決算特別委員会 令和5年10月10日(福祉保険領域)

2023/10/10

質問項目

 

質問

第九期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の素案について

中里光夫 委員

 それでは、質問者を替わります。

 私からは、第九期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の素案が出ていますが、これについて質問をします。

 まず最初に、基本理念についてです。

 住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現というふうに書かれていますが、これは参加と協働、地域包括ケアなど、これまで区が推進してきた方向と一致するものです。しかし、その一方、住民同士の支えあい、共助を強調して、行政が行うべき公助、公的責任が後継に追いやられているとの印象を受けてしまいます。

 計画目標についても、第一に掲げているのが、健康寿命を延ばすとなっていますが、健康寿命を延ばすというのは、給付抑制政策です。健康寿命を延ばすことは重要であり、目標に掲げることはいいと思いますけれども、サービス確保、高齢者の参加と活動の場の確保など、こうした公的責任を果たすというものを前面に出して、そこをしっかりと示していくことが重要じゃないかというふうに思います。

 こうした心配の背景にあるのは、国の介護保険政策が、利用者の利用料や保険料をどんどん増加させていく一方で、サービス供給の制限、特に軽度の要介護者の利用を制限して、その中で介護サービスをボランティアで置き換えようと、こういう動きがあるということがあります。国は、住民同士の支えあいを進めることと、介護サービスの公的責任の後退をセットで進めようとしている。このことが介護関係者から非常に問題だというふうに見られているわけです。

 世田谷区の計画では、給付抑制を進めようとする国の動きに対しては、区として、公的責任をしっかりと果たし、サービスの供給量の確保、施設や人材の確保の支援、保険料などの負担軽減などを進める姿勢を基本理念や計画目標でしっかりと示していくべきだと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。

杉中 高齢福祉課長

 現在、令和六年度からの三年間を計画期間とする第九期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定を進めているところです。住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現を基本理念とし、計画目標を区民の健康寿命を延ばす、高齢者の活動の参加を促進する、それから、安心して暮らし続けるための医療・介護・福祉サービスの確保を図るの三つを掲げております。

 区といたしましては、委員お話しの内容も含めて、本計画を通じて公的責任を果たしていきたいと考えております。

中里光夫 委員

 公的責任を果たしていくという姿勢が目に見えるような形、そういう表現をぜひ工夫していただきたいと思うんです。国の動きがあるだけに、世田谷区はしっかりとやるぞというのを関係者にしっかりと示していただきたいなというふうに思います。

 そのサービス供給量の確保という点では、区はこれまで特養ホーム定員千人分を増やす、これを推進してきました。現在、特養待機者千三百人と聞いていますが、現在の進捗状況、そして今後の方向について併せて答えてください。

杉中 高齢福祉課長

 区では、在宅生活が難しくなった要介護高齢者の生活の場である特別養護老人ホームについて、平成二十七年度からの中長期目標である二〇二五年を目途に千人分の定員増を目指し、計画的な整備を進めております。平成二十七年度以降、新たに十一施設、定員七百八十人分の整備を進めてきた結果、現在区内で合計二十九施設、総定員で二千百九十八人分の特養が運営されております。

 引き続き、区有施設の跡地や大規模団地の建て替えに伴い生じる創出用地など、公有地等を積極的に活用し、目標達成に向けて着実に進めてまいります。

 特養に入所を申し込まれているもののまだ入られていない方の人数が、平成二十六年度末に二千二十三人だったところ、特養整備が進んだことや、ほかの入所施設も増えたことにより、令和五年九月時点で千三百四十二人に減少しております。目標達成後の特養の新規整備については、そうした状況も踏まえ、需要を見極めながら慎重に検討を進めていく必要があると考えております。

中里光夫 委員

 需要を慎重に見極めながらと、施設の利用の傾向も変わってきているので、そこはしっかりと取り組む必要があるというふうに思うんですが、その中で高齢者のお話を聞きますと、できるだけ在宅がいいという方が多いと。在宅での訪問サービスを基本としながら、必要に応じて宿泊ができる小規模多機能居宅介護や看護小規模居宅介護への期待が非常に高いというふうに思います。

