一般質問 令和5年09月22日定例会

2023/09/22

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質問項目

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質問

気候危機対策について

中里光夫 議員

 初めに、気候危機対策について質問します。

 国連のグテーレス事務総長が、地球沸騰の時代が到来したと述べましたが、この夏はそのことを実感する記録的な猛暑でした。九月も後半になった今も連日三十度を超える真夏日が続いています。熱中症による命の危険を感じるだけではなく、集中豪雨や台風の進路の変化、世界では大規模な山火事や干ばつ、洪水などの被害が広がっています。海面上昇は、海抜の低い国や地域の脅威となっています。

 世田谷区は達成すべき目標として、二〇三〇年度までに二〇一三年度比で温室効果ガスを五七・一%削減、野心的な目標として六六%削減という積極的な目標を立てました。二〇一九年度の実績はマイナス一三・八%です。あと七年でCO2などを半減し、目標を達成する本気の取組が求められています。

 世田谷区の部門別CO2排出量は、二〇一九年度の実績で、家庭部門が四四・六%、業務その他部門が二四・二%と全体の約七割を占めます。この分野での効果的な削減が必要です。

 都市部である世田谷では、建物の省エネ、創エネの推進が大きなテーマの一つとなっています。ZEB、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルやZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスと言われるものの普及です。建物の省エネと太陽光発電などの創エネを併せて、エネルギー消費の実質ゼロを目指すというものです。光熱費を抑え、快適な環境をつくり、災害時の停電でも電気が使用できるというメリットがあります。家庭部門である住宅、業務部門であるオフィスや店舗で進めることが課題です。

 建物の省エネの中心は、断熱性能の向上です。建物の断熱性の向上は、窓の断熱化、壁や天井、床下などに断熱材を入れる、屋根や屋上の遮熱塗装や屋上緑化などがあります。新たな建築では、こうした断熱性能への配慮が進み出しています。同時に、既存の建物の断熱改修も必要です。区が率先して公共施設で既存建物の断熱改修を進め、その必要性やメリットを広く区民の中に広げ、住宅やオフィス、店舗へと広げていくことが必要です。

 建物から最も熱が出入りするところは開口部、つまり窓です。二重ガラスにする、アルミサッシを木製や樹脂製のものにすることで、断熱効果が上がります。建物の構造や配管などに直接影響することが少なく、比較的簡単な工事で付け替えたり、付け足したりすることができます。まずは、最も簡単で効果が高いとされる窓の断熱を公共施設で一気に進め、区民にその効果を実感してもらうことで、窓断熱の大きなムーブメントをつくれば、住宅やオフィス、店舗へ広げていく力になるのではないでしょうか。

 私の子どもは区立中学校に通っていますが、教室のエアコンの効きが悪く、少しでも涼しいところを探して、理科室や音楽室などの特別教室で授業をしている、そうした場所は取り合いだと言っています。八月二十九日、全国の学校の教室の断熱化を求めるネット署名が二万七千筆、文部科学省に提出されました。教育環境改善のためにも、教室の断熱化が急がれます。

 今年の夏、六月から九月の区内熱中症死亡者は全員高齢者で九名、うちエアコンなし、故障三名、エアコンがあっても未使用が四名、屋外が二名と、深刻な状況です。救急搬送は三百三十六人に及びました。特に高騰する電気代を気にしてエアコンを控えざるを得ないという声をたくさん伺っています。高齢者、低所得者が多く住む区営住宅の断熱化を進めることは、区民の命と健康を守ることにつながります。

 同時に、家の断熱性能を上げれば、光熱費を抑えられると、区民に広げることにつながります。自治体の率先行動として、公共施設について断熱改修を進めていくべきです。区の見解を伺います。

 公共施設の新築や改築、小中学校、区営住宅の断熱改修を進めることを求めます。それぞれの所管の見解を求めます。

 公共施設等総合管理計画に気候危機対策を位置づけるべきです。見解を伺います。

 以前、大蔵住宅の建て替えに合わせて整備される特養ホームの住民説明会に参加しました。建築事業者の太陽光発電などの設備をつくるという説明に対し、行政からの指示や援助があるのかと質問しました。そのときの答えは、建築の国の基準はあるが、それだけだ、太陽光発電などの設備は事業者の判断だという話でした。

