2022/03/15
それでは、私からは新BOP学童クラブについて質問します。
区は、新BOP学童クラブの大規模化、狭隘化の解消は喫緊の課題だとして、普通教室の活用と外部に民間学童クラブを誘致する方針を出しました。民間学童の誘致は一年間延期し、その間に保護者や関係者の議論をするとなっています。一方、狭隘化は看過できない喫緊の課題だとして、登録児童数が二百人を超えた五校程度から、一校当たり二教室の普通教室を活用すると、可能なところから早急に取り組むとしていますが、進捗状況はどうでしょうか。
教育委員会の担当に聞きますと、普通教室以外の使用できる場所で調整しているなどと言っていますが、これで必要な場所は確保できるのか、教育委員会任せにせずに、区長部局として責任を持って進めるべきと考えますがいかがでしょうか。
区では、新BOP学童クラブの狭隘化、大規模化の解消等のため、学校外に放課後児童健全育成事業者を誘導する方向で進めてまいりましたが、運営の質の確保など、さらなる検討を進めるため、喫緊の課題解決に向けた取組の進め方を一部見直しまして、一年間実施を先延ばしいたしました。
それまでの間、区では新BOP学童クラブの大規模化、狭隘化を解消し、子どもたちの過ごす環境を少しでも改善させるため、普通教室の活用などできるところから取り組むこととしております。現在、教育委員会事務局におきまして、四月以降の普通教室の利用に向けて調整してございまして、一部小学校でそのための設備面の改善を進めているところでございます
子ども・若者部としましても、特に大規模校について、狭隘化解消のため普通教室の利用に加え、学校施設をより有効に活用できるよう、必要に応じて子どもたちの活動場所の工夫など環境改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
教育委員会任せにしては進まないと思うんです。担当に幾ら聞いても、具体的なことが何にも出てこない。やはりこれは、学童に責任を持つ区長部局が個別具体にどうなっているのか詰めていく必要もあると思います。副区長、いかがでしょうか。
普通教室の活用につきましては、教育長にも直接依頼して具体的に進めているところです。可能なところから始めまして、課題などがあれば随時改善して、普通教室を活用できる学校を広げていきたいと考えています。
ぜひしっかりと個別具体に詰めて進める必要があると思います。子どもの安全を確保し、一人一人に目が行き届くには、職員配置を充実する必要があります。大規模化が進む中で、従来の職員配置基準は百三十三人以上の規定がありません。二百五十人と、その二倍近くの規模に達するクラブもある中で、特に正規職員については九十五人以上は二人、これでもう頭打ちです。正規職員の配置、こういったものもきちんと増やすべきですが、見解を伺います。
新BOP学童クラブでは、共稼ぎ家庭の増加など、保護者の働き方の変化などにより年々登録児童数が増加しておりまして、職員が子ども一人一人と関わる時間が少なくなるなどの課題が生じてございます。現在、新BOP学童クラブの運営につきましては、事務局長、常勤職員の児童指導のほか、日数や時間の異なる指導員、プレイングパートナーとなどを組み合わせて、安全安心な運営に向けて取り組んでいるところでございます。
大規模化の進展が収まらない中、民間事業者の学校外での活用なども視野に入れて取り組んでおりますが、今後は策定中の世田谷区放課後児童健全育成事業者の運営基準に準拠いたしまして、子どもたちが放課後を過ごす場所がよりよい環境となるよう、これまで以上に活動の場や人員の確保に努めるとともに、常勤職員や会計年度任用職員を含めた適正な人員配置について検討してまいりたいと考えております。
人の配置、しっかり進めてください。新BOP学童クラブは直営が基本です。民間学童クラブで、職員の入れ替わりが激しいことなどが問題になっています。渋谷区では、二〇〇八年に学童保育を廃止し、全児童対象の放課後クラブという事業に転換し、営利企業などに委託し実施しています。指導員は派遣会社などが集め、突然辞めたり、年度途中の配置転換も多いと。経験が少ない人も多く、事故の連絡が適切にできなかったり、子どもの気持ちや体調に寄り添った保育が行われていない、行きたがらない子どもが増えている、こんな指摘もされています。企業は利益を求め、人件費を抑える。低賃金、不安定な雇用となって、職員の専門性も育たないなどの問題がよく起こります
一月に行われた区民団体のシンポジウムで、関係者の方の発言が印象的でした。学童の職員は、子どもの様子に気を配り、適切な対応をする専門性が求められるんだと。子どもたちの交流の中で学びや育ちを獲得している、子どもたちにとって安心できる居場所となっている、配慮を要する子どもの見守りや関係機関との連携も学童クラブの重要な役割だ。経験を積んだベテランの職員の存在がとても重要だと、直営で続けてきたからこそ、世田谷の職員にはこうした専門性も備わっているし、今後も直営を続けることが重要だと
指導員の専門性、区の職員が長年蓄積してきた経験やノウハウについて、区はどのような認識か伺います
