一般質問 令和6年02月21日定例会

2024/02/21

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質問項目

答弁 >>

 

質問

リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて

坂本みえこ 議員

 今年度、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ周知啓発専門部会の取組で、保護者向けオンライン講演会、パンフレット発行に係る中学生との懇談などが行われ、パンフレットの発行へとつながりました。それぞれの取組は好評で、今後にも期待しています。

 東京都は、昨年十二月に令和五年度痴漢被害実態調査を発表しました。ウェブアンケートのほかに、痴漢被害経験者、相談機関等のヒアリングも行っており、丁寧に実態を明らかにするものとなっています。回答者の二九・九%が痴漢被害経験がある、確証はないが恐らくあると回答。うち男性は八・六%、女性は四五・五%、Xジェンダー、ノンバイナリーは三五・七%となっています。

 また、電車内で最初に被害に遭ったのは、小学生五%、中学生一一・七%、高校生三六・五%、合計五三・二%、高校生までに半数を超える人が被害に遭っているという結果です。電車内で被害に遭ったとき行った行動を見ると、我慢した、何もできなかった、逃げた、移動したなどが多く、周囲に対して声を出して助けを求めたなど、積極的な行動を取れた人は少ないことが分かります。

 まとめの有識者提言では、若年層への包括的性教育の普及推進が痴漢防止への意識醸成へとつながるとして、日本人は、幼少期から包括的な性教育の中で自分の体は自分のものであるという性的自己決定権を学んできておらず、そのために他人に不当に触られることに対し、自分が不当な行為をされたという反応より、自分が声を上げると周囲が困るのではないか、自分が我慢すればこの場が収まるのではないか等の思考となる被害者は多い。自分の体は自分のものとの認識を持ち、プライベートゾーンを不当に触られたら、それは権利の侵害であり、反発、抵抗をしてよい、SOSの声を上げてもよいこと、また、反発、抵抗ができなかったとしても、それも当然のことであり、あなたが悪いわけではないこと等も含めた包括的性教育を子どもの頃から行っていくことが必要である。学校教育において性暴力を取り上げにくい状況があるならば、国や自治体がこれを主導していくことにも検討の余地がある。国や自治体が教育プログラムやパッケージを開発し、学校等に提供することで、学校における痴漢防止教育等の普及推進に寄与するならば非常に意義深い。痴漢被害のリスクが高い若年層、とりわけ十代を痴漢被害から守る対照群として明確に位置づけ、重点的に教育、啓発を進めていくことが必要であると指摘しています。

 以上を踏まえて、幼児期、小学生からの包括的性教育、体を知り、セルフケアをし、何かあったら誰かに相談するといった、自分の性を通して自分で選び、決めていく力を育み、科学と人権の視点に基づいた体の権利教育を進めることが求められます。今後の取組の計画、見解を伺います。

区立保育園の老朽化について

坂本みえこ 議員

 次に、区立保育園の老朽化の問題について伺います。

 庁舎の建て替え、学校の計画的な改築が進む中、区立保育園の現場からは悲痛な声が聞かれます。サッシがゆがんでいて開閉できない、トイレがしばしば詰まる、水漏れがある、エアコンが効かず室温三十度で冷風機を設置したが酷暑で命の危険、床をガムテープで補修しているなど、どの保育園も似たり寄ったりの状況だと伺っています。

 築五十年の太子堂保育園を視察させていただきましたが、不具合の補修等はその都度行われてはいるものの、雨漏りが解消されない、調理室の排水がしばしば詰まるなど根本的な解決に至らず、現場の努力で乗り切っておられる様子も見受けられました。他の園では、卒園する保護者から、うちの子が保育園でお漏らしをしてしまうのはトイレが寒くて古いからという理由もあると言われ愕然としたという話もあり、子どもの健全な発達を保障する意味でも深刻な事態です。

