2023/03/08
それでは、私からは、公共施設のZEB化について質問したいと思います。
気候危機に対して本気で取り組むことが今求められています。IPCCは二〇三〇年までに大気中への温室効果ガスの排出を二〇一〇年比で四五%削減し、二〇五〇年までに実質ゼロを達成できないと世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて一・五度までに抑え込むことができないことを明らかにしています。一・五度を超えれば、異常気象、海面上昇といった大変な事態、後戻りできない危機が訪れるという警告です。現在策定中の世田谷区地球温暖化対策地域推進計画案では、二〇五〇年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという長期目標と、二〇三〇年に二〇一三年比で六六%削減の挑戦的な目標というものを設定しました。
我が党は、公共施設の対策としてZEB化、ゼロ・エネルギー・ビルを推進するよう求めてきました。区は大成建設と共にZEBの指針策定に向けた取組を進めていると伺っていますが、現在の進捗状況を伺います。
区の公共施設建築物におけるZEBの実現に向けましては、ZEB指針を策定するために、本年度は既存のモデル建築物を対象として検証作業を進めてまいりました。現在の進捗といたしましては、この検証作業を踏まえ、ZEB指針案の策定のための検討を行っております。
検討作業を進めているということですが、ZEB化について、エネルギー庁のホームページなどを見てみますと、建物の省エネルギーでエネルギー消費を五割削減する、太陽光などの創エネ、エネルギーをつくることで消費エネルギーの五割を賄う、そして実質ゼロを目指すということが書いてあります。創エネや省エネの度合いによって、完全なZEBではなくても四つのカテゴリーを示しています。
本庁舎整備では四割以上削減を目指すZEBオリエンテッドの認証を取得したという話です。西棟が四六%、東棟が四二%削減するという設計が認められて、この認証を取得したという話であります。新築のときの取組だけでなく、改修工事でもZEB化を進める必要があると思います。指針では具体的に何を示していくのか、何を行うのか、伺います。
区の建築物に求める性能を省エネルギー性能指標、いわゆるBEIの数値の基準等を示した上で、達成すべきZEBのグレードを示し、設計への反映を求める予定でございます。ZEBのグレードにつきましては、今委員がお話しいただきましたとおり、建築物の省エネルギーと創出エネルギーによる総消費エネルギーの削減率によって四つに分類されております。建築物ごとに異なります用途や様々な工事条件などがある中で、設計の自由度は尊重しつつ、区として目指すべきZEBのグレードを示してまいります。
区として目指すグレードを定めていくということですが、現在、既存のモデル建築物を対象とした検証を行っているという話もございました。新たな気候危機対策の計画の作業も進んでいるという中で、策定を進める過程で見えてきた課題、解決しなければならない課題はどういうものだと捉えていますか。
今後、改定を予定しております公共施設等総合管理計画に反映するために、区の新築、改築、あるいは改修工事において、ZEBのグレードをどのグレードを目指していくのかを早急に決めなければなりません。ZEBの実現に向けた課題として、創出エネルギーのために太陽光発電パネルを設置しようとした場合、屋上緑化や設備機器設置等のためにパネルの設置スペースが限られてしまうといった課題もあります。改修工事による既存建築物のZEBの実現は難しい側面がある中で、消費エネルギーの削減率をどこまで求めるのかといった課題もございます。
それぞれのグレードをどうするかとか、どういった削減率を目指すのかというのを決めるということですが、二〇五〇年までにカーボンニュートラルを目指すと。二〇五〇年といえば、あと僅か三十年程度先の話です。そこで世田谷の建築物がどういう状態になっていることを目指していくのか、公共建築物としてカーボンニュートラルをしっかりと実現するという目標なのかどうなのか、この辺を区はどう考えているのか、どこまで進めるということを目指しているのか、伺います。
国は二〇五〇年の建築物のストック平均で、BEIイコール〇・六以下、これはZEBオリエンテッド相当といいますが、これにするという考え方を示しておりまして、区としてもそれを最低基準と考えております。新築、改築及び改修工事を行う公共建築物のZEBの実現とともに、二〇五〇年までに工事に着手しない公共建築物を含めて、BEI平均で〇・六以下を実現することを目標に、ZEB指針の作成に取り組んでまいります。
区が持っている公共施設全体でBEIという数値を〇・六以下にするということですから、これは本当に総合的にしっかりと取り組まなければいけない話ですし、その実現のために、それをしっかりと担保するそれぞれのグレードや目標値を決めていかなければいけないということがよく分かりました。それを目指して、しっかりと計画を進めていただきたいと思います。
そういったことを実現しようということになれば、公共施設等総合管理計画の見直しが必要になってくると思います。昨日の総括の質問の中で学校施設の様々な課題解決。狭隘化であるとか、バリアフリーであるとか、こういった問題も含めていろいろ解決する必要がある、地域活動を支える施設はそもそも足りないんだという問題も述べました。また、今のZEB化の話もあります。これは新たにコストがかかるという話です。これを進めるためには、国から新たな財源をしっかり獲得する必要もあると思います。
