代表質問 令和5年06月15日定例会

2023/06/15

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質問項目

答弁 >>

 

質問

今期の区政運営について

中里 光夫 議員

 おはようございます。日本共産党世田谷区議団を代表して質問をいたします。

 初めに、今期の区政運営についてです。

 今議会は、四月の区長、区議会議員選挙後の最初の定例会です。この選挙で保坂区政は四期目に入りました。今期四年間で、どのような区政運営を目指すのか、伺っていきます。

 G7広島サミットは、被爆地広島で開催したにもかかわらず、核兵器禁止条約や核兵器の使用禁止に触れることすらなく、核抑止論を正当化し、軍事ブロックを強化する、被爆者や平和を願う人々の期待を裏切るものとなりました。

 岸田政権は、軍事費を倍増し、アメリカから長距離ミサイルを大量に購入し、他国を攻める敵基地攻撃能力を持とうとしています。自衛隊基地を強化し、ミサイル攻撃があっても機能を維持するという、まさに戦争の準備を進めようとしています。そして、その財源に、健康保険や年金、震災復興のための基金などに手をつける軍拡財源法案を今国会で通そうとしています。さらに将来の大増税を狙っています。

  一方、異次元の子育て支援をうたいながら、その明確な内容も財源も示せずにいます。その上、世代間の分断を図り、子育て支援を進めるという名目で、高齢者の医療や介護の負担増、サービスカットを進めようとしています。

 戦争の準備ではなく、平和憲法を生かした外交努力こそ進めるべきです。中国との関係は、お互いに脅威とならないことを確認した日中首脳会談の共同声明を出発点に外交交渉を進めるべきです。大軍拡と子育て支援、社会保障の充実は両立しません。アメリカからミサイルを買うことをやめ、社会保障の財源を確保するために、アベノミクスで莫大な利益を上げてきた大企業や富裕層に応分の負担を求める税制改革を進めるべきです。

 消費税を減税し、物価を下げる努力をしながら、最低賃金を引き上げるなど、賃上げの促進を図るべきです。インボイスは中止すべきです。

 岸田政権の強権と、自民、公明、維新、国民などによる翼賛的体制の下、悪法が次々と強行されています。

 老朽化した原発も、四十年を超えて使用できるようにする原発推進法、軍需産業を成長産業として支援し、経営に問題がある企業の国有化にも道を開く軍需産業支援法が成立しました。

 難民認定申請中であっても本国への強制送還を可能とするなど、外国人の人権を踏みにじる入管法の改悪は、ずさんな入管庁の難民審査の実態や、大阪入管で常勤医師が飲酒により酩酊し、外国人を診療していたことが発覚するなど、問題が次々と明らかになる中で可決されました。

 健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを強要する改定マイナンバー法は、他人のデータがひもづけられる問題が大量に存在し、システムの信頼が大きく揺らいでいる中で強行されました。システムの利用を一旦中止し、問題を徹底的に明らかにすることが必要です。

 いずれも大きな問題を残したままの悪法の強行です。日本共産党は、人権、命を守るために、このまま実施させないために頑張ります。

 今回の区長選挙では、自民党や維新の会などが推す候補者が、区役所庁舎建設を一期工事でやめて、民間開発と併せた巨大開発に切り替える政策を示しました。しかし、区民は、稼ぐ世田谷の民間開発推進ではなく、住環境を守る住民参加のまちづくりを支持しました。

 選挙結果は、これまでの保坂区政の、コロナ対策で区民の命を守った、開発よりも命・暮らしを優先すること、平和憲法を大切にすること、参加と協働のまちづくり、これらが区民に評価されたものと考えます。引き続き、命、暮らし、平和を守る区政を進めることを求めます。区長は今期の区政をどのように進めるのか、選挙戦の中で区民の声をどのように受け止めてきたのか、区長の考えを伺います。

