2022/09/21
日本共産党世田谷区議団を代表し、質問します。
初めに、国葬、統一協会について質問します。
岸田政権は、安倍元首相の国葬を九月二十七日に強行しようとしていますが、我が党は安倍元首相の国葬に反対です。国葬は安倍氏を特別扱いし、憲法十四条、法の下の平等に反します。また、区民に弔意を強制することになり、憲法十九条、思想及び良心の自由に反します。国葬の強行は安倍元首相が行った安保法制強行、森友、加計、桜の国政私物化などを国家として公認することとなります。
また、統一協会と自民党との癒着が問題となっていますが、その中心にいたのが安倍元首相です。国葬をすることが国としてのお墨つきを与え、統一協会との癒着を免罪することになります。七月の私的葬儀の際、本庁舎、総合支所庁舎に半旗が掲揚されたことは区民への弔意の強制につながりかねず不適切でした。
その後、区長が市民団体や我が党の申入れに応え、国葬の際に庁舎や学校での半旗掲揚や黙祷は行わないと表明しました。区長が七月に半旗掲揚の判断をした理由は何か、説明を求めます。また、国葬について明確に反対を表明することを求めます。区長の認識を伺います。
統一協会は、霊感商法、集団結婚などで甚大な被害を出している反社会的カルト集団です。マインドコントロールで違法な霊感商法や高額献金に駆り立て、多くの被害者を出してきました。区は、統一協会と一切の関係を持たず、被害者救済のために取り組むべきです。統一協会についての調査の結果、イベントの後援、掲示板の使用、集会施設の使用などが明らかとなりましたが、公金支出についても再調査することを求めます。区としての今後の対応の方針を広く公表することを求めます。
次に、子ども政策についてです。
子ども計画(第二期)後期計画が内包する子ども・子育て支援事業計画の残り二年の調整計画策定の中で、今後の子ども政策の考え方としてグランドビジョンが示されました。この計画には、区立保育園を令和十六年までに四十六園から三十九園に七園減らす統廃合計画が含まれます。区立保育園の廃止は公的責任を縮小し、地域の子育て支援の力を後退させることになります。我が党は、統廃合計画に反対です。
これまで詰め込みで行われてきた保育の在り方を見直し、ゆとりのある環境をつくることや、その中での公立の福祉施設としての区立保育園の役割の発揮を進めることこそ地域の子育て支援の強化につながります。議会などの僅かな議論で来年三月策定ではあまりに拙速です。当事者である子どもや保護者、子育てに関わる広い区民に呼びかけて参加と協働で議論を重ね、今後の方針を出していくべきです。
グランドビジョンでの基盤整備の考え方に施設の必要な再配置、在宅子育て支援に重点的に振り向けなどの言葉が並び、区立保育園の統廃合計画の数字が示されています。施設から在宅へとの意図があると考えます。見解を伺います。
かつて、区立保育園の民営化が進められたときに、延べ十三万五千筆の署名が区と議会に提出され、区立保育園を廃止するなの大きな世論が示されました。区立保育園がなぜ必要なのか、多くの声が寄せられました。地域の子育てを支える拠点であり、保育の質の基準であり、配慮の必要な子どもの受皿として欠かすことのできない存在です。
この声が民営化ガイドラインとなり、現在の保育の質ガイドラインへとつながっています。令和元年の台風十九号による浸水被害に遭った尾山台保育園は一階が使用できなくなりました。近隣の区立奥沢西保育園が改修工事が完了するまでの四か月半、年長組二十人をクラスごと受け入れました。区立園のセーフティーネットとしての役割が改めて注目されました。
平成三十一年に策定された区立保育園の今後のあり方には、区立保育園は地域における身近な公設の児童福祉施設として、全ての子どもの安全と健やかな育ちを保障するとして、地域の保育の質の維持、向上、支援が必要な家庭の早期発見と対応、地域子育て支援機能の充実、災害時や緊急時のセーフティーネットなどの役割が示されています。区立保育園の役割を児童館と同様に子育て支援の核としてグランドビジョンに位置づけるべきです。見解を伺います。
私立保育園関係者から、区立園は今の数のままセーフティーネットの役割を果たしてほしいなどの声も聞かれます。区立保育園の統廃合計画を多くの保育関係者、保護者は知りません。参加と協働は区政の根幹です。子ども・子育て応援都市宣言では、「地域は、子育て家庭が楽しく子育てできるように応援します」とあります。地域全体の参加と協働を進める立場です。