新BOP学童クラブでは、職員がこれまでも遊びを通して子どもたちと関わる中から、子どもたち一人一人の状況を観察しまして、必要な支援等を行っております。また、配慮の必要な子どもについても積極的に受け入れてございます。
学童クラブの職務に従事する常勤職員は、主に児童指導員や保育士の資格を有する学童保育に精通した福祉職を配置しておりまして、そのほかの会計年度任用職員を含め、東京都放課後児童支援員認定資格研修を受講させているほか、都の支援員資質向上研修など必要な知識及び技術の習得並びに課題や事例を共有するための研修を受講することによりまして、資質の向上を図っているところでございます。
これまでも、区の職員につきましては、長年蓄積してまいりました経験やノウハウを、ベテラン職員から若手職員に引き継いで、子どもとの適切な関わり方を習得するとともに、家庭との面談を行うなど、子どもや家庭の状況把握に努めているところでございます。
また、ソーシャルワークについてスキルアップの機会を設けるなど、支援の必要な児童や家庭について、他の所管や専門機関と連携をしていくための取組も進めているところでございます。
区としましては、小学校内に運営する新BOPについては、引き続き公設公営で運営し、区の職員が培ってきた経験やノウハウを生かしながら、児童館や子ども家庭支援センターとも連携しながら、セーフティーネットの役割を果たしていけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
こうした経験やノウハウ、専門性というのは本当大事だと思います。しっかりと守っていただきたいと思います。
次に、介護予防・日常生活支援総合事業について伺います。
総合事業は、平成二十六年の法改正で、介護保険の給付費削減などを目的に要支援一、二の方の訪問通所サービスを介護保険給付から外し、自治体が担う総合事業に移しました。総合事業には主に二種類あります。一つは、緩和型の住民主体サービスなど主に無資格の地域ボランティアが担い手となった地域デイ、二つは介護事業者による従前相当サービス。
国の調査で、多様なサービス、新しいサービスは訪問型で三二%、通所型で二五%にとどまり、大半は従前相当サービスが利用されているという実態です。国は、要介護一、二も総合事業に移し、介護保険給付から外すという動きをしました。そのとき、国は世田谷区の事例を持ち出して根拠にしました。
しかし、二〇二〇年九月の議会で、世田谷区にそのような意図はないということを区長は明言しています。その年の十月、省令改正が行われ、総合事業を利用していた要支援者が本人希望と市区町村判断で、要介護認定後も総合事業を行えるという要件緩和が行われました。十一月に区内介護関係者のシンポジウムが開かれました。この省令改正に対して、要介護の介護給付外しにつながるんじゃないか、住民ボランティアによる要介護者への介護はリスクがある、ボランティアの善意が介護給付削減の動きに利用されているんじゃないか、こういう多くの意見が出されています。
十一月の議会で、我が党の八期の導入は拙速であり見送るべきだとの求めに対し、区は、地域デイサービスの利用者や運営団体などから現場の実態を把握し、議会などの意見も伺いながら、区の方針を検討すると答弁しました。ところが区は、四月に要介護者を総合事業の対象とすることを表明し、介護関係者からは、説明がないまま区は導入しているという声が上がっています。
また、地域デイはボランティア団体が実施します。要介護となった利用者が常に見守りが必要だとか、身体介護が必要など従来専門職でなければできなかった介護をボランティアに行わせることになるんじゃないか。ボランティアが身体介護など、従来専門職でなければできなかった介護を行うようなことはないのかどうか、区の見解を伺います。
総合事業の対象者弾力化により、地域デイサービスの新たな補助対象者となる継続利用要介護者は、国のガイドラインにより次の要件となります。
一つ目、令和三年四月一日以降、介護認定による介護給付サービスを受ける前から継続して地域デイサービスを利用していること。二つ目、地域デイサービスの団体が引き続き利用を受け入れること。三つ目、利用者本人の希望に基づき、ケアマネジャーがその利用の適切性を判断し、ケアプランに位置づけること。この三つとなります
地域デイサービスは、地域住民やNPO法人が運営する週一回三時間程度の定期的な通いの場で、食事や心身状態のフレイル予防を目的とした体操などの軽運動やレクリエーションなどを行っており、サービス提供はボランティアが担っているため、身体介護を前提としておりません。
今回の制度改正では要支援者または事業対象者として地域デイサービスを利用していた方が、要介護認定による介護給付のサービスを受けた後も継続して地域デイサービスを利用するものでございます。このため、要介護者が従来の対象者である要支援者または事業対象者と同様に、身体介護のないボランティアによるサービスであっても、その方の自立支援につながるかどうかは、本人や家族の希望を踏まえた上で、ケアマネジャーがケアマネジメントの中で判断することになります。いずれにいたしましても、介護のルールを変えるものではございません。
