2024/02/21
通告に従い質問します。
初めに、高齢者施設などの今後のコロナ対策についてです。
コロナが五類に移行後、高齢者施設での感染状況を区の保健所が把握することもなくなり、感染者が出たときの社会的検査、随時検査も休止ということで、行われなくなりました。
区内のある特養ホームで、次のような話を伺いました。一月にコロナ感染者が発生した。症状が出た利用者に対し抗原検査キットで確認するという対応をしたが、以前の感染者が出たときに、症状の出ていない人も含め施設全体の検査をする随時検査を行っていたときと比べ、対応が遅れて感染が広がってしまったと感じている。以前のように随時検査をやってほしい、施設長はこうおっしゃっていました。
さらに、国や都、世田谷区が四月から抗原検査キットの配布、消毒液などの費用補助も終了してしまいます。しかし、発熱時の抗原検査キットでの確認や消毒液での感染防止は、もはや日常であり、もうやめられない。これらの経費は、今後施設の持ち出しとなり、経営を圧迫していきます。
高齢者施設、介護事業所での随時検査、抗原検査キットの配布などを今後も行うべきです。区の見解を伺います。
次に、公園の周辺環境を守るルールづくりについてです。
経堂駅から豪徳寺駅に向かう、ゆりの木通り沿いにある山下公園のすぐ隣に、十階建ての大規模マンションの計画が起こりました。これをめぐって周辺の住民が声を上げています。
街づくり条例に基づいて、建築構想の調整で、ディベロッパーと周辺住民の話合いが始まっています。山下公園は、昭和三十二年の開設から親しまれてきた千五百平米ほどの公園です。朝のラジオ体操、午前中は、周辺の複数の保育園の子どもたちの外遊び、午後は小中学生の遊びの場や、外で働く人の休憩の場として、本当に一日中、多くの地域住民に利用されています。
この公園と細い路地一本挟んで、高さ三十メートル、敷地面積二千七百八十八平米の長大な壁のようなマンション計画が持ち上がりました。この計画に対し、周辺の住民は、公園に隣接する大規模マンション計画に対し、巨大なマンションによる圧迫感、ビル風や日陰、公園の樹木への影響など、建物の影響で公園の利用に支障が出るのではないか、子どもたちに影響が出るのではないかと心配の声が上がりました。
また、新住民、新しい住民が、うるさいなどの苦情が出て、ラジオ体操や子どもの遊び場としての利用に支障が出るのではないかとの声が上がりました。それは、子どもの声がうるさいと、公園で子どもが遊べなくなってしまったニュースであるとか、区内の小学校に隣接するマンションからの、うるさいという苦情で、学校の校門の開け閉めができなくなってしまって、警備員を配置する、こんな話があるからです。
ディベロッパーの計画は、既存の法律や条例をクリアしているものの、周辺の住民の不安は払拭できません。建物の在り方にとどまらず、マンション販売時の重要事項説明や、公園の利用や運営の話合いの仕組みづくりなどの課題も見えてきました。まちづくりの問題としての議論の必要性も指摘されるなど、重要な話合いが行われています。
住民に親しまれ、地域の貴重な資源としての公園を守るために、今のまちづくりのルールだけでは不十分な実態が、この件で明らかになってきました。
公園など住民が大切にしているものを守るための新たなルールや仕組みが必要です。大規模な建築物から、周辺に暮らす人々が大切にしたいと思う環境を守るための工夫、これについて区の見解を伺います。
公園利用について、区民参加の話合いの場をつくるなどの取組が必要ではないでしょうか。公園利用についての見解を伺います。
次に、家庭部門の脱炭素化推進についてです。
区は二〇三〇年までにCO2を五七・一%削減する目標を掲げ、家庭部門に特に力を入れ、特に成城地域で二〇三〇年までにCO2排出実質ゼロのモデルを実現する、この方向を打ち出しました。力を集中し、モデル地区で実効性ある手法を開発し、全区展開することは有効な手段であると考えます。区の取組に期待をします。