 築年数が五十年を超えるような老朽化が進んだ区立保育園の改築、改修等を計画的に進めるべきではないでしょうか。老朽化の実態と改築・改修計画について伺います。

 計画的な改築を進めることはもちろん、個別の問題に対しても速やかに取り組める体制の構築が必要です。保育園の営繕の体制はどうなっているのか、今後の体制強化の計画について伺います。

認可外保育施設における死亡事故について

坂本みえこ 議員

 次に、認可外保育施設についてです。

 区内の認可外保育施設において、乳児が死亡するという重大事故が発生しました。亡くなられたお子さんに心より御冥福をお祈りいたします。

 二度とこのようなことが起こらないよう、原因の究明と再発防止のために、緊急の抜き打ち検査等の実施など取組が進んでいますが、できる対策を全てやり抜くことを求めます。新聞の報道によると、母親は、見学のときから不安はあったけどこの園しか空いていなかった、家から通える範囲の保育園数か所に入園希望を出したが全て落ちたということです。

 世田谷区の現状は、年度途中の保育ニーズを決して満足させるものではありません。令和六年度の四月入園の申込み状況を見ても、とりわけ二歳児で待機児が生まれる可能性も高い。国や東京都の基準をも満たさない認可外保育施設は、その全てが相当の問題を抱えているわけではありませんが、やはり保育の質を守るためには、認可保育所を中心に保育所を増やす努力は引き続き必要なのではないでしょうか。

 認可外保育施設については、国に対して、保育士確保、資格取得などを支援し、保育条件の改善を図るよう求めていただきたい。見解を伺います。

 四月当初の定員割れについては、国に働きかけるとともに、区独自での保育料減少分の補助の仕組みを求めます。また、認可保育園はまだ足りません。引き続き認可保育所をつくってください。公立保育園を減らすようなことはしないでください。見解を伺います。

区民のくらしを支える政策について

坂本みえこ 議員

 次に、区民の暮らしを支える政策についてです。

 来年度予算で生活保護世帯出身の大学生等に対する給付型奨学金が実施されることとなりました。会派としても給付型奨学金の対象範囲の拡大を求めてきており、大きな前進と考えます。今後、さらにひとり親世帯など困窮する世帯への拡充を引き続き求めます。

 高校生世代の生活実態調査が行われました。五・六%が困窮層、九・八%が周辺層であり、生活困難度が上がるほど家計が赤字、毎日三食食べる割合が低い、様々な所有物が欲しい、体験がしたい等の割合が高くなっています。生活困窮の状況、家計の状況、子どもの生活、子どもの学び、子どもの逆境体験、子どもの健康、保護者の状況、制度、サービスの利用のどの指標も深刻な結果となっています。調査結果を踏まえ、高校生世代の学習支援や居場所、経済的負担の軽減など、世帯丸ごとバックアップできる支援が必要です。

 来年度から玉川地域でのまいぷれいすが開所されますが、各地域五か所への拡充と、高校生へのアフターケアの仕組みを併せて実施することを求めます。見解を伺います。

 暮らしを支える上で、住まいの問題は欠かせません。困窮する若者の住まい確保のために世田谷区として何ができるのか。現在、JKK祖師谷住宅の建て替え計画が始まっています。例えば、大学生なら四年間の期限つきで、建て替え前の祖師谷住宅の空き住戸を世田谷区が借り上げ、多少リフォームするなどして格安で貸し出すなどの手だてなど考えられないでしょうか。区の見解を伺います。

 住まいの問題は、高齢者はより深刻です。例えばJKKの住宅。昨年、希望ヶ丘団地周辺である団体が都営住宅の申込み相談会を行ったところ、団地住民の皆さんが、年金暮らしになると家賃が高過ぎると、三十名以上も相談に来られたそうです。また、分譲マンションに住んでいる高齢者も、修繕積立金が十分でなければ出ていかざるを得ないこともあり、高齢だというだけで民間のマンション、アパートにはほとんど入れません。

