2023/10/04
それでは、私のほうから質問します。
まず、個人情報保護の問題について質問をしたいと思います。個人情報保護法改正に伴う個人情報保護条例の改正がこの四月に行われました。この法の改正は、自治体が抱えている個人情報を民間も含めた利活用を促進しようという財界や大企業の要請に沿ったもので、自治体ごとの個人情報保護の仕組みを壊して、全国一律のルールの下に個人情報の流通を活発にさせよう、こういう思惑で行われたものです。具体的には、個人情報を扱う業務を外部委託したり、回線結合しようというときに、従来は自治体の審議会でいちいちチェックしていたんですが、これを禁止し、国が認めた基準に合っている企業などとのやり取りは、もう機械的に認める、こういう方向になりました。
世田谷区では、これまでの個人情報保護の水準をいかに守るかということが、議会や審議会で議論がされてきました。そして、その結果、三つの基本方針、一、これまでの水準を守ること、二、区民が情報の主体であるとして個人情報自己コントロール権を守る立場、三、審議会を今後も機能させる、こういう方針の下、条例の改正が行われました。
新しい条例の下で個人情報を守る仕組み、手続はどのように変わったのか確認します。
個人情報保護法の改正を踏まえ、本年四月一日付で世田谷区個人情報保護条例の大幅な改正を行ったところです。従来は、個人情報を取り扱う業務を外部委託する場合などには、事前に情報公開・個人情報保護審議会に諮問を行う形を取っておりましたが、個別事案について審議会に諮ることは適切でないとの改正法の趣旨を踏まえ、審議会による事前チェックに代わるものとして、審議会の御意見を踏まえて、新たに個人情報保護管理基準及び個人情報を取り扱う業務の審査基準を整備いたしました。
この基準に基づき、個人情報を取り扱う課ごとに事前にセルフチェックを行う形といたしました。また、セルフチェックの状況については、事務局で取りまとめの上、審議会に御報告することとしております。
審議会が事前に作ったチェックリストをそれぞれの課がチェックして運用していく、こういうやり方に変わったわけですが、この新しい仕組みの下で行われた個人情報の外部委託や回線結合などの件数はいかほどになるでしょうか。
件数でございますけれども、こちらにつきましては全てのセルフチェックを行っておりますので、セルフチェックにつきましては、従前から行っております業務を含めまして、各所管課において行っております。本年四月一日時点で外部委託に関するもの七百九十九件、目的外利用に関するもの八件、外部提供に関するもの百三十七件、オンライン結合システム導入におけるものは百七十三件、合計千百十七件の業務について、セルフチェックが行われたところでございます。
なお、本年四月二日以後に発生しました新たな業務の件数につきましては、現在、区政情報課において取りまとめを行っているところでございます。
この新しい仕組みの下でチェックが進められてきたということですが、今挙げられた数字は非常に量が多いというふうに思うんです。合計で千百十七件処理が行われてきたと。従来ならば、事前に審議会でチェックされていたものが今回はそれぞれの課のチェックで千百十七件の新しい扱いが始まっているということになるわけです。
非常に多くの案件を処理されているわけですが、今、新たな行政経営への移行実現プランが示されています。この中で、外部委託を推進する方向も出されていますし、DXを推進するという方向も出ていますけれども、これらで、今後、さらにこういうチェックを必要とする案件、件数というのは増えていく傾向にあるんじゃないかというふうに思うんです。大量に出てくるチェック、審議会を事前に通していたものを、今ではそれぞれの所管がチェックするという状況になったわけですが、新しいやり方では後から審議会に報告されると、事後チェックがされるということなんですが、十分なチェックが行えるように、報告の仕方など、十分工夫していく必要があると思うんです。大量の案件を審議会がきちんと事後チェックできるのかどうかというのは大きい問題だと思います。
また、現場のチェックのスキルを上げていくことも大事だと思うんです。そのためには、研修の工夫であるとか、あるいは別の所管の第三者によるダブルチェック、こういう仕組みも入れて、信頼性を上げる工夫が必要だと思いますが、見解はいかがでしょうか。
個人情報を取り扱う業務に関わるセルフチェックに関する状況報告の範囲などについては、審議会の御意見を伺い、必要に応じて今後検討してまいります。また、所管課によるチェックをさらに適正なものとするため、各課の個人情報の取扱い状況を監査する個人情報保護監査責任者を設置し、本年度後半の内部監査の実施に向けて、その準備を進めているところです。
新たな個人情報保護についての制度の理解を深めるための研修を行うとともに、引き続き審議会の意見も十分に踏まえながら、適切な個人情報保護制度の運営に努めてまいります。
個人情報保護監査責任者を設置すると、新たなチェックの仕組みもこれから進めていくということですけれども、やっぱり現場できちんとチェックされることは大事ですし、そのスキルを全体で上げていくためにも、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに要望しておきます。それでは、次の質問に進みたいと思います。
今言った新たな行政経営への移行実現プランについて、我が党の川上議員の一般質問の中で、この問題を取り上げて、外部委託ありきではなくて必要な人員配置を行うこと、正規職員の比率を高めていくこと、そもそもそこをしっかりとやってほしいと。それから、外部委託をする際にも、公的責任を果たすこと、偽装請負とならないこと、個人情報を守ること、それから突然の撤退などにも備える、こういった様々なリスクにしっかりと備えていく必要がある、こういうことを求めました。また、現場のノウハウを失うことで、将来、公的責任を果たせなくなる懸念がある、こういう点も指摘をしてきました。