 区は二十八全地区に整備する方針で臨んでいますが、十三地区でまだ整備されていません。特に北沢では六地区中、梅丘しか整備されていない、世田谷地域では七地区中三地区しか整備されていないという状況にあります。小規模多機能居宅介護、看護付小規模多機能居宅介護の整備を、特に遅れている北沢地域、世田谷地域で推進してほしいと思いますが、この状況はどうでしょうか。

杉中 高齢福祉課長

 小規模多機能型居宅介護は、御利用者の状況に応じて、通いや短期の宿泊、訪問の各サービスを組み合わせながら一つの事業所で提供するものであり、在宅生活を継続するための重要なサービスとして位置づけております。

 現在、区内に小規模多機能が十五か所、これに訪問看護を加えた看護小規模多機能が七か所、計二十二か所整備されています。今後、区内のどこにお住まいであっても小規模多機能のサービスを有効に御利用いただけるよう、未整備地域を中心に計画的に整備を進めてまいります。

中里光夫 委員

 ぜひ頑張って進めていただきたいと思います。特に北沢は本当にないので、頑張っていただきたいと思います。

 介護事業者からは、とにかく人材不足が深刻だと、施設系でも訪問系でも切実な声を聞いています。訪問系では八十代のヘルパーが現役なんだというふうなお話も伺っています。

 こうした原因をつくっている大本にあるのは、過酷な労働と低賃金。介護職の賃金は全産業平均より七万円安いと言われています。介護職は国家資格である専門職、高齢者の命や健康、尊厳を守る重要な仕事であるにもかかわらず、社会的な評価が低いということが問題です。この低賃金のもとは、介護保険制度の制約によるところが大きい、国の制度が悪いというふうに思います。

 日本共産党は、賃金を国の責任で引き上げること、配置基準の見直し、雇用の正規化、長時間労働の是正、労働条件の改善、これを行うべきだと提案をしているところです。世田谷区も国に対し、介護職の処遇改善など、これまでも求めてきたと思いますけれども、引き続き国に求めていただきたいと同時に、区としてできる取組を進めること、これも重要です。
 介護人材確保のために職員の家賃を補助する宿舎借り上げなどを行ってきました。今後さらに拡充することを求めます。現状と今後の取組について伺います。

杉中 高齢福祉課長

 これまで介護職の住まい支援として、都の制度も活用して特別養護老人ホームや福祉避難所協定施設を運営する法人に対して家賃等の一部を補助する宿舎借り上げ支援事業を実施してまいりました。また、昨年度から新たに認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービス事業所に対象を拡充いたしました。

 地域密着型サービス事業所への宿舎借り上げ支援事業の申請状況は、令和四年度は六事業所十一戸、五年度は九月末現在で十一事業所二十七戸となっており、増加しております。今後、事業所の連絡会などの場において周知をして、さらに増やしていきたいと考えております。

 宿舎借り上げ支援事業は、若手職員の人材確保はもとより、他業種からの転職を考えている方への支援、また現在働いている介護職員の定着支援にもつながっており、利用している事業者からは高い評価を得ております。今後もしばらくは介護人材の不足が見込まれていることから、区としても、介護人材確保、定着支援の重要な施策として、可能な限り継続していきたいと考えております。

中里光夫 委員

 継続だけじゃなくて、拡充をぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 介護保険料について、現在の第八期では、基金を活用し保険料の引き下げを行いました。これは評価しています。第九期について、基金を活用し、できるだけ保険料を抑えるべきだと考えますが、九期の考え方についてお答えください。

谷澤 介護保険課長

 現在区では、令和六年度から八年度の第九期の介護保険料につきまして、地域保健福祉審議会、高齢者福祉・介護保険部会に考え方をお示し、御議論をいただくとともに検討を進めているところでございます。

 第八期の保険料は介護給付費準備基金約九十四億四千万円のうち、約五十七億七千万円を充当しまして第七期の保険料よりも引き下げることができました。第九期は高齢化の進展に伴う要介護認定者の増加や介護報酬改定による給付額の上昇等が見込まれますため、第九期の保険料設定におきましては、それらの影響は避けられないと考えておりますが、第八期までの保険料設定の考え方を踏まえまして、介護給付費準備基金を活用して保険料の上昇抑制に努め、持続可能な介護保険制度となるよう検討を進めてまいります。