 高齢者施設、障害者施設、保育園など民間が建設する公的な役割を持つ建物がたくさんあるのに、そこでの環境配慮の手だては手つかずだと気づきました。国や都の動きを待つだけでなく、区として率先行動を取るべきです。民間が建設する施設などの省エネ等の基準づくりと、省エネ・創エネ推進の補助制度の検討を求めます。見解を伺います。

 オフィスや店舗での省エネを進めることは、光熱費の削減につながり、設備への投資は数年で回収できます。照明をLEDに変えたり、冷暖房の更新でどれだけコスト削減につながるか。最新技術や製品を紹介し、その活用による効果を評価する、床面積当たりの排出量を算出し、同じ業種で比較することも重要です。また、環境省や経済産業省の中小企業向け支援策は、ホームページを見ると莫大な情報が紹介されています。東京都の企業向け支援策のパンフには二十八種もの補助事業が紹介されています。また、都のホームページで確認すると、世田谷区の事業者向け支援が他区と比べ大きく遅れていることにショックを受けました。充実させるべきです。

 同時に、あまりに情報量が多く、一般の人にはどうしたらいいか分かりません。国や都、区の補助制度などを適切に紹介し活用を促すために、専門的な知識を持つ者が個々の企業の業態や特殊事情に応じた適切なアドバイスを行うことが求められます。第二回定例会では、区は区民や民間事業者にエネルギー利用の在り方を見直していただく必要性を御理解いただくということがまず必要、区民と事業者との協働の場を広げ、支援の取組を加速していきたいと答弁しています。

 東京都の相談窓口を紹介するだけでなく、区として、区内事業者の脱炭素化を推進するための体制をつくるべきです。区内中小企業のCO2削減の取組を推進するために、CO2削減のための情報提供、それぞれの事情に合わせた推進のための専門家派遣などの相談体制をつくるべきです。参加と協働でそのための仕組みづくりを進めることを求めます。

下北沢の小田急線跡地、雨庭広場付近の交通安全対策について

中里光夫 議員

 次に、下北沢の小田急線跡地、雨庭広場付近の交通安全対策についてです。

 小田急線の上部利用は、新たな下北沢の名所としてテレビなどでも繰り返し紹介され、ドラマの聖地としての注目もあり、多くの人が訪れるようになりました。コロナが五類となり、社会的な制限もなくなってくる中で、土日などは人があふれるような状態、海外からの旅行者も目立つようになってきました。

 昨年の四定で、小田急線上部、雨庭広場周辺の交通安全の対策、特に元踏切だったところに横断歩道などの対策を求める質問をしました。元踏切だったところを人が行き交う、そして踏切がなくなったので車は止まらずにそのまま通り抜ける危険な状況です。人の流れが多くなっていますが安全対策は進んでいません。横断歩道などの対策を早急に進めることを求めます。

 交通管理者に地域の声を伝えながら安全の確保に取り組むと答弁がありましたが、その後の進展はどうか伺います。

 旧北沢小学校は、現在、池之上小学校の建て替えのための仮校舎として使用されています。池之上小学校の建て替え完成後の旧北沢小学校跡地利用の検討が求められています。地域では、子どもの声が聞こえる、子どものための施設、これを求める声とともに、北沢小学校の復活再開をとの声も上がっています。旧北沢小学校の後利用は、地域住民の話合い、特に子育て世代や子どもを含めた参加と協働で利用方向を決めることが大切です。

 旧北沢小周辺は、統合により、区内小学校で最も通学距離が長い場所の一つとなりました。統合された下北沢小学校は、当初の予想を超えて子どもの数が増え、三十五人学級を進めるに当たって教室不足となっています。幸い旧北沢小は学校としての利用が継続されてきたので、施設をそのまま使用することができます。旧北沢小学校を学校として活用することを検討すべきです。見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

中西 環境政策部長

 私からは、気候危機対策について二点御答弁申し上げます。

 まず、自治体の率先行動として公共施設の断熱改修を進めていくべきという御質問に対してお答えします。

 区ではこれまでも、区内最大の事業者として事業活動における環境負荷の低減に努め、平成二十年三月に公共施設省エネ指針を策定し、区の公共施設整備におけるCO2の排出削減に取り組んできました。しかしながら、直近データの令和三年度の区施設全体のエネルギー使用量は、原油換算で二万五千百七十九キロリットル、平成二十一年度比でマイナス一・一%と、目標のマイナス一六・四%削減、達成できておりません。