 大変な物価高騰の中、教育の負担軽減を求める声が大きく広がりました。日本共産党は、憲法第二十六条にある義務教育の無償化を進めるために学校給食費無償化を求めてきました。今年度、世田谷区が無償化に踏み出したことは区民から大変喜ばれています。来年度以降も無償化を継続すべきです。今回の選挙戦の中でも、子どもたちからも大きな期待の声が寄せられました。学校給食費無償化を来年度以降も継続して続けることを求めます。区長の考えを伺います。

 また、私たちは、若者に希望ある社会をつくろうと呼びかけました。大学などの高い学費、経済的な理由で進学を諦める人も少なくありません。事実上の借金である奨学金を約半数の学生が利用せざるを得ない。そして卒業時には数百万円もの借金を抱え、社会に出て、長期間に及ぶ返済を強いられる。さらに低賃金、非正規雇用などの不安定な雇用が貧困と格差を広げています。

 こうした状況を変えるためには、国が教育予算を抜本的に増やし、学費の引下げ、給付型奨学金の拡充を進めるべきです。最低賃金の引上げと派遣労働の規制を強めるべきです。世田谷区は、こうしたことを国に求めるとともに、世田谷区として実施できることを進めるべきです。

 若者に希望ある社会を実現させましょう。若者に対する経済的な支援の必要性の認識はどうか、また、給付型奨学金の拡充、若者への住宅支援を進めるべきです。区長の考えを伺います。

 若者の希望を奪っている低賃金、非正規の不安定な雇用を改善する必要があります。区は公契約条例で、地域の労働条件の向上を図る取組を進めていますが、若者の低賃金、非正規雇用の増大についての区長の認識を伺います。

次期基本計画について

中里 光夫 議員

 次に、次期基本計画についてです。

 基本計画は、十年間の区政運営の基本的な指針であり、最上位の行政計画です。二〇二四年度からの次期基本計画について、この間、基本計画審議会や区民会議、区民ワークショップで活発な議論がされてきました。区が示した次期基本計画(骨子)の、持続可能な未来を確保し、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷をともにつくるという基本方針は大いに共感します。

 しかし、子ども・若者を中心に据えることが強調される一方で、高齢者・障害者の位置づけが弱まっているのではないでしょうか。基本構想では、九つのビジョンの中で、障害者や高齢者をはじめ、誰もが安心して暮らしていけるように身近な地域で保健・医療や福祉サービスの基盤を確かなものにしますとあります。現在の基本計画の重点政策でも障害者や高齢者は位置づいており、ここで示された目標は、まだ達成したとは到底言えないもので、引き続き位置づける必要があります。

 また骨子で、物価高騰などにより区民生活や区内産業は大変厳しい状況下にあるとともに、所得格差や地域の分断の広がりへの懸念という認識が示されています。

 次期基本計画において、高齢者・障害者も位置づけるべきです。また、区民の暮らしと営業を守る、低所得者への配慮などの観点を位置づけるべきです。見解を伺います。

 参加と協働が引き続き重視されていることを歓迎します。同時に、区民を単なる担い手とするのではなく、区民を主権者、まちづくりの主人公とし、住民自治の発展を位置づけることが重要です。行政の役割は、その前提となる情報公開を徹底することです。行政が住民の命・暮らし・人権を守ること、行政サービスの質と量を確保すること、住民活動の場を確保することなどの公的責任を果たすことが重要です。これらを明確に示すべきです。見解を伺います。

 主権者である住民の意見、提案を行政が受け止め、住民とともにまちづくりを進めるための話合いの場、ラウンドテーブルを行政が用意することが重要です。そして、そのラウンドテーブルに関係する事業者も加わり、住民や行政の要求を受け止め、情報も提供しながらともに進めることが重要です。

 下北沢のまちづくりでは、当初、区と住民の話合いが重ねられましたが、小田急担当部分がどうなるのかの情報もなく、区民が話し合った内容が小田急に伝わっているのかも分かりませんでした。住民は話合いの場に小田急を参加させることを求め、区も積極的に小田急に働きかける中で、三者の話合いが持たれるようになり、小田急自身が支援型開発を標榜するまでになりました。参加と協働の新しい形の成功例となっていると思います。