家庭部門での取組は、太陽光発電の普及や再エネ電力の選択、省エネ家電への切替えや住宅の断熱化、EV、電気自動車の普及など、技術的にも経済的にも確立した方法があります。その普及を図るという、もう取り組むべきテーマははっきりしています。進める上で何が障害になっているのかを調査し、その解消の手だてを具体化していくことが重要です。
太陽光発電の設置や住宅の省エネ化を進める上で、区民はリフォーム詐欺、それから先ほども質問がありました屋根の修理詐欺、こんなことがあって心配しています。区民の不安解消には、安心できる区内業者との連携強化や家庭へのアドバイザー派遣なども有効ではないでしょうか。進める上で何が障害になっているか調査し、その解消の手だてを具体化していくことや、区民の不安を解消するための仕組みづくりが重要です。区の見解を伺います。
同時に、区内産業の振興の観点が重要であり、区内に脱炭素産業を興していく、育成していくことも視野に取り組むべきです。信頼できる区内業者と住民をつなぐ仕組みの構築、太陽光発電の設置工事は、これを行う区内業者が少ない。今後、大規模に推進していくためにも区内業者の育成が必要です。まずはこうした課題を乗り越える仕組みづくりが必要です。区内業者への支援や脱炭素産業を興す、育成することも視野に取り組むべきです。脱炭素化推進における区内産業の育成について区の見解を伺います。
次に、図書館の指定管理者導入についてです。
公立図書館は、住民の知りたい、調べたいを保障する、生存権の文化的側面である学習権を保障する機関です。その機能を果たすためには、資料を充実させるとともに、図書館員としての専門性を持つ職員の充実が不可欠です。それを保障するのが図書館運営の安定性、継続性です。
我が党は、専門性の高い職員の育成、充実を図ることを求めてきました。そして、図書館に指定管理制度はなじまないと指摘してきました。指定管理者は数年に一度、契約の見直しがあります。事業者が替わる可能性があります。
また、図書館業務の委託を受ける多くの企業で、低賃金の非正規雇用が中心の職員体制を取っており、官製ワーキングプアの温床となってきました。
経堂図書館も、一年間で職員の三分の一が入れ替わると、問題が指摘されてきました。新たに指定管理者を導入した下馬図書館、烏山図書館でも、それぞれ令和四年度の実績で三割を超える職員が入れ替わりました。
教育委員会が令和二年度に行った図書館運営体制あり方検討委員会では、民間活用について、不足しているものは何かとか、どうすればよくなるかということを検討してきた、こういう委員の発言にあるように、民間活用の問題点が出されてきました。
そして、その議論は途中であり、最後の委員会でも報告文書は確定していませんでした。指定管理者制度導入について、原則直営、民間活用も選択肢という言葉は出ていましたが、「民間事業者のノウハウやスピード感等を活かし、地域特性や利用者ニーズに応じた自由度の高い図書館サービスの充実を図る必要がある場合は」などの言葉は、後から委員長と事務局の判断で書き込まれたものです。
図書館運営協議会に議論の続きは委ねられ、評価と検証が行われることになりましたが、いまだ議論の途中です。こうした状況で、次期図書館ビジョンが、あり方検討委員会報告書の文言を引用し、それを根拠として、図書館を改築や大規模改修をする場合に、指定管理者導入に突き進もうとしている、これは大変問題だと思います。
さらに、指定管理者を選択するかどうかは議論の途上であるにもかかわらず、梅丘図書館に指定管理者制度導入を決めたことは、あまりに拙速です。指定管理者制度導入方針は一旦保留し、図書館運営協議会などの区民参加の議論を踏まえたものにするべきです。
梅丘図書館は、地域住民と話し合ってつくった改築基本構想がありますが、これがどのように生かされるのか、見解を伺います。
図書館ビジョンに図書館運営協議会の議論はどのように反映されるのか、見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
私からは、抗原検査キットなどについて御答弁いたします。