 この反省と気候危機が加速している現状を踏まえ、さらなる区施設全体のエネルギー使用量の削減を徹底するため、公共施設の断熱化及び省エネ化を効果的に進めるべく、指針の改定作業を進めているところです。

 改定指針には、新築及び大規模な改修を行う公共施設を対象として、世田谷区公共建築物ZEB指針をつくりまして、こちらを内包するとともに、世田谷区公共施設等総合管理計画等の関連計画指針との整合を図ってまいります。施設改修の機会のみならず、すぐに実施可能でかつ費用対効果の高い断熱、省エネの手法を取り入れるなど、手法の具体化を今後進めてまいります。

 次に、民間建築物の省エネ等の基準づくり及び補助制度の創設について御答弁申し上げます。

 区では、民間の建築物の省エネルギーや再生可能エネルギーの利用、また公害防止や緑地、生き物の生息環境の確保など、環境への配慮を要請する環境配慮制度を設置しております。一定規模以上の建築物を建築する場合には、評価算定書の提出を求めておりまして、この評価項目や要請事項が省エネルギー等のいわばガイドライン的な役割を果たしています。今後もこの制度の適切な運用と、評価結果を広く周知していくことによりまして、民間事業者の省エネルギー等の環境配慮を促してまいります。

 民間事業者の省エネルギーや再生可能エネルギー利用を後押しするための補助制度として、現在、区民のみを対象としているエコ住宅補助金を、今後は事業者にも対象を拡大することも視野に、中長期的にさらなる充実を検討してまいります。

 以上でございます。

佐々木 施設営繕担当部長

 私からは、公共施設の新築、改築などの際の断熱についてお答えいたします。

 現在、世田谷区公共施設ZEB指針の策定に取り組んでおり、指針には、お話にございましたような断熱性能を高めるために、外壁や屋根に施す断熱材、開口部となる窓に関する仕様などを定めていく予定でございます。今後、新築、改築される公共施設につきましては、この仕様に基づいて断熱化を着実に進めてまいります。

 以上でございます。

知久 教育政策・生涯学習部長

 私からは、学校の断熱改修についてお答えいたします。

 公共施設の施設総量の過半数を占める学校施設における断熱改修は、自治体の気候危機対策の率先行動として有意義であると認識しております。一方、学校施設の断熱化の現状ですが、平成二十年三月策定の公共施設省エネ指針に基づき、改修時ではなく、改築する学校を主に断熱化を進めてきていることから、多くの学校施設で断熱化を進める必要がございます。

 こうしたことから、輻射熱により空調設備の効率が下がる校舎の最上階の断熱化を図る実証実験をモデル校にて取り組むこととし、現在、関係所管課と協議を進めています。今後、モデル校における取組を通じ、費用や効果等の検証を行った上で、学校施設への断熱改修の手法や在り方について検討してまいります。

笠原 都市整備政策部長

 私からは、区営住宅の断熱改修について御答弁申し上げます。

 区では、世田谷区地球温暖化対策地域推進計画において、住まいの省エネルギー化を進める取組の一つとして、区営住宅等の省エネルギー化改修、建て替えを行うこととしております。令和二年に建て替えした豪徳寺アパートにおきましては、環境への配慮を意識し、壁面緑化や屋上緑化を施工したほか、断熱効果を高める仕様などとするなど取り組んでおります。

 今後につきましては、定期的に実施している区営住宅の改修工事の際に、議員のお話にもございました遮熱性能や断熱性能を有する材料を使用するなど、区営住宅の断熱化について検討してまいります。

 以上です。

有馬 政策経営部長

 私から二点、初めに公共施設等総合管理計画に気候危機対策を位置づけよについてお答えいたします。

 平成二十九年に策定した公共施設等総合管理計画につきましては、令和三年度に計画策定以降の区の財政状況や区民ニーズの多様化等の状況を踏まえ、持続可能な公共施設の維持管理に向けた一部改定を行ったところでございます。しかしながら、計画の一部改定後も公共施設を取り巻く環境は変化を続けており、特に異常気象に代表される気候危機対策については、今後の施設整備や保全を進めていく上で大切な視点となります。

 区では現在、建物のZEB化に向けた指針の策定について検討を行っております。また、既存施設の改修においても、暑さ対策や省エネという観点からの対応を行っておりますが、今後はより一層環境面に配慮するとともに、猛暑等の今後の気候の中でも安全に使える施設整備が必要だと考えております。