 参加と協働の在り方として、行政と区民と事業者のラウンドテーブル方式を進めることを提案します。区長の見解を伺います。

行政経営改革について

中里 光夫 議員

 次に、行政経営改革についてです。

 コロナ禍を通じて、区役所の業務は、非常事態の緊急の業務が次々と発生し、保健所やワクチン接種、給付金支給、マイナンバー発行など、現場は人員不足、臨時の体制づくりに追われました。緊急事態でなくても、新BOP学童クラブの現場に見るように、欠員、人員不足が常態化しています。緊急時に備え、ふだんから余裕のある人員体制を取る必要があります。

 さらに、昨年四月時点の区役所職員は、常勤職員が約五千五百人、非常勤、会計年度任用職員が約四千九百人と、非常勤が半数に迫っています。非常勤職員の中には、長年にわたって勤め上げ、高い専門性、技術も信用も持ちながら、給料が上がらないという人も少なくありません。区の業務を民間に委ねないから、非常勤職員が多い状況が生まれたなどという議論がありますが、それは本末転倒です。

 自公政権の下、財界の求めるままに、行政は民営化によって人件費を抑え、政府が規制緩和を重ねて非正規雇用の拡大を推進し、民間の人件費抑制を後押しする、こんな政策が進められた結果、日本が給料の上がらない、異常な国になってしまったのではないでしょうか。

 ひたすら人件費を抑える政策からの転換が必要です。世田谷から進めていこうではありませんか。公務員が業務上のスキルを上げ、住民サービスの向上と責任ある行政運営を進めていくためにも、安定した雇用の公務員が十分配置されることが必要です。

 区の職員体制を、正規職員が当たり前となるよう正規職員の割合を増やし、平時から余裕を持った配置で緊急時に備えるなど、人事政策を見直すべきです。区長の考えを伺います。

 民主的で効率的な行政運営を進めるべきです。時代に合わせ、経営効果の最適化を進めると言いますが、地方自治の本旨は、住民福祉の増進にあります。区民の暮らしや権利を守ること、低所得者への配慮などの観点を守ることが重要であり、計画に明記すべきです。区の考えを伺います。

 DX推進に当たっては、業務の効率化や外部委託などが検討されています。区役所の業務は、センシティブな個人情報を扱うことや、行政官としての判断を伴う事務、広く行政サービスの知識や経験に基づいて区民の相談や要望に応えることなど、公務員としての役割が求められます。

 DX推進に当たり、安易な外部委託に走らず公的責任を果たすこと、区民の個人情報をはじめとした人権を守ることなどに十分な注意を払う必要があります。同時に働きやすい環境をつくることも重要です。職員を含めたみんなが幸せになるDXを進めることを求めます。DXを進める際の区の考え方を伺います。

気候危機対策について

中里 光夫 議員

 次に、気候危機対策についてです。

 日本共産党は、気候危機打開のために、二〇三〇年までにCO2排出量を二〇一〇年比で五〇から六〇%削減する政策提言をしています。エネルギー消費を四割減らし、再生可能エネルギーで電力の五割を賄えば可能です。さらに二〇五〇年に向け、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを目指します。

 世田谷区は、世田谷区地球温暖化対策地域推進計画で野心的な目標として、二〇三〇年度において温室効果ガス排出を二〇一三年度比で六六%削減し、二〇四五年までに実質ゼロにするという積極的な目標を掲げました。

 この目標を実質的に実現していくためには、地域全体の取組にするために、区役所が全庁的に取り組むことにとどまらず、民間を含めて、区民参加で実効性ある体制にすることが求められています。区民と区内企業や産業団体を巻き込んだ参加と協働で進めていくことが重要です。参加と協働で気候危機対策を進める場をつくることを提案します。見解を伺います。

