員体制の拡充や大規模化、狭隘化の改善などを求め、繰り返し議会でも取り上げられてきました。また、この間、時間延長のモデル事業も実施されてきましたが、多様な保護者のニーズにどこまで応えるのか、区として見極める時期に来ていると考えます。
新BOP事業のあり方検討委員会の報告が示されました。新BOP事業の在り方について四点質問をしていきたいと思います。
第一は、区の公的責任についてです。
新BOPは、放課後の児童の安全な遊び場を確保し、集団遊びの中から社会性、創造性を培い、児童の健全育成を図るBOP事業と学童保育を統合して生まれました。子どもの精神的ケアや自立を支援すること、近年では要配慮児童を受け入れるなどの役割があります。また、児童虐待など家庭に課題のある子どもに対するソーシャルワーク的役割を、児童館や要対協などと連携して取り組んでいます。
コロナ禍の下、昨年の突然の学校休校のときには、民間学童が休止する中、新BOP学童クラブは、児童館の応援も得ながら、翌日から丸一日子どもを預かる体制をつくり、民間学童の児童にも門戸を広げました。公設公営だからこそ、その役割を発揮したと言えると思います。
区の新BOP学童クラブの公的責任について認識を伺います。
新BOPでは、これまでも児童の健全育成に取り組むとともに、子ども家庭支援センター等の関係機関と連携し、支援が必要な家庭を発見し、子どもの生活を支えるなど、様々な取組を実践してまいりました。また、要配慮児童につきましても、見守りを丁寧に行うなど、必要な配慮を行いながら、受入れを実施しております。
昨年三月には、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う小学校休校の際に、新BOP学童クラブにおいて、午前中から一日育成を実施するとともに、新BOP学童クラブの休止の際にも、医療従事者等の勤務を必要とする保護者のお子様の預かりを実施するなど、公設公営としてのセーフティーネットの役割を果たしてまいりました。
新BOP学童クラブにおきましては、これまで実践してまいりました公的責任をベースといたしまして、今後の在り方について検討してまいります。
区の公的責任は非常に大きいものがあると思います。
次に、第二は、大規模化に伴う課題についてです。
二百人を超えるクラブが複数生まれるなど、大規模化は急激に進んでいます。あり方検討会では、定員制についても議論されています。しかし、定員制を設ければ、定員からあふれる児童が出てきます。区は、学童クラブを必要とする全ての児童の居場所、健全育成に責任を持つべきだと考えます。定員からあふれる児童をどうするのか伺います。
一部の新BOPでは、登録児童数が大幅に増加し、大規模化が進行しまして、活動場所や人員の確保の面から、規模の適正化は喫緊の課題となっております。一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、子どもたちが密にならないような運営を行ったことにより、スペースにゆとりが生じ、こうした子どもたちが伸び伸びと活動できる状況が望ましいという意見を保護者からもいただいております。
検討委員会から示されました定員制の導入につきましては、待機児童を生じさせることではなく、保護者の理解や新たな居場所の創造等により行われるべきものと区としては認識しており、大規模校における定員制の導入も一つの方策として捉え、大規模校の解消に向けた検討を行ってまいります。
全ての児童に対するそれこそ区の公的責任、そこは非常に大事だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
第三は、民間活用についてです。
あり方検討委員会の報告では、人数に制限を設けた場合、参加できなかった児童をカバーする放課後の居場所を考える、その際に、民間の活用を考えるというような議論が出ています。民間事業者を誘致することや、民間学童の利用に経済的な支援をすることも考えられるなど、こういった意見が出されております。しかし、区内の民間学童の多くは、営利目的の塾や習い事に、放課後の居場所としての機能を付け加えたというものです。
民間学童の中には、発達障害児などの要支援のお子さんの受入れを断るクラブもあると聞いています。民間学童に入りたくても、障害特性などで入ることができないお子さんもいることなどを含め、民間学童への経済的支援について慎重に検討が必要だと考えます。