区では、感染者を早期発見し、感染拡大を防止することで重症化を避け、社会的インフラを維持することを目的に、区内の介護事業所等を対象とした社会的検査を令和二年十月より開始いたしました。新型コロナウイルス感染症の感染症法上における位置づけが五類感染症に変更された令和五年五月八日以降は、国や都の方針を踏まえ、対象を重症化リスクの高い高齢者、障害者施設等に縮小し、感染者発生時にPCR検査を行う随時検査及び抗原定性検査キットの配布を実施しているところです。
令和六年四月以降は、国や都が通常の医療提供体制での新型コロナウイルス感染症対応に完全移行することから、区においても社会的検査を廃止といたしますが、抗原定性検査キットの配布については今年度いっぱい、令和六年三月まで実施するため、対象となる施設や事業所には丁寧に周知し、活用を促してまいります。
今後につきましては、新たな感染症が発生し、感染拡大が見込まれる際には、国や都の動向を注視し、現場の実情も踏まえ、再び迅速な対応が取れるよう関係所管とも連携を図ってまいります。
私からは以上です。
私からは、大規模な建築物から、周辺に暮らす人々が大切にしたいと思う環境を守るための工夫について御答弁いたします。
世田谷区街づくり条例では大規模な建築計画を行う際、構想段階から周辺住民と事業者が意見を交換し、よりよい建築計画を誘導することを目的とした建築構想の調整制度を導入しております。
これまでも、周辺住民と事業者が話し合うことにより計画の一部変更が行われ、合意形成が図られた事例があるなど、建築構想の調整制度の重要性を再認識しているところです。
また、大規模な建築計画が予想される土地については、必要に応じて事前に都市整備方針や分野別整備方針などを基に街づくり誘導指針を定め、個別の地区課題の解決に向けた誘導を行っております。
区といたしましては、引き続き大規模敷地などの土地利用転換がされる際には、建築計画に関する他の条例を所管する部署とも連携しながら情報収集に努め、情報を得た段階で、建築事業者に区としてのまちづくりの考え方などを丁寧に伝えてまいります。その中で、周辺住民と建築事業者が合意形成に向けて話し合う場の重要性を認識いただきまして、地区の特性や周辺環境を踏まえた良好な建築計画となるよう誘導してまいります。
以上でございます。
私からは、公園利用についてお答えいたします。
公園利用につきましては、法令に基づく禁止行為を除き、散歩での立ち寄り、運動、子どもたちの遊びなど様々な利用の形が認められておりますが、公園に関わる皆様が楽しく利用するためには、近隣にお住まいの方々や、ほかの公園利用者への配慮は必要不可欠なものと考えております。
そのため、区では日々の管理業務の中で、公園利用に当たってのルールの遵守、マナーの向上など、他者への思いやりを持って御利用いただくよう周知啓発に取り組んでいるところでございます。
こうした区の取組に加え、利用者間で話し合うなど、利用者同士の調整により、近隣住民をはじめ地域の理解と協力を得ていくことも大切であると考えております。
例えば、玉川野毛町公園拡張事業では、公園完成後、利用者が楽しく快適に過ごせるように、そして百年後も地域に愛される公園となるよう、公園を利用する皆様が中心となり意見交換を積み重ね、様々な活動を試行するなど、区もこの取組を支援しているところでございます。
引き続き公園を利用する皆様それぞれが地域や他者への思いやりを持って利用いただけるような公園運営に努めてまいります。
以上でございます。
私からは、家庭部門の脱炭素化推進について二点お答えいたします。
まず、推進に当たっての障害と区民の不安を解消する仕組みづくりについてお答えいたします。
地球温暖化対策地域推進計画に掲げる二〇三〇年度の温室効果ガス排出量削減目標、二〇一三年度比で五七・一%減ですけれども、これを達成するために、当面ですけれども、区内の家庭部門、特に電力の脱炭素化に注力して取組を進めてまいります。
