決算特別委員会 令和4年10月18日(補充質疑)

2022/10/18

質問項目

 

質問

保育の問題について

中里光夫 委員

 私からは、保育の問題について質問します。

 今年四月一日時点の保育待機児の状況では、保育待機児童数はゼロとされています。これは国基準の数え方によるものです。令和二年度より区は、育休延長者、企業主導型保育事業所の利用児童を把握して、これを待機児から除外して、国基準に合わせた公表をしております。

 今年四月一日時点で、保育の必要性が認定されていながら、認可保育施設を希望しながら入園できていない児童数、これが千百二十八人になります。本来、待機児童数はこの数を言います。現在の国基準の待機児童数の数え方にカウントされない待機児、これを今、隠れ待機児童と言われています。

 この隠れ待機児の中でも、自宅から三十分未満で登園可能な認可施設に空きがありながら入所できていない児童数が、この四月時点で二百四十五人、十月時点では三割が入園申込みを継続しているような状況があるそうです。

 保育の必要性が認定されて、保育入園を希望しながら、どこの施設にも入れていないという可能性があると思います。区長は総括質疑で、国基準で待機児童を発表していますから、国基準の待機児童はいませんが、希望されたところに行けないで、結果、保育園に行けないという方で悩んでらっしゃる方は現にいらっしゃいます、こう答弁しています。区長は待機児童がいるという認識なのでしょうか。

保坂 区長

 委員お話しのとおり、世田谷区においては、国基準の待機児童はゼロということで解消しておりますが、入園を希望しながら、その希望園に入れない世帯がおられることは認識しておりまして、これまでもそれは課題として認めているところでございます。保育の必要性があって、保育園を利用したい方々が、ひとしく保育園を利用していただける環境を整備することが大変重要であり、私の責任だと考えております。

 これまで保育園は、お子さんを長時間お預かりする場であることが長らく浸透してきましたが、保護者の働き方も多様化しており、短時間の預かりや一時預かりを希望する御家庭もある。一方、子どもにとっては、大変重要な育ちと学び、成長、発達を支援する場であります。

 今後は、長時間の保育だけではなく、短時間の預かりの選択肢も用意されているという点も分かりやすくお示ししていくとともに、時代の変化に合わせた保育枠の充実など、多様な保育ニーズに柔軟に対応していきたいと考えております。

中里光夫 委員

 待機児がいるのかどうかということで、これは端的にお答えいただきたいと思います。

保坂 区長

 メディア等で、いわゆる隠れ待機児と呼ばれている、つまり国基準に該当しない、希望の保育園に入れないという方たちはいらっしゃいます。

中里光夫 委員

 隠れ待機児童ということですけれども、そういう方がいると。それを解消していくということは大きな課題になっていくと思います。

 この隠れ待機児童の中でも、自宅から三十分未満で登園可能な認可施設に空きがありながら入所できない二百四十五人、これはどこにも入園できていない、残された子どもたちということになります。総括質疑で、ここの部分の調査分析の必要性について取り上げました。

 横浜市の調査では、最も多い要因は、兄弟で同じ園を希望していると。次にゼロから二歳児までの小規模保育事業ではなく、認可園の希望者が多いと。五年間続けて通えるところがよいということですね。それから、兄弟同じ園でないと通えないような状況が、これはあるのではないかと。

 また、保護者のニーズから、入園できればどこでもよいという状況から、ゼロから五歳まで在籍できる、あるいは園庭もある、実績もある、質の高い認可保育園を選びたいという傾向もあると思います。

 世田谷区としても、隠れ待機児童解消のための調査・分析を進めるべきだと思いますが、そして、その分析に合わせた対策を打っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

和田 保育部長

 これまでも、入園を希望しながら入園できていない世帯の状況について保育所管として分析を進めております。四月の入園を申し込んだ方のうち、全体の約七割の方は、十月時点で、その後の入園申込みを行っておらず、待機児童が解消した令和二年度では、半数の約五割の方でありましたので、この傾向は増してきております。

 このことからも、保育を継続的に必要とする方の入園が一層進んでいるとともに、これまで十一時間の保育が中心であった認可保育園の利用希望についても、短時間の預かりを希望する方が一定数おられると考えられます。

 保護者の働き方も多様化してきており、今後も保護者ニーズを的確に捉え、保育園を必要とする方へのニーズに丁寧にお応えしてまいります。

中里光夫 委員

 四月の入園を申し込んだうち、令和二年度では半分の方が入園の申込みを行っていないと。申込みをしていないから、多分どこかに入ったのかな、どうしたのかなというような感じなのだと思うのですね。

 そして、どこにも入れずに残されている方もいると。この申込みを行わなかった人たちが、では、その後どうなっているのかと追跡の調査などを行っているのでしょうか。

和田 保育部長

 待機児の解消した令和二年に、入園を希望されていながら入園できなかった方のうち、十月時点で入園申込みを行っていない方について調査を実施しております。それによりますと、令和三年四月の選考申込みされている方が約二五%、認可外保育施設を利用されている方が約一五%、再申込みのない方が約六〇%という状況を把握いたしました。

 保護者ニーズを的確に捉えるためには、どのような調査が有効なのか、調査対象や頻度も含めて、他自治体の事例も参考にしながら、今後も工夫を続けてまいります。

中里光夫 委員

 申込みがなかったのが六三%と言いましたか、それはどういう人たちということですか。

和田 保育部長

 申込みがなかった方は約六〇%ですが、転出された方も一定数いらっしゃることが想定できますが、その点については私どもの権限では確認できませんので、そこまでの内容となっております。