一方、検討委員会では、新たな居場所としてきたっこの事例が紹介されています。きたっこは、北沢小学校統合のときに、保護者の要求から、旧北沢小学校を使って児童の放課後事業を行ったものです。児童館の分館と位置づけて、児童館から職員を派遣しました。旧北沢小に池之上小が移ってきた、この際に北沢地区会館に活動場所を移しました。現在も利用者の評判は大変高く、安心して子どもを預けられると定評です。何よりも実績があります。
きたっこのように、公共施設などを使い、区の職員、または地域団体などが運営する居場所づくりは重要だと考えます。民間活用を考える際、公的責任を明確にし、質の確保に十分留意するというのが新実施計画で示された区の基本姿勢です。この点を踏まえて、慎重な検討が必要です。区は、民間活用についてどのように考えるのか伺います。
現在、新BOPには、大規模化や人材の確保、延長ニーズへの対応など様々な課題が生じており、新BOP事業のあり方検討委員会では、こうした課題への対応の一つとして、民間事業者等の活用について示されております。
民間の活用につきましては、民間事業者だけではなく、地域で活動する団体等との連携という視点も大切でございます。例えば御提案のきたっこのような居場所につきましても、民間団体等を活用しながら運営することも一つの方策と考えております。
区としましては、次年度実施する検討会の中で、新BOPを取り巻く様々な課題を解決できるよう、地域団体等も含めた民間活用を含め、あらゆる施策について検討してまいりたいと考えております。
第四は、人材確保についてです。
非常勤職員の欠員、定着しないという問題や、大規模化が進む中で、児童の安全確保が精いっぱいで、本来の子どもの遊びが発展しないなどの問題が指摘をされています。常勤職員は、欠員もなく定着しています。常勤職員の配置基準を四十人に一人にするなど、基準の見直しについても今後の検討において度外視せずに位置づけていただきたいと思います。
また、非常勤職員の時給を上げるなど、処遇改善を求めます。見解を伺います。
指導員の配置につきましては、年度当初三百九十七名の配置から四百二十五名まで採用を進め、現時点で必要な配置人員四百九十二名に対し、六十七名欠員が生じておりますが、こうした欠員は、短時間勤務で配置しております指導員百六十名が補っている状況でございます。
全国的な福祉人材不足もございまして、非常勤の指導員に代えて常勤の配置基準を見直すという考え方もありますが、新BOPが主に放課後に運営しているため、児童が不在の時間帯に常勤職員を配置することになりますので、工夫が必要と考えてございます。
指導員報酬につきましては、毎年見直しを行いまして、平成二十八年度から約一万二千円引き上げており、こうした処遇改善に加えまして、最適なシフト設定や効果的な募集方法を実施し、引き続き人材の確保に努めてまいります。
工夫が必要だということですけれども、人材の確保、本当に喫緊の課題です。常勤職員の配置基準見直しも含めてしっかりと検討を進めていただきたいと思います。
最後に、時間延長についてですが、区はモデル事業化するについて、一旦休止し、令和三年度に改めて検討を進めるとしています。子どもにとってどうなのか、子どもを中心に、最善の利益を守る立場で慎重な検討を求め、次の質問に移っていきたいと思います。
次は、保育園の問題について質問をします。
昨年、国基準での待機児がゼロになりました。しかし、保育の必要性が認定されながら希望した保育園に入れなかった児童が七百七十三人ありました。今年の入園申込者は昨年より六百二十八人減ったものの、入園可能数三千八百七十八人に対し、申込者数六千十五人、一次審査で漏れた児童は二千百五人に上っています。北沢・世田谷地域を中心に保育園整備はまだ必要です。
コロナ禍で経済状況が悪化している世帯も多い中、今後、保育の需要が増加することも懸念されます。見通しは不明です。今後も認可保育園を中心に、保育の質を守りながら、保育園の整備を進めるべきだと考えますが、見解を伺います。
令和二年四月の就学前人口は四万三千九百一人と過去五年で人口が最も多かった平成二十九年と比較して約一千人減少し、また、出生数の減少や育児休業希望者の増加等によりまして、今年度の入園申込者数が前年度を約六百人下回る状況となってございます。
区では、これまで保育待機児童対策といたしまして施設整備に注力した定員拡大を図り、五年間で五千七百人以上の定員を拡大し、令和二年四月には二万四百六十二人分の保育総定員を確保してございます。また、令和元年十月の幼児教育・保育無償化によりまして保護者の経済的負担の軽減を図るなど、ハード、ソフトの両面から安心して子育てができる環境を整備しているところです。