 このような考え方の下、気候危機対策という観点から、公共施設等総合管理計画の中に考え方を取り入れながら計画の見直しを進めてまいります。

 次に、旧北沢小学校を、新たな学校も含め子どものための施設としての活用について地域の声も聞き検討せよについてお答えいたします。

 旧北沢小学校につきましては、現在の池之上小学校仮校舎としての利用が令和六年八月に終了することから、その後の利用について検討を進めているところでございます。後利用につきましては、この間、地域の方より、地域で利用できる場所や避難所機能の整備といった声をいただいており、先日の北沢地区の車座集会におきましても、子どもの声が聞こえる施設など子どもに関連する施設としての活用について御意見をいただいたところでございます。

 今後も関係機関との連携の下、こうした区民ニーズや行政需要を勘案し、旧北沢小学校の最適な後利用の方法について、多くの角度から区民ニーズに即して検討するとともに、区民に丁寧に説明してまいります。

 以上でございます。

後藤 経済産業部長

 区内中小企業のCO2削減の取組推進について御答弁申し上げます。

 区では、中小企業者向けのCO2削減の支援として、省エネルギー対策資金の融資あっせんを行ってございます。また、事業所の電気、ガスの使用量削減や環境性能の高い再生可能エネルギー電力への切り替え等に取り組んだ状況に応じ、省エネ・再エネポイントをせたがやPayで付与する省エネ・再エネポイントアクションは、事業者も対象として実施をしてございます。

 また、東京都では、電力のHTT、減らす、創る、ためるを推進していくため、助成金の支給、資金融資、相談窓口の設置、省エネ診断、研修講師や相談員の派遣などに取り組んでおり、区でも事業者へパンフレットを活用した周知、紹介を行っているところでございます。

 区といたしましては、事業者の方々に対し、CO2削減への取組が経営にもたらす意義やメリットを啓発していくとともに、様々な施策が中小事業者の方々に有効活用されるよう周知に取り組んでまいります。

 以上でございます。

柳澤 北沢総合支所長

 私からは、下北沢の小田急線跡地、雨庭広場付近の交通安全対策についてお答えいたします。

 議員お話しのとおり、昨年、シモキタ雨庭広場周辺の元踏切部分を安全に通行するための横断歩道設置を求める御意見をいただき、区として交通管理者である北沢警察署と協議を行いましたが、勾配が急であることや、見通しが利きにくいという地形的条件から、当該箇所への横断歩道設置は困難であるとの見解が示されました。

 しかしながら、小田急線上部のまちづくりが度々メディア等で取り上げられ、新型コロナウイルス感染症による行動制限もなくなったことから、さらに人が集まり、横断歩道設置を求める声は昨年以上に増えていると、区としても認識してございます。

 こうした状況から、改めて北沢警察署に相談したところ、警察にも同様の声が届いており、横断歩道設置について再検討する予定であると聞いております。区といたしましては、地元の声や来街者の方が安全に御利用いただける場所となるよう、引き続き当該横断歩道の設置に向けて粘り強く取り組んでまいります。

 以上でございます。

再質問

中里光夫 議員

 再質問します。

 経済産業部でいろいろ周知に取り組むということでしたけれども、やはり個別の相談に乗るというようなことが大事だと思うんです。今の産業部門のCO2削減、認識と、今後の展望を答えてください。

再答弁

後藤 経済産業部長

 事業者のCO2削減の取組についての再質問をいただきました。

 今お話しいただいたとおり、メニューは非常にたくさんあるんですけれども、質問の中でもございましたとおり、それが完全に事業者の方に十分な形で届いているかどうかというと、そこはまだ不十分かなというふうには感じているところでございます。

 御提案のそういった専門家の活用を行ったりとか、そういったことで今後さらに取組を進めることが大事かと思っておりますが、例えば現行、経済産業部、産業振興公社のほうで様々な事業者相談を行っているところがございます。そうした中で、現行の中でもそういったCO2削減の御意向のある事業者へ御案内をしているといったようなそういった実績もございます。なので、改めてこの気候危機、区全体として取り組まなければいけない重要な課題というふうに認識してございますので、あらゆる機会を捉えて、御提案の趣旨も含めながら、区全体で取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上です。

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