ジェンダー平等の推進について

中里 光夫 議員

 次に、ジェンダー平等の推進についてです。

 ジェンダー平等を求める運動、誰もが尊厳を持って生きることができる社会を目指した運動が大きなうねりとなって広がっています。世田谷区は、パートナーシップ宣誓制度を全国に先駆けてスタートし、性別や国籍による差別を禁止する条例も制定し、ジェンダー平等に向け先進的な取組を進めてきました。しかし、日本の現状は、ジェンダーギャップ指数で百四十六か国中百十六位と大変遅れた状態です。

 性別による差別の解消、男女の賃金格差の解消など、ジェンダー平等を進めていく課題は多く残されています。民間企業の中で女性幹部を増やすことや同一労働同一賃金の仕組みをつくることは社会的な要請です。こうした課題を解決するためには、民間企業を含めた地域全体、社会全体の意識を変えていくことが必要です。そのためにも区民と区内企業を巻き込んだ参加と協働で進めていくことが重要です。参加と協働でジェンダー平等を進める場をつくることを提案します。見解を伺います。

本庁舎整備の遅れについて

中里 光夫 議員

 次に、本庁舎整備の遅れについてです。

 大成建設から本庁舎整備一期工事の工期を最大六か月再延伸する申入れがありました。昨年末の二か月延伸に続くものであり、しかも一期工事完成直前のこのような事態は重大です。工程管理のミスがあったとのことですが、にわかには信じられません。

 区は、既に一度目の工期延伸が契約内容を逸脱するものとして、違約金の対象になると整理していますが、大成建設に認めさせることが重要です。一期工事の工程表に誤りがあったとなれば、二期、三期工事の工程表は確かなものなのか、さらに遅れを生むのではないのか、徹底して検証する必要があります。

 また、大成建設の他の現場で工事やり直しなどの報道もありますが、工事そのものの品質、安全性や信頼性は大丈夫なのか、検証する必要があります。

 また、工期が遅れることによる区民への影響や、区の損害も明らかにする必要があります。

 遅れた原因や工事の信頼性、責任の所在を明らかにし、損害に対する賠償を含め、工事事業者の責任を問うこと、遅れによる影響を明らかにし、区民への影響を最小限にとどめる努力をすることなどを求めます。見解を伺います。

熱中症対策について

中里 光夫 議員

 次に、熱中症対策についてです。

 近年の夏の猛暑はますますひどくなるばかりです。昨年夏の区内屋内熱中症死亡者は、ほぼ高齢者で十六名、うちエアコンなし、あっても未使用が十三名、深刻です。熱中症予防のためには、エアコンの適切な使用が必要です。エアコンの使用状況、特に高齢者世帯の実態をつかみ、適切な使用へ誘導する必要があります。

 物価高騰、電気代の値上げ、年金削減、医療などの社会保障の負担増も相まって、経済的困窮が命に直結する事態にもなっています。また、古いエアコンは消費電力も多く、省電力、CO2削減のための買い替えが進むことも望ましいと考えます。

 熱中症対策として、エアコンの使用状況の把握、低所得者向けにエアコンの購入、買い替えの支援を進めるべきです。見解を伺います。

自衛隊経験者を区の幹部職員として採用することについて

中里 光夫 議員

 最後に、自衛隊経験者を区の幹部職員として採用することについて、一言意見を述べます。

 他会派の答弁で、震災などに備えた危機管理監として、消防関係者を採用する、さらに、避難支援の物流体制をつくるために、課長級として自衛官OBを採用するという方向が示されました。震災時などの対応のための危機管理監に消防関係者を充てるという考えは当然のことです。また、震災時の在宅避難を支える物流体制を構築すること、準備を進めることは、我が党も提案してきた必要なことです。

 しかし、その任に、自衛官OBに限定して管理職として採用するのはいかがなものでしょうか。物流の専門家、震災時の支援活動経験者を広く当たって適任者を見つけるべきであり、自衛官OBに限る必要は全くありません。