そういったことも行いながら現在の計画。民間活用ということも総合管理計画では示されていますが、PFIをはじめとする民間活用については、世界的には公共に戻していくという見直しの動きが起こっています。公の施設の公共性やサービスの質を確保する公的責任を果たすという問題も同時にしっかりと進めなければいけない、民間に投げた施設を再び直営に戻すという動きもしっかりと見ていかなければいけないと思います。
民間活用の在り方についても、今の計画は見直しが必要だと思います。これからの公共施設をどう進めていくのか。この計画の見直しが必要と考えますが、区はどのような課題があると考えていますか。
区民活動の拠点となります公共施設の確保や運営には、継続的に安定したサービスの提供が適切な経費で行われることが重要だと考えております。委員お話しのPFI手法など、区民の皆様に提供するサービス水準の向上や経費抑制などの面から慎重な検討が必要と考えており、民間活用の在り方については、事業者の専門性やノウハウを生かしたサービスへの期待とともに、各業務の特性を踏まえ、業務の継続性も考慮しながら民間活用を検討すべきものと考えてございます。
民間の活用につきましては、事業のメリットを踏まえつつ、リスクの詳細や事業費の検証等を行い、事業の安定性を見極めながら、区民へのサービスや質の低下を招くことがないようという視点から、次期公共施設等総合管理計画の中で検討してまいります。
公共施設については様々な課題が非常にたくさんあるということで、総合管理計画の見直しは早急に取り組んでいただきたいということを求めて、次の質問に行きます。
改正個人情報保護条例が策定されました。国は企業などが個人情報の利活用を進める環境を整えることを狙って個人情報保護法を改正、そして地方自治体に対しては、個人情報保護条例の廃止、国が定めた法の施行条例の制定を求めてきた。しかし、世田谷区は、従来の条例を廃止するのではなく、その改正を行って、これまで区が行ってきた個人情報保護の水準を維持しようとしています。先日この条例は全会一致で可決されて、いよいよ運用だと。
この改正に向けて審議会が非常に大きな役割を果たしたと思います。今回、どのように改定作業を進めてきたのか、伺います。
今般の個人情報保護法の改正に伴う条例改正につきましては適宜議会にも御報告していたところでございますけれども、昨年二月に審議会に諮問し、七月に審議会から答申をいただき、九月には条例改正素案について議会への報告を行うとともに、パブリックコメントを実施したところでございます。その後、本年二月に条例改正案について議会に報告するとともに、議案として御提案申し上げたものでございます。
なお、この条例改正の検討に当たりまして、審議会の委員の皆様には、法改正の趣旨を踏まえつつも、区として区民の個人情報保護のために積み重ねてきたことを受け止め、信頼される区政のため様々な観点から慎重に御議論いただいたところでございます。
世田谷の審議会が個人情報保護の水準を守るために三つの基本方針、個人情報保護の維持、発展ですね。これまでの水準を守ること、区民が情報主体であるとして個人情報自己コントロール権を守る立場、そして審議会を今後も機能させる、こうした方針をつくりました。これをしっかり守って、今後も進めていただきたいと思います。
最後に、政府は個人情報の利活用を推進するために、個人を特定できないよう加工した行政機関等匿名加工情報というものの導入を都道府県や政令市では義務化しております。行政保有のデータを企業に開放して、もうけの種として企業の利益につなげるためのものです。国や自治体が保有する個人情報は、公権力を行使して取得、申請、届出に伴い義務として提出されたもので、企業が保有する顧客情報とは比べ物にならない多岐にわたる膨大な情報を持っています。
匿名加工しているとしていますが、本人同意なく目的外に流用し、企業のもうけのために外部提供するようなことは行政の仕事とは言えないと私は思います。我が党はこうした個人情報の扱いには大きな問題があると考えています。
区では今回の条例改正で匿名加工情報は導入しないとしたことは評価いたしますが、今後はどのようにするつもりなのか、見解を伺います。
行政機関等匿名加工情報に関する取扱いについては、審議会において専門的知見から慎重に御議論いただいたところでございます。審議会の答申としては、区民が情報主体であるという点を十分意識して極めて慎重に検討していく必要があり、令和五年四月一日の導入は見送ることとし、今後、制度を導入する場合には審議会に対し諮問するとの御意見があったところでございます。
区では、審議会の意見を尊重し、今後の取扱いについては、都道府県、政令指定都市での導入の状況を確認するなど、情報収集に努めることとし、必要に応じて審議会に報告することといたします。
なお、区における行政機関等匿名加工情報に関する取扱いについては未定ですが、もし具体的に検討するような場合には、審議会に諮問し、様々な観点から議論を重ねていただくなど、十分な検討が必要であると考えているところでございます。
個人情報の扱いですけれども、やはり先ほど言った自己情報コントロール権との関係でもこの問題は重大だと考えています。慎重な対応を今後も求め、それから、審議会が示した三つの基本方針をしっかりと守ることを求めて、質問を終わります。