令和二年四月の保育待機児童の解消によりまして、環状八号線の西側など保育施設が充足しつつある地域もあることから、今後は必要な地域に特化し、認可を中心とした施設整備を進め、引き続き保育の質を確保し、安心して子育てができる環境づくりに取り組んでまいります。
小学校では三十五人学級が実現しました。コロナ対策と質の高い教育のためです。待機児対策として定員を増やし、子どもを詰め込む弾力化が、この間、私立、区立ともに行われてきました。令和二年四月時点で、区立保育園での弾力化、三百七十八名と詰め込みが行われてきました。弾力化の早期解消が必要です。
また、保育園もコロナの経験を受け、保育基準を見直す時期ではないでしょうか。見解を伺います。
定員の弾力化ですが、保育待機児童対策として、認可の定員を一定数超えて受入れを行っているものでございます。
委員お話しのとおり、現在区では、区立のほうで約三百人余、私立園で約二百人分の弾力化を行っております。
令和二年度を初年度とする子ども・子育て支援事業計画では、令和三年度と令和四年度の二か年で定員弾力化運用を解消することを目標としておりますが、新型コロナウイルス感染症の与える影響や令和三年四月の入園申込状況の分析と併せまして、令和三年度中に各年次の達成目標を見直すこととしております。
達成目標の見直しに当たりましては、就学前人口や令和三年四月の保育待機児童の状況等を踏まえまして、定員弾力化実施園の意向等も確認しながら、定員弾力化の解消に向け、方法やスケジュール等について検討をしてまいります。
しっかりと進めていただきたいと思います。
次に、ワクチンの問題について質問をしていきます。
介護・福祉事業者に対しては、施設、在宅と分けることなく、ワクチンの優先接種を行うことを求めて質問したいと思います。
介護従事者の優先順位については、入居施設に従事する職員は、高齢者と同じ順位で接種ができるようになりました。この順位は国が決める、その中で、まず医療関係者、そして高齢者、その次に介護従事者と、施設に関してだけは高齢者と同時に接種できるというものです。しかし、在宅ヘルパーについてはこれが違うということで運動が広がってきました。その中で、条件つきで優先接種が進められることになりました。
三月には、三月三日ですか、厚生労働省が在宅介護従事者にも条件つきでワクチン優先接種の対象に加えることを認めたと。この内容は、事業者が感染患者及び濃厚接触者に介護サービスを提供する旨を区市町村に登録し、登録した事業所の職員でサービス提供の意思を有する事業者のみが対象になる。つまり、感染者、濃厚接触者だけが対象というわけです。この手続は、医療従事者や施設介護従事者にはなく、在宅介護に限るものだと。在宅ヘルパーからは、なぜ自分たちだけが条件つきなのかと、施設、在宅と分けることなく優先接種してもらいたい、こういう要望が上がっています。
介護従事者を無条件に優先接種対象とするよう国に働きかけるべきだと思いますが、見解を伺います。
新型コロナワクチンの接種に当たり、当面確保できるワクチンの量に限りがあることから、優先的に接種を受けられる対象の決定は国が行うこととされております。第三波のときに、区内でも現にございましたが、病床が逼迫し、高齢者においても、やむを得ず自宅療養を余儀なくされるという事態が生じておりまして、こうした患者等に対して介護サービスなどを継続する必要があるという課題に対応するため、居宅でのサービス提供などを行う意思を有する介護事業所等の職員が、今回優先接種の対象である高齢者施設等の従事者に新たに含まれるよう、取扱いが変更されたものでございます。
区ではこの間、社会的検査の実施など、居宅系サービスも含めた福祉施設全般の感染拡大防止に取り組んできており、こうした区の取組の方向性や国の見直しの動向も踏まえ、国が定めた考え方を基本としながらも、ワクチン接種の効果的な実施や感染拡大防止に資する適切な接種順位について、区として検討を進めてまいります。
区は、社会的検査などの中で、こういった在宅を支える介護従事者についての必要性についても痛感しているんじゃないかと思います。しっかりと進めていただきたいと思います。
次に、医療体制の支援について質問をします。
緊急事態宣言の再延長がされて、期限が迫ってきましたけれども、新規感染者が下げ止まらず、増え始めています。リバウンド、変異株の感染拡大などが危惧されています。第三波では、病床が空かず、入院できない多くの感染者が自宅待機せざるを得ない。その間に重症化して命を失うということも起こりました。このようなことを繰り返してはなりません。