 そもそも自衛官OBを区の幹部職員に迎えることを執拗に求める会派がありますが、政府が大軍拡を進め、戦争準備を進めようとすることと歩調を合わせ、軍事組織である自衛隊と自治体の関係を強め、自治体ぐるみで戦争準備に進む足がかりを得ようとするものとの危惧を拭い切れません。自衛官OBを区の幹部職員に入れるべきではないと考えます。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

保坂 区長

 中里議員にお答えいたします。

 今期の基本姿勢について御質問がありました。今回の選挙において、区民の皆様からは、とりわけ高齢者世代の方が道端で、新型コロナ対策で国に先駆けしっかりとやってくれた、これからも先進的な取組をしてくださいという声、子育て世代からは、学校教育のさらなる改革について期待する声をいただきました。また、子どもや若者世代からは、気候危機や今後の社会への社会変化の不安に対しての声もお聞きしました。

 これまで世田谷区では、待機児童対策、世田谷版ネウボラの実施、保健医療福祉総合プラザうめとぴあや総合教育センターの設置、世田谷区児童相談所の開設、ひきこもり相談窓口の開設、緊急経済対策として、せたがやPayの活用による区民生活、また個店への支援など、区民に寄り添った施策を実施してまいりました。

 今回私は、いのちの政治を掲げましたが、区民に最も近い基礎自治体として、子ども、若者をはじめ、高齢者、障害者の方への支援や、下北沢、野毛町公園拡張地で実施しています住民参加のまちづくり、そして教育改革の取組など、区民が抱えている課題をともに多岐にわたって取り組んでまいりたいと思います。

 憲法で保障された基本的人権と平和を守る役割は自治体の責務であります。平和都市宣言の精神を引き継ぎ、今後とも区民に寄り添う参加と協働により世田谷区政を推進してまいる決意でございます。

中村 副区長

 私からは、三点御答弁いたします。

 まず学校給食の無償化についてです。

 学校給食費無償化は、エネルギー価格、物価高騰により区民生活に多大な影響を及ぼす中、学齢期の子どもがいる保護者の負担軽減のため、令和五年度の緊急的な措置として実施をしているところです。令和六年度以降の継続については、他会派からの御質問にも答弁しているとおり、今後の社会経済情勢や国、都の施策、物価、賃金の動向を踏まえるほか、財源の課題や学校給食費無償化の意義をできるだけ早く整理しまして、区長の判断を仰いでまいります。

 次に、給付型奨学金についてです。

 経済的困窮は、子どもや若者に複合的な困難をもたらし、世代間連鎖も危惧されるため、ひとり親家庭や生活保護受給世帯出身などを含め、広く若者たちの自立に向けた支援を底上げしていく必要があると認識しています。

 国の高等教育の修学支援新制度により、令和二年度からは、住民税非課税世帯の子どもが大学等に進学する場合、国制度の給付型奨学金を受給し、入学金や授業料の減免を受けることができるようになりました。また、国は、令和六年度から、その対象を中間所得層へ拡大する方針を示しています。

 区では、国の動向を踏まえるとともに、令和五年度に高校二年生世代全員を対象に実施する子どもの生活実態調査の結果を分析し、希望する子どもや若者が高等教育の機会を得られるための課題を整理し、区として取り組むべき方策について具体的に検討をしてまいります。

 次に、基本計画についてです。

 次期基本計画(骨子)において、計画の理念として、参加と協働を区政運営の基盤とすること、区民の生命と健康を守るために最優先に取り組むこと、広く多様性を尊重し生かすことなどを位置づけ、計画の土台となる根本的な考え方として定めております。

 また、計画に掲げる施策の推進に当たり、必ず考慮すべき指針である計画実行の指針の一つとして、情報発信・情報公開を位置づけており、情報公開を通じた公正で開かれた区政の実現を目指すこととしております。

 今後、素案の策定に向けて、さらなる検討を進めてまいりますが、計画に掲げる方針や理念とともに、この間の区政で一貫して進めてきました区民の生命と暮らしを守る姿勢を堅持して、住民福祉の増進を目指すことを根本に据えながら、行政として必要な取組の具体化を図り、自治体としての責務を果たしてまいります。