中里光夫 委員

 やはり丁寧に追跡調査をする必要があると思います、どうしてそうなっているのか。その問題を解決するためには、やはり、きちんとしたデータも集めながら対策を打つ必要がありますし、区長も隠れ待機児だとおっしゃっていましたけれども、質を守りながら待機児をなくすというのが世田谷区の大方針なわけですから、ここにしっかりと取り組んでいく必要があると思います。

弾力化について

中里光夫 委員

 次の質問に行きたいと思いますけれども、総括質疑で、区立園や私立園合わせて定数以上の四百二名の詰め込みをしていると。いわゆる弾力化、詰め込みを行っているということを示しました。

 この弾力化は、保育基準は満たしているものの、それまで保育に使われないので、面積算定の対象にしていなかった、廊下だとか、いろいろな部分を無理やり算定の基準にして、そして詰め込みを進めたと、そんな経過があります。そして、お昼寝の布団も重なり合って敷かれているような状況で、本当に狭いというような状況です。

 区は弾力化解消を進めると言いますけれども、弾力化を解消するための計画はないということが総括質疑で明らかになっています。保育の質を守るために、詰め込みの解消、弾力化解消を計画を持って進める必要があると思います。

 区長は、この定員以上、四百人以上詰め込まれているという今の現状をどう認識しているでしょうか。保育の質が守られていると言えるでしょうか。早急に詰め込み解消のための計画、方策を持つ必要があると思いますが、いかがでしょうか。

保坂 区長

 御指摘のような、いわゆる弾力化は、待機児童解消が本当に最優先というときに、やむなく緊急避難的にとった措置であります。その措置が、いまだ、いわゆるもともとの基準からオーバーして、それだけの子たちがいるということは早急に解消しなければならないし、そのための具体的な日程も確定しなければいけないと思っておりますし、そもそもその国基準自体も、もう非常に古いし、国際比較で一人当たりの保育士の数など、極めて改善の余地があるということも併せて申し上げていきたいと思います。

中里光夫 委員

 今、区長、日程も確定しながらということをおっしゃいましたけれども、それは今後、具体的にどのように示されてくるのでしょうか。

保坂 区長

 今は計画がないということですから、早急に、今後、保育所管と、現状とそのプロセスを、最短の道で、どうやったら解消できるのかということを詰めていきたいと思います。

中里光夫 委員

 ぜひしっかりと進めていただきたいと思います。緊急避難というお話がありましたけれども、緊急がもう十年以上続いているというような状況ですから、これは早く解消しなければいけないと思います。

区立保育園の役割について

中里光夫 委員

 次に、区立保育園の役割について伺っていきたいと思います。

 保育の質を守りながら待機児を解消するということは、今言った詰め込みの話にもあるように、道半ばという状況だと思います。そのような中で区立保育園を統廃合するのは、区民の理解は得られないし、区民参加での検討や見直しが必要だと考えます。改めて区立保育園の役割について、区長の認識を聞いていきたいと思います。

保坂 区長

 区立保育園の役割は、地域における身近な児童福祉施設として、子どもの育ちのセーフティーネットとしての役割を担うための施設であると認識しています。

 今後も区立保育園は、園児だけではなく、地域地区の就学前の子ども・子育て家庭を支援する役割であるとともに、区内保育施設の保育の質の向上を牽引する重要な役割を担っていくことに変わりはございません。

 区立保育園の再整備に伴い生み出される人的資源は、グランドビジョンを踏まえながら、区立保育園で培った専門職としてのスキルを生かして、区内保育施設の質を確保するための指導支援体制の強化、世田谷版ネウボラの充実、子ども・子育て家庭への相談支援の強化などに加えて、子ども・子育て施策全体としての充実を図っていく、地域の子育て資源やネットワークが強化される方向で臨んでまいりたいと思います。

中里光夫 委員

 今、区立保育園で培った専門職としてのスキルを生かして、その職員が様々なというお話もありましたけれども、私はこの区立保育園が、まさに保育のプロ、子育てのプロを生み出す大事な場所だということを強調したいと思うのです。

 保育の質ガイドラインが求めている保育の支援、子育て支援のノウハウというのは、区立保育園の中に蓄えられていると。区立保育園には、安定的な雇用の下で保育実践を重ね、経験を積んだ膨大な人材が蓄積されていると。ベテランの職員がいるから新人も育つというお話も伺いました。異動による保育士の学び合いも行われています、交流も行われています。区立保育園全体が、保育の専門人材である保育士の巨大な養成機関となっていると思うのです。

 そして、先ほどお話があったように、この区立保育園で経験を積んだ人たちが、私立認可園や認可外保育園の巡回指導に当たっていたり、生活支援課の窓口で保育の相談に乗っていたり、児童相談所や子ども家庭支援センターなどの業務を担うなど、本当に世田谷全体の子育ての質を上げるために大きく貢献していると思うのですが、その人材の養成機関としての区立保育園の役割について、区長はどう考えますか。

保坂 区長

 区立保育園は、まさに悲しい事故が過去にありました。これを一切繰り返さないということで子どもの安全、そして子ども第一の保育を掲げてガイドラインをつくり、保育の質を守り抜くと、その実践をしっかり刻んできた、大変重要な区の保育の現場だと思っております。全体の保育の質を牽引していく役割があると考えております。

中里光夫 委員

 その大事な養成機関ですから、統廃合というのはぜひ考え直していただきたいと思います。時間になりましたので、ほかの質問の予定もありましたが、ここで終わりにします。

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