予算特別委員会 令和5年3月17日(文教領域)

2023/03/17

質問項目

 

質問

生命の安全教育について

中里光夫 委員

 それでは、日本共産党の質問を始めます。

 まず最初に、生命の安全教育について。

 フラワーデモなど、性被害の被害者が声を上げ、社会を動かす力となってきました。性犯罪に関する刑法の改正も、区議会から政府に意見書も出しましたけれども、こうした国民の声を反映し、法改正への動きが出てきています。政府は三月十四日に、性犯罪に関する規定を見直す刑法改正案などを閣議決定しました。強制・準強制性交等罪の要件を、暴行・脅迫、心身喪失・抗拒不能から、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難に改めたと。それから、名称を不同意性交等罪とすると。それから、性的行為への同意を自らできるとみなされる性交同意年齢の条件つき引上げ、それから、性犯罪の時効の五年延長なども盛り込んだということであります。

 犯罪としてカウントされないものも含めて、社会から性暴力をなくしていかなければならないというふうに思います。性暴力は、深刻な人権侵害です。性暴力をなくすためには、日本社会全体で遅れている人権教育としての性教育を、大人も子どもも含めてこれを進めていき、何が人権侵害に当たるのか、その理解を進め、お互いの人権を守り、認め合うことの大切さを社会の常識にしていかなければならないというふうに思います。

 この性暴力から子どもたちを守るために、子どもたち自身の性教育が重要と考えます。現在、学校ではどのような性教育に取り組んでいるのでしょうか。

井元 副参事

 学校における性教育は、学習指導要領に基づいて、小学校では、保健の授業で思春期の体の変化等について、また、中学校においては、保健体育の授業で生殖に関わる機能の成熟等について学んでおります。また、中学校においては、性に関する諸課題への対応や、妊娠や出産の仕組みを理解し、正しい判断や行動ができるようになることを目的として、東京都や世田谷保健所と連携し、希望する学校に外部の専門家を派遣できるよう支援しているところでございます。

中里光夫 委員

 性教育を行っているということですけれども、まだまだ十分ではないということが問題になっていると思います。二〇二三年から、全ての公立学校で生命の安全教育の実施が予定されているというふうに聞いていますけれども、この生命の安全教育とは一体どのようなものなんでしょうか。

井元 副参事

 令和二年六月に、国の性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において、性犯罪・性暴力対策の強化の方針として、性犯罪、性暴力の根絶に向けた取組や被害者支援を強化していくこととし、教育、啓発活動を通じた社会の意識改革と暴力予防などの方針を確実に実行することが示されました。

 この方針を踏まえ、子どもたちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないように推進している教育が、生命の安全教育です。命の貴さを学び、性暴力の根底にある誤った認識や行動、また、性暴力が及ぼす影響などを正しく理解した上で、命を大切にする考えや、自分や相手、一人一人を尊重する態度等を発達段階に応じて身につけることを目標としております。

中里光夫 委員

 生命の安全教育は、性暴力に対する安全教育という理解でいいかと思います。この生命の安全教育をしていく上で、包括的性教育の視点が重要になるというふうに考えます。例えば、生命の安全教育の中で、ほかの人に見せたり、触らせないようにしようというところからスタートしていくんですが、この性教育が遅れているために、性行動はもちろん、性器の名前すら知らないままの児童や生徒もいるという中で、生命の安全教育では、プライベートゾーンあるいは水着で隠すところ、そこは人に触らせたりしないようにしましょうということで始まるんですが、それだけでは何を意味しているのか、被害を正確に伝えること、そういうことが不可能なんじゃないかと。やはり、性の学び、性教育がセットで行われなければ、その理解が進んでいかないというふうに思います。

 国際セクシュアリティ教育ガイダンス、以前の質問でも紹介しましたが、この包括的性教育についての国際的な教育のスタンダードのガイダンスです。これを参考にして、内容の吟味をしていくべきだというふうに思います。このガイダンスの中では、例えば、包括的で総合的な性教育というのを示しているんですが、先ほどの問題でいえば、自分自身が自分の体の主人公だというからだの権利、こういう認識を学ぶということがあったり、性器を含む自分の体に関する知識そのものをしっかりと教えていく、あるいは人間関係に関する知識、それから性行動の意味、こういったことをしっかりと学んでいくということが必要だというふうに思います。

 とりわけ、この人権との関わりが明確になることが重要だというふうに思います。生命の安全教育を包括的性教育の立場を取り入れたものとして進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

井元 副参事

 包括的性教育は、体や生殖の仕組みだけではなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、健康とウェルビーイングなど、幅広いテーマを含んでおり、それら性に関する知識や態度、スキルを身につけることを目指して行われる教育であります。

 生命の安全教育では、性暴力の防止に主眼を置いた学習内容や教材等が設定されておりますが、指導に当たりましては、教員が子どもたちに知識を詰め込むようなことはせず、性に対する適切な態度、さらには安全な意思決定や行動選択、コミュニケーション等を行うためのスキルの基礎を身につけられるよう、授業展開の工夫に努めてまいります。