 以上です。

松村 副区長

 私からは、DXの進め方の考えにつきまして御答弁申し上げます。

 今般素案を提示しました世田谷区DX推進方針Ver・2におきまして、DXの目的を、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷区をともにつくると明記しております。区役所業務で使用するシステムには、区民の皆様の個人情報が多く含まれております。安心して住み続けられるよう、DX推進に当たりましても情報セキュリティー対策を進め、必要に応じて外部委託する際にも、適切な情報保護に万全を期してまいります。

 また、私自身、区のDXの究極の目的は、区の職員を含め、区に関わる全ての方々を幸せにしていくことだと考えております。DX推進方針Ver・2素案におきまして、DXを加速する三つの考え方の一つにサービスデザインを掲げ、満足度を高める区民体験UXと、仕事の効率と質を高める職員体験EXを両立させ、DXに全庁を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

笠原 都市整備政策部長

 私からは、若者への住宅支援の拡充について御答弁申し上げます。

 区では、第四次住宅整備方針において「みんなで支え次世代へつなぐ安全で安心な暮らし・住まい・まちづくり」を基本理念に掲げ、様々な施策を総合的かつ計画的に推進しております。この基本理念を踏まえ、居住支援協議会の不動産団体において、お部屋探しにお困りの若者などの若年世帯など全ての方が相談いただける協力不動産店の一覧をホームページで公表し、相談体制を設けております。

 今後とも、こうした取組と併せ、引き続き国の動向を注視するとともに、若者等の子育て世代などの住宅支援について、居住支援協議会における不動産等団体からの議論をいただきながら、若者等の若年世代や子育て世代など、誰もが住み慣れた地域で安心して住み続けることができる取組を推進してまいります。

 以上です。

工藤 財務部長

 私からは、若者の低賃金、非正規雇用の増大について、区としての認識を御答弁いたします。

 区は平成二十七年度の公契約条例制定以来、適正な労働条件の確保と、事業者の経営環境の改善により、区民福祉の増進を図るという理念を高く掲げ、公契約適正化委員会の御提言をいただきながら、様々な施策に取り組んでまいりました。

 国の調査に目を向けますと、若い世代の非正規雇用は、三十五歳以下では、同年代の総人口に対して約二割となっており、不安定な雇用や賃金の上昇が見込めない劣悪な状況が固定化しやすく、生活の見通しが立たないことで、非婚や晩婚、ひいては少子高齢化に拍車がかかるといった状況であり、社会全体を支える労働力の低下にもつながっているものと考えます。

 お尋ねの労働報酬下限額の引上げは、公契約での最低賃金の引上げのみならず、業界全体の人材確保とその育成、さらには地域経済の活性化などにもよい影響を与えることから、今後とも条例の理念の下、若者を取り巻く労働環境のさらなる改善に努め、未来を担う若い世代が自信を持って生き生きと輝ける社会の実現に向けて取り組んでまいります。

 以上です。

有馬 政策経営部長

 私からは、三点答弁いたします。

 まず初めに、次期基本計画について二点申し上げます。

 次期基本計画における高齢者、障害者、区民の暮らしと営業を守る観点を位置づけるべきとの御質問でございます。次期基本計画の骨子では、基本方針を持続可能な未来を確保し、あらゆる世代が安心して住み続けられる世田谷をともにつくると定め、乳幼児から高齢者までのあらゆる世代が安心して住み続けられるまちづくりを目指していくこととしております。

 御指摘の高齢者や障害者への支援についてですが、重点政策の一つに、誰もが取り残されることなく生き生きと暮らせるための支援の強化を位置づけ、年齢や障害の有無などに関わらず、個性と能力を十分発揮することができる社会を築くため総合的に取り組むことを方向性として掲げており、直接的な表現ではございませんが、高齢者や障害者への支援の視点を盛り込んでいるところでございます。