医療機関の逼迫は解消されつつあるようですが、次の感染拡大が起こったときに入院できない、医療崩壊を起こさない、そのために今のうちに対策を進めることが重要です。
一般質問で、我が会派から提案した重症者を扱う医療機関から、回復期の患者を受け入れる後方病床の確保に今こそ取り組むべきです。区は答弁で、回復後、リハビリや持病等への対応から自宅に戻れない方が一般病床やリハビリ病床へ転院できず、感染症病床の空きを圧迫し、自宅待機者増加の要因となったとして、また、区市の事例も参考に検討していくと答弁もしています。地域の介護施設の協力を仰ぐなど検討してはいかがでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の退院基準を満たしたものの、リハビリや元の持病の療養といったようなことから、自宅に戻れない方が他の病院への転院や高齢者施設への入所ができずに、感染症病床の空きを圧迫するという状況がございまして、年末年始、感染者の急増の時期にメディアでも取り上げられておりました。世田谷区においても、本人の意思でない自宅待機者が発生した要因の一つであると、そのように考えております。
国や都の取組といたしまして、医療機関に対して、そういう診療報酬の加算ですとか、都では受入れの医療機関への助成金というのを設けているところでございます。また、介護保険施設につきましても受入れに関して、介護報酬の加算や臨時的な扱いというのを行っておりまして、介護関係のところで事業者の団体でも自主的な取組を始めたところがございます。
区では、特別養護老人ホームに対しまして改めて国の取扱いを通知いたしまして、臨時的な扱い等を活用した受入れの促進を図っております。また、現在、保健所の入院調整に当たっては、できるだけ退院後の生活を見越した対応を行っておりまして、区内の医療機関におきましても、加算や助成を活用した受入れ、こちらを前向きに考える病院もあると伺っているところでございます。
委員お話しの地域の介護施設の協力などを含めまして、一時期より感染が少なくなっている現在でございます。こうしたうちに区としてできる対応を検討してまいります。
やはり今のうちに準備をすることが大変大事だと思いますので、しっかり進めていただきたいと思います。
次に、個人事業主に国保の傷病手当をということで質問させていただきます。
国保に加入されている事業者の多くは、自営業者、あるいはフリーランス、本人が休業すると、その分収入がなくなり、生活困窮と事業そのものの継続ができない事態に直結します。国の傷病手当金は、給与収入のみ対象としていますが、国に事業主も傷病手当支給対象とすることを世田谷区としても求めるべきです。全国には、長野県伊那市、岐阜県飛騨市、滋賀県野洲市、埼玉県和光市など、自治体独自に個人事業主に傷病手当や傷病見舞金を支給するところがあります。傷病手当は、コロナに感染し、仕事ができなくなった国保加入者への休業補償です。
昨年、他会派の質問に対し、区は個人事業主へ傷病手当が支給されないことを、同じ傷病にかかったにもかかわらず、同じ給付を受けられない点は不平等であるということを認め、国に対し給付すべきと要望すると答弁しています。しかし、区への問合せが少ないとニーズは高いとは言えないなどとして対応をしていません。問題は、問合せの件数ではなく、その人にとってどう必要なのか、その必要性だと考えます。
世田谷区は同性パートナーにも傷病手当を支給する画期的な対応をしました。問合せ件数ではなく、必要性や人権を考慮して決めたのではないでしょうか。改めて自営業者への傷病手当支給を国に求めるとともに、区独自の傷病手当または傷病見舞金を行うことを求めます。見解を伺います。
御指摘のとおり、傷病手当金は給与等の支払いを受けている者が対象になりますので、給与等の支払いを受けていない個人事業主は対象外となっております。このため、結果として、同じ傷病にかかったにもかかわらず、同じ給付を受けられないということが生じておりまして、こうした制度上の課題につきましては、制度設計者である国において解決すべきものと考えておりまして、区としては、機会を捉えて国に改善を求めてまいります。
区の独自財源による傷病見舞金につきましては、今後、当面継続すると見込まれる厳しい財政状況を踏まえ、必要性、有効性や施策の優先順位、こうしたものを見極めながら、実施の可否を含め慎重に検討してまいります。