中里光夫 委員

 ぜひ、人権教育としてこの問題に取り組んでいただきたいですし、それを教える先生をしっかりサポートするような、そういう体制も整えていただきたいと思います。

教室の換気の問題について

中里光夫 委員

 それでは、次の質問に行きます。教室の換気の問題について質問をします。

 コロナ感染の対策で、換気の重要性、その認識は今非常に進んでいると思います。特にマスクの着用についても、先ほどの質問でもこれから取扱いも変わってくるという中で、マスクを外す前提として、ちゃんと換気された環境で学ぶことが必要じゃないかということで、CO2モニターや空気清浄機の設置をぜひとも進めてほしいというふうに、区民の方からたくさん声をいただいているところです。

 そうした声の中で紹介があって、私も調べてみたんですが、順天堂大学が新型コロナウイルス感染症対策としてのマスク着用が緩和されることを受けて、新型コロナウイルス感染症対策に限定した重要事項のまとめ、ウィズコロナ・チェックリストというものをつくっています。その中で、換気編というのがあって、順天堂大学と清水建設の共同研究を基につくったということで、これはオフィスを対象としているんですが、これは教室も同様の問題だと思うので、ちょっと紹介したいと思います。

 このチェックリストでは、大きく三つの項目から成っていて、その第一が、複数の人が集まる部屋に定員が設定してあるだろうかと。特にその換気能力に見合った定員の設定になっているかどうか、これでポイントをつけていくと。それから二番目が、室内にCO2モニターを設置して、換気状態をモニターしているかどうかと。特に、換気が一番厳しい場所にそのモニターが設置してあるかどうかというようなことがチェックポイントになっています。三つ目が、室内のCO2濃度が基準値を超えた場合に、適切な対処法を実施しているかということで、例えば二か所以上の窓を開けて換気をしているかだとか、換気が不足する分を算出して、不足分を補う空気清浄機を運転しているかと、こういうチェック項目が並んでいます。

 CO2モニターで換気状況をモニターして、必要な換気を行うということが重要だというのが、このチェックリストを見ると非常によく分かると思います。学校の教室も同様だと思います。現在、このCO2モニターや空気清浄機などの設置状況はいかがでしょうか。

山下 学校健康推進課長

 教育委員会では、新型コロナウイルスの基本的な感染対策の一つとしまして、換気を可能な限り常時行うこととしており、教室内の二酸化炭素濃度を測定するCO2モニターにつきましては、換気の目安になるものとしまして、各学校が必要に応じて購入しているところでございます。

 CO2モニターの設置状況について、先日、全小中学校に調査をしたところでは、全ての教室に設置している学校が五校、特別教室を除き全ての普通教室に設置している学校が四校、特定の教室に設置している学校が二十一校で、合わせて三十校で独自に購入して設置をしてございます。このほか、令和三年度に各校一台分の寄贈を受けておりまして、少なくとも各校に一台は配置されている状況でございます。

中里光夫 委員

 学校の判断で導入しているということで、非常にばらつきがあるわけですね。私は、教育委員会が調査したアンケートの資料も見せていただいたんですが、その中で、導入していない理由のところでトップに挙がっていたのが、十分換気はできているというふうに現場の人は言っているわけですね。それから、ほかに優先するものがあるんだというふうにもなっていて、それぞれの予算の中で買うということで、そういう判断をしているんだと思うんですが、この十分換気できているというのは、これは非常に感覚的なものなんだと思うんです。

 先ほどのチェックリストにあったように、やはり計測器できちんと計測して、十分できているのか、基準値を超えているのか、そういう判断をしていく必要があるんだろうというふうに思うんです。それから、学校の予算、学校の判断任せだから、もっとほかに大事なものがあるんだと言って後回しになっていくという状況もあるというふうに思います。

 ですから、教育委員会として、全ての学校にきちんと配置をして、換気の状況も分かるようにしておくと、そういう取組を進めるべきじゃないですか。

山下 学校健康推進課長

 教育委員会としましては、先ほどの答弁でも触れましたとおり、換気については可能な限り常時行うことと、また、二方向の窓を同時に開け、できるだけ気流が生じて空気が入れ替わるよう配慮することと定めております。御質問の中で触れていただきましたけれども、今回の調査で、全ての教室にCO2モニターを設置しない理由として、約六割に当たる五十四校が十分に換気ができているというふうに回答をしてございます。

 新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上の位置づけが五月八日に五類に移行されることを踏まえ、学校での感染対策も緩和されるものと考えております。御提案のCO2モニターの全校配置につきましては、今後の感染対策の在り方を踏まえ、必要に応じて学校現場の意見を改めて確認するなど、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。

中里光夫 委員

 区民からは、マスクも外していく中で、きちんとした環境を整えてほしいということで強い要望も出ていますし、先ほどの順天堂大学にもあったように、これは感覚的なものではなくて、きちんと継続するということが、まず大事なんだろうというふうに思うんです。コロナ対策、まずは検査が必要だということを私たちは言いましたけれども、科学的な対応をしっかりと進めていただきたいということを求めて、質問者を替わります。

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