 また、営業を守る観点につきましては、同じく重点政策の一つに、安全で魅力的なまちづくりと、産業連関による新たな価値の創出を位置づけ、事業者や企業による既存産業の振興に取り組むことを方向性として掲げており、事業者支援の視点を盛り込んでおります。

 今後の検討に当たっても、区民生活や区内産業が大変厳しい状況下にあることを十分認識し、区民の暮らしを守り、高齢者や障害者も含めた、誰もが世田谷に安心して住み続けるために必要な取組を考え、位置づけてまいります。

 続きまして、行政と区民と事業者のラウンドテーブル方式を進めよとの御質問でございます。

 地域課題の多様化、複雑化などにより、行政だけの課題解決に限界がある中、持続可能な社会の構築に向け、参加と協働を基盤としながら、住民自治のさらなる発展を目指していくことが必要でございます。区民、事業者、行政が意見交換を重ね、それぞれが持つアイデアや技術、ノウハウなどを組み合わせることで新たな価値が創出され、地域課題の解決を大きく後押しする力となることが期待できます。

 そのためには、区民、事業者、行政が出会い、つながる機会や場の創出が重要となり、例えば次期基本計画の検討においてはデジタルプラットフォーム、デシディムを試行導入し、オンライン上で意見交換を行っております。

 また、玉川野毛町公園拡張事業において、協働の公園づくり、玉川野毛町パークらぼの取組を進めるなど、区として様々な試みを進めているところであり、御提案のラウンドテーブル方式も含め、今後も課題やテーマの内容に応じた多様な参加手法を検討してまいります。

 三点目としまして、行政経営改革についてでございます。

 次期基本計画に掲げる目指すべき未来の世田谷の姿を実現するためには、人、物、金などの限られた経営資源を適切に配分し、経営効果の最適化に取り組むなど、区の経営力のさらなる向上を図り、持続可能な自治体経営を確立する必要があることから、計画骨子第六章にその視点を掲げたところでございます。

 目指すべき未来の世田谷の姿には、区民の生命と健康を守るため、日常生活における必要な支援をはじめ、既に確保されたベーシックサービスについては堅持することを最優先とすることを明記しており、これまでも区政運営の基本としてきた区民の命と暮らしを守ることに引き続き最優先に取り組み、住民福祉の増進に努めてまいります。

 以上でございます。

池田 総務部長

 私からは、職員の任用と人材育成について御答弁いたします。

 区では、業務内容に応じて職員、会計年度任用職員、民間事業者などを効果的に組み合わせた職務執行体制の構築に努めているところでございます。今般のコロナ禍における臨時給付金やワクチン接種などの緊急課題に対しても、限られた人員を最大限に活用し、全庁的な応援体制の構築や、民間事業者等との連携などにより柔軟に対応してまいりました。

 一方、区政における組織体制の基盤を維持していくためには、常勤職員の配置と育成が重要であると認識してございます。区政課題の解決に強化が必要な所属などに適切に人員を配置していけるよう、常勤職員の計画的な採用と人材育成に取り組んでまいります。

 以上でございます。

中西 環境政策部長

 私からは、参加と協働による気候危機対策について御答弁申し上げます。

 お話にございました世田谷区地球温暖化対策地域推進計画が目指します二〇五〇年度の温室効果ガス排出量実質ゼロ、お話にもございましたが、野心的な目標としては、二〇四五年度に前倒しという目標を立ててございますが、この達成のためには、区民や民間事業者にエネルギー利用の在り方を見直していただく必要性を御理解いただくということがまず必要であるとともに、先進的な取組を行っている区民や事業者と連携していくことが重要だと考えております。

 これまでも、本計画の策定過程における区民ワークショップの実施や、一般区民、一般家庭や事業者の省エネルギー行動を参加型で行う省エネポイントアクション、区民や事業者とともに再生可能エネルギーの利用拡大を目指す、せたがや版RE一〇〇などの取組を進めてまいりました。