これは政策経営部が答弁をしたわけですけれども、業務改善とDXの推進、これはともに進めるということになっていくと思います。今言った個人情報保護は、新しい仕組みの中で新しいチェックシートを作って各所管がチェックするという体制になりましたけれども、その中身をDXを推進する部隊もしっかりと把握する必要があると思います。偽装請負にならないのか、個人情報がしっかり保護されるのか、公的責任はしっかりと果たしていけるのか、ここをしっかりとDX部隊として守っていくことが大事だと思います。職員の業務の負担を増やさないように、働きやすい職場にするというのも同時に追求していかなきゃいけない。DXの推進部隊として、この辺についてどう認識しているのかお答えください。
今お話しいただきました法令遵守や個人情報の保護、行政責任の履行、また職員の負担軽減につきましては、DXを進める上でも大変重要な視点であると認識しています。本年九月に策定いたしましたDX推進方針Ver・2では、改革を加速する考え方といたしまして、サービスデザイン思考を打ち出しています。区民視点でサービスを組み立て直しまして、区民満足度を高めていくのはもちろんなんですが、仕事の効率と質を高め、職員のウエルビーイングを高めていくこともDX推進に当たっての重要な視点であるとして入れております。
具体的な取組といたしましては、オンライン手続の拡充やオンラインツールの拡充等によるコミュニケーションの円滑化、ペーパーレスの推進やRPAによる事務事業の作業の自動化、新事務用パソコンや無線LANの環境整備などを進めることでワークスタイル改革を行い、職員が柔軟かつ効率的で仕事がしやすく、満足度の高い職場環境を目指してまいりたいと考えております。あわせて、偽装請負等を防止する法令遵守の徹底や個人情報保護の措置の実施、公共の責任を果たすことのできる行政責任の履行等にも十分配慮を行いながら、DX推進をさらに加速してまいります。
しっかりと公的責任を守れる体制づくり、これは大事なことだと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。
同時に、DXを進めることで区役所の職場を魅力ある職場に変えていく、こういう観点も大事なんじゃないかと思うんです。新たな行政経営への移行実現プランでは、感染症、気候変動、物価高騰などのほか、人口が減る、税収が減る、職員の時間外勤務が増えている、職員の若年化、職員の確保が難しい、今後、歳出面では社会保障の増や社会インフラ老朽化への対応、大規模災害への備えなど、課題が山積みだと、こういう暗い話がずらりと出てきて、これにどう対応していくのか、そのために仕事を外部に出せと、そんな話になっていて、ちっとも明るい未来が見えてこないということを批判しました。
他会派の質問でも、若い職員の退職が問題だということも指摘されました。人事に資料を見せてもらいましたけれども、確かに二十代、三十代の退職者がここ数年増えている傾向があると、これははっきりと出ているというのも分かりました。我が会派の一般質問で、こうした状況を変えるためには、魅力ある職場づくり、チームワークによる現場の知恵で効率化のアイデアも出し合って進めていこうよと、こういう提案をしました。公務員の魅力は、何といっても区民との関係で、区民の役に立つ、感謝される、そういう仕事をしたときだというふうに思います。また、風通しのいい組織で区民や仲間と協力して課題解決を進めた、こういうときに喜びがあるんだというふうに思います。そして、それを支えるのがそれぞれの事情に応じて対応できる働きやすい職場の環境だというふうに思います。
松村副区長の出身企業が働き方を変えて離職率が高かった職場を劇的に変えたというふうにも聞いていますけれども、こうした経験を生かしたDXの推進、魅力ある公務職場への変革を期待しています。副区長は、区役所職場の現状をどのように捉え、どう変えていくのか、考えを聞きたいと思います。
御質問ありがとうございます。私は、昨年の六月に就任して、区役所定例会におきまして、まず、庁内の業務改善、それから区民サービスの向上の基盤となる区の情報システム基盤の見直しに着手すると述べさせていただきました。今まさに、来年度末を目指して、順次、次期情報化基盤の整備を進めております。これによりまして、職員の働き方を大幅に刷新できるような基盤づくりをまさに今進めているところでございます。
御質問のありました働きやすい職場をつくっていくためには、前職の経験を踏まえまして、デジタル化による見える化の促進だけでなく、トライ・アンド・エラーができる安全安心な風土や、柔軟な働き方ができる環境の整備が重要であるということを認識しております。このたび策定しました、先ほど紹介があったDX推進方針Ver・2の中でも、ワークスタイルの変革というものを改革を加速する考え方、アクションの一つとして打ち出しております。
前職におきましても、劇的にというお話がありましたけれども、十年以上かけて働き方や業務改善に取り組んでまいりました。この経験を生かしまして、全ての職員が気持ちよく働き、持てる能力を発揮できるチームワークあふれる区役所、組織づくりに関係所管とともに取り組んでまいりたいと思います。
十年かけてということで、そう簡単にできるものではないというのは、全くそのとおりだと思います。しかし、結果として大きく変化をつくってきて、全国からも注目されるような経験をしてきているわけですから、ぜひ、この世田谷区の職場の中でも、そういう働きやすい職場を実現していくと、それを進めていただきたいと思います。
以上を求めまして、日本共産党の質問を終わりにします。