ボランティアが身体介護は行わない、ケアマネジャーが判断するという話ですけれども、実際の運用でそういかない場面が出てくるんじゃないかと。例えば目の前で何か起こったときに手を出せないということにはならないんじゃないかと。現場ではそういう心配がたくさんあるということです。本当に大丈夫なのかという疑問にしっかりと説明できるのか、ここを問われていると思います。
次に、ボランティアに身体介護をさせないという保障はあるんでしょうか。区の責任や区の判断というのはあるんでしょうか。
繰り返しになりますが、地域デイサービスは身体介護が必要な方を想定としたサービスではございません。団体の受入れ意向とともに、要介護者が身体介護のないボランティアによるサービスであっても、その方の自立支援につながるかどうかを本人や家族の希望を踏まえた上で、ケアマネジャーがケアマネジメントの中で判断することになります。
区は、国の総合事業のガイドラインに記載された市町村の役割を踏まえ、地域デイサービス団体に対する研修機会の提供などを通じて支援してまいります。
結局、区は研修機会の提供などと、判断は現場に任せるということですけれども、ボランティアに身体介護させない保障は本当に不確かなものだというふうに思います。地域デイを行っていない介護事業所も、介護制度に関わる問題として関心を寄せている、そういう人たちが説明がないと怒っているんです。広く区民、介護関係者に説明の場を設けることを求めます。いかがでしょうか。
今回の総合事業の弾力化に当たって、区は、制度改正の内容を精査した上で議会から御意見を伺うとともに、当事者となる地域デイサービス団体や居宅介護支援事業所、あんしんすこやかセンターに対してアンケートや説明会などを通じて、制度改正の趣旨等を説明し、御意見を伺いながら、令和四年四月一日に対応を開始することとし、準備を進めております。三月の下旬には、あんしんすこやかセンターへの説明やホームページの掲載を行うなど丁寧に説明、周知を行ってまいります。今後も必要に応じて関係者に対して説明し、周知してまいりたいと考えております。
関係者に対する説明をするということですが、これは本当にしっかりとやっていただかなきゃいけないと思います。
それから、要介護の人もボランティアに委ねるという、これは規制緩和です。利用者の安全や介護の質の低下につながりかねない問題です。命に関わる問題、今後区としても実態を把握し、必要な対応をしていくべきと思いますが、部長いかがでしょうか。
先ほど課長から答弁申し上げたとおり、当事者となる地域デイサービスの団体等に意見を聞きながら、四月から開始するということで準備を進めております。
ただ、今、委員おっしゃられたとおり、実際に実施していく中で危険なことがないように、実態を見ながら、状況に応じて対応してまいりたいと思います。
しっかりと実態を見て対応していただきたいと思います。
最後に、手話言語条例について伺います。区は、障害理解の促進や障害者の差別解消、情報コミュニケーション等に関する条例を検討していますが、手話言語条例を別立てとすることを求めて質問します。
手話言語条例には二つの役割があると思います。一つは、手話が言語であることの理解を広げるということです。手話が言語であるということは、障害者権利条約や障害者基本法に明記されていますが、日本語は音声で伝えることを基本とした言語、これに対して、手話は体の動きや顔の表情が語彙であるとか文法だというふうに言われています。生まれつき聞こえない人にとって、音声を基にした日本語の習得は特別の努力を必要とすると。音声の言語と手話は別の言語だと。聴覚障害者の方からは、生まれつき聞こえない人は筆談や字幕が理解しづらいという人もいる、大阪府が乳幼児向けの手話教室を開いている、聴覚障害者にとっての母語となる手話を幼少期から習うことで思考力の発達にもよい影響が期待できる、こういう話を聞きました。
第二に、手話を使用する人に社会的障壁のない社会をつくるということです。過去、聾学校で手話が禁止され、社会では手話を使うことが差別された歴史があります。社会的障壁のない社会に、聴覚障害者の皆さんは五つの権利を求めています。手話を身につける権利、手話を使った学習をする権利、手話を教科として学べること、そして手話を自由に使え社会参加できるように手話通訳者などを増やすこと、そして言語としての調査研究です。
言語としての手話について、区の認識はいかがでしょうか。
平成十八年に国連総会で採択され、日本も批准している障害者権利条約では、言語は音声言語及び手話、その他の形態の非音声言語と定義され、手話は言語として国際的にも認知されているものと認識してございます。聴覚障害者団体や当事者の方からは、独自の語彙や文法体系を持つ言語としての手話は、聾者の方にとって大切なアイデンティティーであると伺っており、手話は情報の取得とコミュニケーションの手段として重要な役割を担っていると考えてございます。
こうしたことからも、区としては、手話は音声言語と同じ言語であり、その理解を深め、手話を普及し、手話を使用できる環境を整備していくことが重要であると認識してございます。
別立てとするべきです。いかがですか。
今後、条例素案の取りまとめに当たりましては、当事者等の方から御意見を伺いながら、手話言語条例を別立てとするかについても整理してまいります。
終わります。