 また、今年度は複数の民間事業者と協定を結びまして、区民や事業者が再生可能エネルギーを利用しやすくなるような事業を協働型で準備を進めております。

 今後も区民や事業者との協働の場を広げ、例えばですが、商店や飲食店などの生活産業への働きかけや、持続可能な社会の構築を目指す環境に係るソーシャルビジネスなどの支援を行うことにより取組を加速していきたいと考えております。

 以上です。

渡邉 生活文化政策部長

 私からは、ジェンダー平等の推進について御答弁申し上げます。

 誰一人取り残さない地域社会を実現していくためには、行政、事業者、区民が一体となり、様々な偏見や差別、思い込みなどについて共に話し合い、気づき、そしてなくしていこうとするプロセスが重要であると認識してございます。

 ふだんの生活の中で特に意識することなく存在する男女の不均衡や格差に基づく社会制度、慣習などについても、区民や団体、事業者がその問題について改めて意識し、顕在化させ、改善に向けて行動していくことが大切であると考えてございます。

 現在、らぷらすでは、区民団体の企画提案に基づく協働事業を行っておりますが、これと並行して、今後は仕事や家庭、子育て、介護など、生活に密接に関係するテーマについて、男女共同参画の視点で気軽に話し合える地域懇談会の開催を予定してございます。

 こうした取組を継続的に実施するとともに、より多くの区民や団体、事業者の参加を得ながら、参加と協働によるジェンダー平等を推進してまいります。

 以上でございます。

佐藤 庁舎整備担当部長

 私からは、本庁舎等整備工事の工程延伸に関し、原因の究明と区民への影響を最小限にとどめる努力をせよとの御質問にお答えします。

 一期工事竣工予定まで四か月という時期での突然の工程再延伸の申入れは、にわかには受け入れがたい内容でございます。工事受注者に対しては、このような事態に至る経緯、原因等を明らかにするため、工程遅延に係る経緯等報告書を速やかに提出するよう要請し、六月九日付で工事受注者より提出がございました。

 これを受けて、区は、経緯等検証会議と工程検証専門部会を設置し、専門的知見を持つ第三者を交えての検証作業を開始したところでございます。今後、検証内容を早急に取りまとめ、改めて議会に報告いたします。

 一期棟の供用開始が遅れたことによる、事業、契約等への影響については、現在全庁で洗い出し作業を進め、集約をしているところです。損害賠償については、調査結果を精査の上、工事受注者へ求めてまいります。

 今回の工程再延伸は、区民への影響も大変大きいものであり、影響を最小限にとどめるため、必要な対策にしっかり取り組んでまいります。

 以上でございます。

田中 保健福祉政策部長

 私からは、熱中症対策について御答弁いたします。

 区では、熱中症対策として、区内各所でのお休みどころの設置、せたがや涼風マップ、熱中症予防シートの配布、チラシやポスター掲示、区ホームページや二十四時間安全安心パトロール、商店街の放送など、様々な手法で区民への啓発に取り組んでおります。

 今年度、ぷらっとホーム世田谷での相談のとき、あんしんすこやかセンターや生活保護担当の職員による訪問などにおいて、エアコンの設置状況や使用状況に関する聞き取りを行っていきます。エアコンを使用していない方へは、熱中症対策への効果を説明するとともに、お休みどころの利用も進めてまいります。

 なお、エアコンの購入については、生活保護の仕組みの中で給付できる場合もありますが、生活保護以外の方への支援の仕組みはありません。コロナ禍による影響や、昨今の物価高騰など、厳しい状況を踏まえ、生活困窮の方の御事情を伺いながら、生活への支援を丁寧に行ってまいります。

 私からは以上です。

中里 光夫 議員

 区長が答弁で、憲法で保障された基本的人権と平和を守る役割が自治体の責務だと、そして、この平和都市宣言の精神を引き継いで、参加と協働で区政を推進していくという答弁がありましたが、やはり今の社会情勢、国際情勢の中で、この世田谷区がこうした観点でしっかりと進めていくということは非常に大事なことだと思います。しっかりと取り組んでいただきたいと要望して、終わります。

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