2021/03/29
日本共産党世田谷区議団は、令和三年度世田谷区一般会計、介護保険事業会計及び学校給食費会計予算に賛成し、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療会計予算に反対の立場で意見と要望を述べます。
まず、新年度予算の評価です。
新年度予算は、PCR検査拡充など感染症対策に重点を置き、暮らしや子どもたちを支える積極的予算と評価します。高齢者施策では、第八期介護保険料を引き下げ、国の制度改悪から高齢者紙おむつ支給・助成制度を守ったことを評価します。また、大幅な税収減少が見込まれますが、財政は健全であり、本庁舎整備を始める条件はあると考えます。
次に、国保会計です。
コロナ禍で困窮する自営業者が多く加入する国保に関して、高過ぎる国保料軽減のための区独自対応及び国としての構造的問題の是正を求めてきました。来年度保険料に関しては、区長会において規定どおりの値上げでなく、区長がコロナ禍の状況の中、例年どおりでよいのか課題認識を提示したこともあり、前年度と同様の賦課総額算入割合を据え置いたことは重要です。しかし、コロナ禍での医療費は削減し、コロナ禍での区民生活を考慮したさらなる配慮が必要であることから、国保会計予算に反対します。
区としては、今後も高過ぎる保険料抑制のための独自対応と国への要望を求めるものです。
次に、今後の区政運営についての意見です。
感染者は再び増加、第四波が危惧されます。感染拡大を防ぐためにPCR検査の抜本的拡大、医療機関の財政支援、事業者への十分な補償という三本柱での対策強化が必要です。
今後の区政運営では、コロナから区民の命と暮らしを守ることを最優先に、コロナ後の新しい社会を見据えた取組を進めることを求めます。
まず、感染症対策です。
区は、これまで行った社会的検査を検証し、定期検査を受検した施設がそうでない施設よりも陽性者やクラスターの発生が少ない傾向にあることや、無症状保有者の三四・六%が他者に容易に感染させ得るウイルス量を保持しており、その八割が高齢者との結果を示しました。
区が定期検査の頻度を二週間に一回の受検を促すとしたことを評価します。こうした新たな知見も生かして、区民の理解を得る努力をしながら、社会的検査をさらに推進し、課題の定期検査の間隔短縮や未実施施設の受検促進などが必要です。
保健所の体制強化については、支所、保健師の保健所配置及び委託や派遣などでの強化を図ること、今すぐ取り組むことを求めます。さらに、再来年度からの計画的な保健師増員を求めます。
ワクチン接種を確実に進めるために必要な人員体制の確保、分かりやすい周知を求めます。区独自に介護従事者を無条件に優先接種対象とするよう求めます。
次に、区民の生活と区内事業者の活動を守る取組についてです。
私たちが実施した区民アンケートでは、回答者の五一%が生活が苦しくなった、約三割が住宅確保給付金など公的支援を利用と答えています。失業した、売上げが大幅に減ったなどの状況の中で、支援が途切れれば生活は成り立ちません。緊急小口資金などの申請件数と生活保護の相談件数は増えています。相談者への丁寧な対応、支援制度や生活保護の周知、生活支援課などの体制強化及び直接支援を含めた困窮者対策の強化を求めます。
事業者も大変厳しい状況です。国に事業規模に応じた給付金などの支援を求めるとともに、区としての直接支援やゼロ金利融資の継続、返済期間の見直しなどの検討を求めます。
また、国保では、コロナの影響による国保料減免を来年度も継続、フリーランスを国保料減免対象や傷病手当の対象にすることを国に求めていただきたい。さらに、区として制度のはざまにある加入者への支援を求めます。
次に、子どもの学びと育ちの支援についてです。
コロナ禍の経済状況悪化から子どもたちを守るために、引き続き全庁的な貧困対策強化が必要です。来年度からの居場所や学習支援の新たな拠点整備を評価します。ひとり親世帯への育成手当増額及び二人親も含めた困窮世帯支援を求めます。
ICT教育に関しては、生活保護世帯で通信費補助が収入認定されないようにするなど、全世帯での必要な環境整備支援を要望します。
また、来年度、発達障害児対応の特別支援学級が開設されます。増加する不登校児や発達障害等支援が必要な子どもたちが置き去りにされ、行き場がない状況の改善のためにも、必要な予算、人員と基盤整備を求めます。
次に、DXについてです。
国が進めようとしている自治体デジタル化は、官民での個人情報の利活用促進のため個人情報保護法制を一本化しようとするものです。自治体情報システムを二〇二五年までに、国の定める標準システムへの移行を進めるとしています。世田谷区の個人情報を守る仕組み及び世田谷区独自の住民サービスを後退させてはなりません。プライバシー権などの人権や住民の福祉を守るために、国に対し声を上げることを求めます。
次に、区政の重要課題についてです。
地域行政制度は、区民の参加と提案の権利を条例に位置づけ、全区民的な議論を積み上げるべきです。政策形成過程での区民の関わりをより強化すべきです。まちづくりセンターは、身近な行政窓口としての機能の拡充に取り組むことを求めます。
次に、民間活力導入についてです。
新実施計画の行政経営改革の視点では、サービス向上とコスト縮減が図れる場合は、行政の責任を明確にして、質の確保に十分留意しながら、民間活用を進めるとあります。ところが、区立図書館の在り方検討の議論で、区は民間活用で人件費が大幅に下がっている資料を示し、区の財政不足や重点分野への人材配置に対応するため、民間活力の活用による効率的な運営を図る必要があるとしています。人員や人件費削減に重点が置かれた議論では、知と学びと文化の情報拠点という政策目的に逆行します。区立図書館は、直営を基本とした運営で人材育成を進め、サービス向上の努力を進めるべきです。
次に、外環道についてです。
大深度法の前提が崩れる重大事態において、地元区として、区長の七項目の要望に沿った住民への丁寧な情報提供、情報開示、また説明責任を果たすことなど、事業者へしっかり求めていただきたい。また、区長はこの間、東名以南推進を求めてきましたが、一度立ち止まり、再考を求めます。
次に、公共交通不便地域対策についてです。
コロナの影響でバス路線の廃止や減便が進み、全区的な不便地域解消の一層の取組が必要です。まず、令和四年度の砧地域の早期の実証運行を求めます。
以上、意見とします。