そもそもグランドビジョンは、子ども・子育て支援計画の今後二年間の調整計画です。調整計画に区立保育園の統廃合計画を反映させることを拙速に進めず、参加と協働で議論を進めることを強く求めます。見解を伺います。
私立保育園のゼロ歳児欠員への経済的支援を求めます。
出産時期や育児休業の条件は様々です。年度途中で入園できることは正常な状態です。私立保育園の委託費は子どもの数に応じて決められ、定数に空きが出ている状態で職員を確保する費用は施設の持ち出しです。私立保育園からは、職員を確保するためにも世田谷区へ補助を求める切実な声を伺っています。共産党都議団の調査で、都内三十一自治体が私立園の欠員への補助をしています。新宿区は月ごとに欠員数分の公定価格(基本分)に相当する金額を補助しています。
私立保育園の職員確保のための補助実施を求めます。見解を伺います。
詰め込み保育からの転換に踏み出すべきです。
待機児問題が深刻な時期に弾力化と称して詰め込みを行ってきました。今年四月時点で、区立保育園での弾力化は二百六十八名です。そもそも国の保育基準は七十年以上一度も改善されず、国際的にも低い状況です。二歳以上の面積基準は一人当たり一・九八平米、フランス・パリ市は三歳以上五・五平米です。職員配置基準も四、五歳児は三十人に一人、フランスは三歳以上十五人に一人です。子どもの減少をゆとりある保育へ転換するチャンスと捉え、これまでの職員や施設を維持すべきです。区独自に保育基準の見直しに取り組むとともに、国に対し働きかけることを求めます。
多子世帯の国保料の独自減免を求めます。
国は、四月から未就学児の均等割を半額軽減する措置を取りましたが、対象が狭く不十分です。我が党は、国が対象拡大に取り組むまでの時限的措置として区独自の対象拡充を求めています。狛江市では、本年度より十八歳未満の第三子以降の均等割全額を免除しています。独自に実施する自治体が全国に広がる中で、国は未就学児の均等割保険料の軽減措置に係る考え方についてという通知を出しました。この中で減免について、法令違反とは言えないものの、適切ではないと示しています。
国会議員団を通じ国に確認したところ、自治立法権を侵害するものではなく、従来と解釈は変わらないとの回答を得ました。自治体独自で特別の事情があるときは減免できるということです。この文書に対する区の認識を問います。
国保料の独自減免にはシステム改修が必要になりますが、国によるシステム標準化も控えています。国に対し、区の独自施策のためのシステム改修費の財源を求めるべきです。見解を伺います。
英語スピーキングテストについてです。
東京都は、今年度から東京都中学校英語スピーキングテストを都内全公立中学校の三年生全員を対象に実施し、その結果を都立高校入試に活用する計画を示しています。ベネッセがテストを実施し、フィリピンで採点を行い、一月中旬に結果が返却されます。テストを受けるにはベネッセに個人情報を登録する必要があります。個人情報の登録を拒否すれば試験は受けられず、零点となります。
一方、国立や私立中学はスピーキングテストを受けるかどうかは任意です。東京以外の中学では受けません。こうしたスピーキングテストを受けない者の点数は、同じ高校の学力検査で同点である他者のスピーキングテストの結果の平均で出されます。入試の点数が他者の結果で評価されるということです。どの設問が何点かなどの採点内容は通知されません。採点が公正か検証できません。人生を左右することもある入試の公平・公正性に欠けています。
都議会では、都立高入試に英語スピーキングテストを使わないようにする条例案が出されました。中学校英語スピーキングテスト結果の都立高校入試への活用の延期・見直しに関する請願、これが継続審議となりました。保護者の声を受け止め、都教委に対して高校入試での英語スピーキングテストの中止を求めることを求めます。
以上で壇上からの質問を終わります。
中里議員にお答えをいたします。
安倍元首相の葬儀の際、本庁舎及び総合支所に半旗を掲揚した理由と経過、また、国葬についての私の見解についてお尋ねがございました。
まずは、安倍晋三元首相が選挙期間中、凶弾に倒れ、亡くなったことに心より追悼の意を表したいと思います。民主主義の根幹である選挙の最中、殺害されるという事件は極めて衝撃的であり、決して許されない行為であるということは区民の多くの方々に理解される思いであると判断したことから、安倍元首相の葬儀、告別式に際しまして区役所本庁舎や総合支所において半旗を掲げ弔意を表するよう、私が指示いたしました。不適切との御意見をいただきましたが、以上が判断の経過であります。