家庭部門の脱炭素化に向けては、省エネルギーや再生可能エネルギーからの電力の利用とともに、住宅等への太陽光発電の導入が重要でございます。住宅への太陽光発電システムの設置は、災害時の自立電源になるなどメリットもございますが、御指摘にありましたとおり、施工の信頼性、経済合理性、あるいは維持管理、廃棄とリサイクルなど様々な不安や懸念があると思われます。
今後、成城地区で実施予定の脱炭素地域づくり事業におきまして、区民の不安や住宅事情、生活上のニーズなどを聞き取りまして、事業者とも連携しながら、区民が不安なく導入できるような導入支援の仕組みを構築してまいります。
次に、脱炭素化推進における区内産業の育成についてお答えいたします。
家庭部門の脱炭素を円滑に進める仕組みを全区に展開するに当たりましては、技術と知識を備えた信頼できる区内事業者が、区民に分かりやすい説明や適切な施工、サービスを提供することが重要です。
これまでも区内事業者向けに、住宅の脱炭素改修を題材とした研修会を年三回実施してまいりましたが、お話しのとおり、今年度のエコ住宅補助における太陽光発電システムの施工事業者のうち、区内事業者は約一割程度にとどまっております。
今後、建設事業者等へのヒアリング調査を行いまして課題を明らかにし、必要な知識や技術、専門人材等の確保を支援することで、区民が区内事業者の助けの下、太陽光発電をはじめとした脱炭素化を積極的に進めることができる環境づくりを行ってまいります。
さらに、業務部門も含む区内の脱炭素が民間ビジネスによっても進むよう、建設分野にとどまらず、幅広い分野の環境産業の育成を目指しまして、経済産業部とも連携して事業者の育成支援策を検討してまいります。
以上です。
私からは、区立図書館関連二点、お答えいたします。
まず、梅丘図書館について、地域住民と話し合いつくった改築基本構想はどのように生かされるのかについてです。
梅丘図書館の改築につきましては、第二次世田谷区立図書館ビジョンに基づき、平成二十八年度に改築基本構想を策定いたしました。基本構想の策定に当たっては、ワークショップを開催するなど地域住民をはじめとする様々な方々の御意見を踏まえ、公園と触れ合うみんなの図書館をコンセプトに、その後の基本設計、実施設計を作成してまいりました。
新型コロナウイルス感染症に伴う全庁的な緊急見直しにより、三年間の工事延期もございましたので、オープンな空間づくりとするなど、基本構想に基づく設計を基本としながら、時代に合わせて設計の一部見直しを図ってまいりました。
新たな梅丘図書館の運営には指定管理者制度を導入いたしますが、選定事業者と情報共有を密に行い、地域住民の思いが詰まった改築基本構想をしっかりと反映してまいります。
次に、図書館運営協議会の議論は図書館ビジョンにどのように反映されるのかについてお答えいたします。
教育委員会では、今年度、令和六年度からの第三次世田谷区立図書館ビジョン策定に当たり、図書館ビジョン策定検討委員会を設置し、検討を進めてまいりました。
一方、御指摘の世田谷区立図書館運営協議会は、図書館ビジョンに基づく前年度の各区立図書館の取組実績を評価検証する機能を担っており、そこでまとめられた意見等を次期ビジョン検討委員会にて情報提供していただく機会を昨年の六月二十一日に設けたところです。
図書館運営協議会の意見の中からは、代表的な例として、選書基準を整備し公表していくこと、中高生世代の居場所となり、その成長を支える取組といった施策が地域ビジョン(案)に反映されてきております。
図書館運営協議会においては、次年度以降も学識経験者や図書館利用者の視点から、図書館ビジョンに基づく区立図書館による取組の評価検証を継続して実施していくことになります。教育委員会といたしましては、図書館運営協議会における評価検証を踏まえつつ、魅力ある図書館づくりとは何かを当該協議会と連携して検討してまいります。
以上でございます。
図書館ですけれども、せっかく運営協議会ができたのに、この魅力ある図書館をどうするかという議論が十分なされていないというのは非常に問題だと思います。しっかりと議論を進めていただきたいということと、やはり指定管理者、これを決めてしまったのは拙速だと、一旦立ち止まるべきだということを要望して、終わります。