予算特別委員会 令和6年3月06日(総括質疑)

2024/03/06

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質問項目

 

質問

土地利用規制法について

中里光夫 委員

 私からは土地利用規制法について質問をしていきます。

 二〇二一年に重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規則等に関する法律というものが成立しました。この法律は、安全保障のために、重要施設及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止する、これを目的に、米軍や自衛隊基地周辺約一キロの範囲を注視区域などに指定し、国の監視下に置くという法律です。

 区内の自衛隊三宿駐屯地衛生研究所や用賀駐屯地の周辺一キロの範囲が、国の審議会によって、この注視区域の候補に挙げられていると。

 そして内閣総理大臣は、この注視区域内で機能阻害行為またはその明らかなおそれがあるときには、利用者に勧告をし、その勧告に従わなければ命令し、命令に違反すれば二年以下の懲役または二百万円以下の罰金が課せられるというものです。

 ここで言う機能阻害行為が一体何なのかということでは、明確な規定が法にはありません。例えばデモや座り込みなどについても、これは法は排除していない、国会の議論でもそのような議論がありました。あらゆる行為がその対象となる可能性があります。国がけしからぬと判断すれば、罰則つきでという話です。

 また、内閣総理大臣は、この注視区域内にある土地等の利用の状況について調査を行うとしていて、必要がある場合においては、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対して、利用者その他関係者に関する情報、その他政令で定めるものの提供を求めることができる。この地方公共団体の長もここに出てきました。

 必要があると認めるときは、利用者その他の関係者に対して報告または資料の提供を求めることができるとなっているのですが、これを拒めば三十万円以下の罰金が課せられるという法律になっています。

 この調査と情報収集に歯止めもない、そして、この禁止する行為についても規定がない。この調査に関しては自治体もどんどん動員されるという仕組みになっていますが、これは政府が恣意的に法を運用すれば、もう際限なく国民を監視し、抑圧するということも可能な法律だと思います。

 しかも国は、こんな重大なことを関係する住民に知らせずに、説明もしないまま、注視区域の指定をしようとしています。

 世田谷区を注視区域に指定することについて、国からは、区はどのような説明を受けているのでしょうか。

有馬 政策経営部長

 まず、法律ですが、重要土地等調査法は、安全保障上重要な施設等の機能を阻害する土地建物の利用を防止するため、国が重要施設の敷地の周囲おおむね千メートルの区域等を注視区域、特別注視区域として指定し、国が区域内の土地等の利用状況等の調査を行い、重要施設や国境離島等の機能を阻害する行為が認められた場合には、土地等の利用者に対し、機能阻害行為の中止等の勧告・命令を行うことができる内容になっています。

 同法第五条第一項に基づく指定に際して、区域の範囲に係る地理的情報や開発に関する情報を、該当する自治体に意見聴取するものとなっています。

 国が住民への説明についてどう言っているかという点ですが、現在、内閣府のホームページやリーフレット等において、本法に基づく各種措置の趣旨や区域の範囲、届出手続等についての掲載や、コールセンターにて地域の住民や事業者からの個別の問合せへの対応をしています。

 国からは、これらにより地域住民や事業者の方々の質問等に対応できていることから、住民説明会の実施等までは考えていないと聞いています。

 指定区域については、今後、土地等利用状況審議会での調査審議を経て、国により指定区域の公示がされることになり、公示前に予定区域を示すことはないとのことです。

中里光夫 委員

 公示前に予定区域を示すことはないと、いきなり決めるわけですね。しかも、住民説明会は考えていないという状況の中で、ホームページを見れば分かるでしょうと言うのは本当にひどい話だと思うのです。

 区長は国に対して、区民に説明するようにしっかりと求めていただきたい。さらに、この区民監視となる注視区域の指定をやめるよう、ぜひ求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

保坂 区長

 法律に関しては、今、政経部長が説明したとおりであります。令和五年十二月、国は第四回目の区域指定が見込まれる区域の実情を把握するため、この地域、区域がある自治体からの意見の聴取を行うということで、その依頼がありました。

 区としては、意見聴取に関して、法の規定による措置を実施するに当たっては、国民の自由や権利の尊重と安全保障の確保の両立を図ることを大前提とし、指定が見込まれる区域に関する実情把握への協力や資料の提供を加えて、広報などについての協力をする旨を回答しました。あわせて、区の意見として、今後過度な事務負担が生じないよう、各自治体に対して事前に相談していただくとともに、調査回答に当たっては、庁内の関係部署との調整が想定されることから、十分な時間を確保するようにしていただきたいという意見を添えております。

 コールセンター等の設置ということはありましたが、この区域の指定にどれだけの合理性あるいは相当の理由というものがあるのか、委員の質問の趣旨に照らすと、やはりこの制度の基準が必ずしも明確でないと感じています。

中里光夫 委員

 本当にこれがなされたら、指定区域に住む方、それがどこになるかはまだ明らかになっていないわけですが、おおむね一キロ四方周辺というところの方が大きな影響を受けることにもなっていきます。

 それから、平和運動などを行っている人がデモの行進を三軒茶屋までやったりしますが、例えばそういうものも規制の対象になりかねないという、本当にひどい話だと思っています。

 これは候補に挙げられたということですが、スケジュールはどうなっているのでしょうか。

有馬 政策経営部長

 明確なスケジュールは分かりませんが、三月中に情報が入るのではないかと認識しております。

中里光夫 委員

 本当にこのようなものはやめろということで、改めて区長、国にしっかりと物を言っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

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