一方、九月七日の記者会見でも申し上げたことですが、私自身、九月二十七日に予定をされております国葬儀、国葬と言われていますが、正しくは国葬儀に対しまして、この決定プロセスを含めて違和感を率直に覚えたものであります。既に戦前に制定された国葬令は失効しておりまして、吉田茂元首相を除く戦後の歴代首相の葬儀は内閣・自民党合同葬、また、三木武夫氏の場合、衆議院・内閣合同葬という形で行われている中で、なぜこれが踏襲できなかったのかという思いがまずありました。世論調査でも、この国葬儀の是非について意見は、当初の賛否半々から、最近だと反対の声がかなり大きく上回っております。
何より、国内に新たな分断を生じるようなことは避けるべきと考えております。岸田首相をはじめとする政府関係者は、地方公共団体や教育委員会に弔意表明の協力要望は行わないとの見解を示しておりまして、区としては半旗の掲揚などを行わず、静かに見守ることとしたいと考えております。
国葬に反対をというお尋ねでしたが、私自身は違和感を隠せないと申し上げておきたいと思います。
以上です。
私からは、旧統一教会に関連する調査などについて御答弁いたします。
区と社会的に問題となる行動が指摘されている旧統一教会及びその関連団体との接点については、調査の結果、関連団体のイベントへの名義使用承認一件、地域の清掃活動のポスター掲示承認一件などが確認されました。区が団体等の活動を擁護しているとの誤解を生じる可能性のある名義使用承認などは、今後は行わない方針を区議会議員の皆様にお示しするとともに、区ホームページにも掲載したところでございます。
御提案の団体等への公金支出の状況につきましては、今後追加の調査を検討させていただきたいと考えております。
以上でございます。
私からは、子ども政策について、グランドビジョンの基盤整備の考え方に施設から在宅へとの意図があるのかについて御答弁申し上げます。
このたびの今後の子ども政策の考え方、グランドビジョンでございますが、子どもの施設を廃止して全て在宅子育て支援に移行させるという政策転換を意図するものではございません。子ども人口の減少に合わせて、単に支援や施設を縮小していく方策を取らずに、妊娠期からの在宅子育て支援を拡充することをベースに必要な施策を柔軟に組み替え、子ども政策全体で切れ目なく支えるよう政策を再構築し、子ども・子育て応援都市のバージョンアップを図ってまいります。
以上でございます。
私からは、子ども政策について四点御答弁いたします。
まず、区立保育園の役割を児童館と同様に子育て支援の核としてグランドビジョンに位置づけるべきについてです。
ニーズ調査の結果において、子育て家庭の孤立化が進んでいる状況が明らかになり、改めて区立保育園が公的なセーフティーネットとしての役割を担っていくことの重要性について区としても認識しており、グランドビジョンにおいても区立保育園は園児に限らず、就学前の子どもの育ちのセーフティーネットの役割を果たすと位置づけております。
区立保育園では、緊急保育、一時保育の拡充等を進めるとともに、本年四月からは区立保育園、おでかけひろばにおいて、理由を問わない一時預かり、ほっとステイを開始したところです。今後も引き続き、区立保育園が就学前の子どものセーフティーネットとしての役割を行政の責任の下、担い、児童館と共に全ての子どもの安全と健やかな育ちを保障するための取組を着実に進めてまいります。
次に、区立園の統廃合計画については調整計画に反映させず、今後、参加と協働で議論を進めるべきについてです。
区立保育園の新たな再整備計画につきましては、七月二十八日の福祉保健常任委員会において御報告させていただき、グランドビジョンはその内容を反映したものとなっており、九月に発行した保育のごあんないに掲載したほか、当該園の保護者へも丁寧に説明しているところです。今般、私立保育園の定員の空き増等の課題へ対応するため、定員数調整や弾力化定員の解除などにより保育定員の適正化を図る必要があります。
さらに、区立保育園は施設の老朽化と今後の保育需要を見据え、計画的に再整備を進めるとともに、そこで生み出される人員、財源を就学前の子どものセーフティーネットとしての役割を果たすための事業に転換していくことが必要であると考えております。