中里光夫 委員

 ぜひ保険料抑制、できれば引下げ、これを頑張っていただきたいというふうに思います。

子ども計画について

中里光夫 委員

 続いて、子ども計画についてです。

 世田谷区子ども計画(第二期)後期計画策定に当たって、子どもの生活実態調査を行い、子ども計画の中に子どもの貧困対策計画も策定されてきたと。今年度、次期子ども計画の策定作業が進んでいますけれども、高校生に対する生活実態調査は行いますが、小中学生については行う予定がないと伺っています。

 コロナで、そして物価高騰で、子ども食堂の利用者は増え、フードパントリーなどの取組も広がり、さらに区としても、ひとり親や住民税非課税世帯への現金給付を行ってきた。こういう状況があって、コロナ前と後では状況は大きく変化しているんじゃないでしょうか。改めて小中学生に対する生活実態調査必要だと思います。

 この次期計画策定に当たって、小中学生の生活実態調査も行うべきと思いますが、見解はいかがでしょうか。

瀬川 子ども家庭課長

 前回の調査実施時に比べ、コロナ禍や物価高騰等といった社会情勢の変化があることは認識をしております。そのため高校生世代を対象とした子どもの生活実態調査では、コロナによる家計収入への影響を把握する設問がございます。また、十一月に、実施するひとり親家庭調査では、その対象に小中学生の子どものいる家庭も含まれ、経済的な理由による子どもの所有物や体験のはく奪状況を把握する設問がございます。

 これらの二つの調査の結果から、小中学生のいる子育て世帯の家計の物価高騰等に関する一定の影響のほうは把握ができていると考えております。それらの結果を踏まえまして、次期子どもの貧困対策計画の策定において、小中学生も含めた支援策について検討してまいります。

中里光夫 委員

 しっかり進めていただきたいと思います。

補聴器購入費助成について

中里光夫 委員

 次に、補聴器購入費助成について伺います。

 来年四月の実施に向け今準備進めているということで報告がありましたが、低所得者が対象だと、住民税非課税だという話ですが、これは厳し過ぎるんじゃないかという声が区民の方から出ています。

 総括質疑で、これまで低所得者支援ということで、住民税非課税というラインが使われてきたけれども、例えば住民税課税がされていても、所得割がゼロのところまでラインを引き上げたらどうかという提案も行ってきましたけれども、住民税非課税のラインよりもさらに低所得の枠を広げていく、そういった取扱いが必要なんじゃないかというふうに思いますが、高齢と障害とそれぞれ分かれて管轄しているということで、それぞれ伺いたいと思います。

 まず、高齢福祉部について。

杉中 高齢福祉課長

 高齢者向けの補聴器購入費助成については、対象要件の一つとして住民税非課税世帯であることとし、助成額は五万円まで、令和六年四月からの事業開始に向けて現在準備を進めております。本事業は特定財源として東京都高齢包括補助を使いますので、都のすり合わせも必要になってくると考えております。

 区としては、事業開始後の申請状況や、令和七年度に予定されている高齢者ニーズ調査で意向を確認するなどして区民ニーズをしっかり把握した上で、対象要件等について必要な見直しを検討してまいります。

中里光夫 委員

 じゃ、障害

宮川 障害施策推進課長

 十八歳以上六十五歳未満の中等度難聴者への補聴器購入助成ですけれども、支援対象者としまして、補聴器購入費の助成を受けていた児童、また十八歳以降の継続のことですね。中等度難聴の学生、低所得の六十五歳未満の中等度難聴者を支援対象とする予定です。

 今後、事業を実施する中で把握できた補聴器のニーズを踏まえまして、高齢福祉部よる助成事業とのつながりも考慮しながら、所得条件に関する対象要件も含めて必要な見直しを検討してまいります。

中里光夫 委員

 ぜひ検討をしていただいて、枠を広げる……。

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