引き続き、再整備計画につきましては平成三十一年二月の区立保育園の今後のあり方及びグランドビジョン等を踏まえ、子ども条例のシンポジウムにおいてグランドビジョンを取り上げるなど、今後も機会を捉えて保育現場や利用者等からの声もよく聞き、保育需要を慎重に見極めながら進めてまいります。
次に、私立保育園への補助を実施すべきについてです。
区の将来人口推計においても、就学前人口の減少が続く中、区立保育園における定員の削減や弾力化の解消を進め、私立保育園等への入園申込みの増加を図ることで私立保育園等の安定的な経営につなげていけるよう取組を進めているところです。
令和四年四月の私立保育園等のゼロ歳児クラスの定員の空き数は、新規開設等による三十三人の定員増にもかかわらず、昨年度の二百二十五人から百九十二人と改善しており、九月時点ではさらに十四人まで減り、昨年度よりも早いペースで解消に向かっている状況です。今後も保育需要を慎重に見極めながら保育定員について判断し、定員の空きの問題も含めて関係者の声を聞きながら取組を検討してまいります。
最後に、区独自に保育基準の見直しに取り組むとともに、国に対しても働きかけを行うべきについてです。
就学前人口が減少に転じ、区では、保育定員の適正化を図る中、待機児対策として行ってきた定員弾力化の解消を進めているところです。弾力化の解消による定員適正化は保育の質を今後さらに高めていく機会になると認識しています。
一方で、私立保育園は年度の途中において空きがほぼ埋まってくる状況であり、また、保育人材の確保も引き続き課題となっております。直ちに保育基準を変更できるほどの余裕が生じている状況ではございませんが、待機児童ゼロを継続しながら、同時に質の高い保育の実現に向け、国への基準改善の働きかけや、区独自の補助も含めた今後の保育施策について、引き続き検討してまいります。
以上でございます。
私からは、国保関連二点御答弁いたします。
御指摘の厚生労働省の通知では、均等割保険料の子どもの対象範囲の拡大等については地方団体と協議を行いながら検討していく必要があると示しました。
一方、保険料の減免に関して、特別の理由がある者に対し、条例を定めて減免等ができるものとしていますが、特定の対象者にあらかじめ画一的な基準を設けて減免を行うことは、明確に法令違反とは言えないものの、適切でないと示しており、財源も含めて減免の範囲については検討が必要だと認識しています。
区としては、今回の就学前の子どもを対象とした均等割保険料の五割軽減では、子育て支援策としては不十分であると考えております。先日の特別区長会にて、就学後の子どもを含めた国保での子育て世帯への支援について問題提起し、議論を重ね、国に要望書を上げました。今後も、国や都に対して積極的に要望してまいります。また、国保の子育て支援について、制度面の検討等、引き続き課題を整理してまいります。
次に、システム改修についてです。
地方公共団体情報システムの標準化に関する法律に基づいて、国民健康保険システムも標準準拠システムへの移行の準備を進めています。国が示す標準システムへの導入であることから一部経費に対する財政支援が行われますが、国からの詳細は明らかにされておりません。国民健康保険は全国統一の制度であり、国が責任を持って対応すべきものと考えております。
あわせて、導入に当たり、現行のシステムとの差異に対応するための個別対応や、独自施策に取り組むものについても必要となるシステム改修費用についての支援を国へ要望してまいります。
私からは以上です。
私からは、英語スピーキングテストについてお答えいたします。
中学校英語スピーキングテストの都立高校入試への活用については、その延期、中止を求める請願が東京都議会に提出されるなど、都において様々な動きがあることを承知しています。
区教育委員会ではこれまで、保護者、生徒等の不安の解消に向けて、学校から聞き取った課題、保護者の声や生徒の実態等を東京都教育委員会へ情報提供してまいりましたが、引き続き、学校や保護者、生徒の皆さんから寄せられる御意見等について、東京都教育委員会に伝えてまいります。
以上でございます。
グランドビジョンについてですけれども、子どもの施設を廃止して在宅支援に振り替える意図はないという明確な答弁がありましたけれども、だったらなぜ区立保育園を減らすのかと。
区立保育園の統廃合計画については、多くの保育関係者や保護者は知りません。参加と協働は区政の根幹なんじゃないかと。調整計画に区立保育園の統廃合計画を反映させることは、これを拙速に進めず、参加と協働で議論を進めること、これを強く求めて、続きは決特で行います。
以上です。