 世田谷区住まいサポートセンターの令和四年度の実績は、お部屋探しサポートによる物件情報提供を受けた利用者数百三十六人に対して、入居件数は四十二件。利用した方にお話を伺うと、古い物件が多く住む気にならないと伺いました。高齢者が住み続けるためには、古い物件ばかりでは、すぐに取り壊しなどで出ていかなければならない可能性もあります。

 なぜ高齢者に貸したくないか、亡くなったときの大家の不安、事故物件にしたくないということが大きいと言われています。見守りの体制を整えるなど、高齢者に貸し出せる物件を増やすことを求めます。見解を伺います。

 今回、出された公共施設等総合管理計画では、公営住宅についても適正な戸数を供給するとされていますが、公営住宅の新たな整備なしに、高齢者の住宅問題の解決はできないのではないでしょうか。踏み出すべきと考えます。見解を伺います。

 以上で壇上からの質問を終わります。

答弁

中村 副区長

 認可外保育施設における死亡事故について御答弁いたします。

 まず、亡くなられた乳児の御冥福を心からお祈りいたします。

 認可外保育施設において、従事者の資格取得を含めた保育士確保は保育の質に直結するものであり、重要な課題と認識しております。区としては、現在、認可、認証保育所の採用活動支援として行っている保育人材情報ポータルサイトや、人材確保に関するアドバイザー派遣などの対象を認可外保育施設へ拡大することを検討してまいります。また、国基準を満たす認可外保育施設で一定の実務経験がある方には、保育士試験において、合格科目免除期間延長の制度や幼稚園教諭免許を持った場合の筆記試験免除の特例制度等があります。こうした制度を周知しながら、従事者の資格取得を促してまいります。

 なお、この特例制度については期間が定められていることから、国に対しては当該制度の延長を求めるなど、認可外保育施設の環境改善について、様々な機会を捉えて要望してまいります。

 今後、認可、認可外にかかわらず、全ての保育施設で保育の質を確保し、子どもの安全安心を保障できるよう、検証委員会の検証結果も踏まえ、さらなる具体的な取組を進めてまいります。

 以上です。

清水 世田谷保健所副所長

 私からは、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの今後の取組について御答弁いたします。

 思春期世代に向けたリプロダクティブ・ヘルス/ライツの周知啓発に係る取組の一つとして、夏休み期間中に中高生向けオンライン講演会を開催いたしました。子どもたちが自身の健康や生活について考える機会の一つになったと認識しており、今後も同時期の実施に向けて調整をしてまいります。

 また、現在作成中の中学生向けパンフレットでは、人権や科学的な視点からバウンダリーや性的同意等も掲載し、被害者にも、加害者にも、傍観者にもならないためにできることを考えようといったメッセージも取り入れました。

 本取組は、専門部会でも指摘されているとおり、幼少期から年齢や発達に合わせて段階的に実施するべき内容と認識しています。今後とも教育委員会をはじめ、子どもや人権関連部署との調整を図りながら進めてまいります。

 以上です。

松本 子ども・若者部長

 私からは、五点御答弁いたします。

 初めに、老朽化が進んだ区立保育園の改築、改修等を計画的に進めるべきとの御質問についてです。

 現在、区立保育園全四十五園のうち、約三八%に当たる十七園が建築年数五十年を超えております。区では、世田谷区公共施設等総合管理計画に建物整備・保全計画を位置づけ、定期的な建物の改修時期に合わせ、外壁補修などの建築工事や電気機械設備の大規模なメンテナンスとなる改修工事を施設営繕担当部との連携の下、保育園の安全な運営に配慮しながら計画的に実施しています。

 また、建物が築六十五年を迎えるまでに築六十五年を超えての使用の可能性の調査を実施し、区立保育園の新たな再整備計画による園舎の統廃合との整合も図り、リノベーションなどの機能向上も可能かを判断した上で、改修及び改築を進めることとしております。

 次に、保育園の営繕体制についてです。区立保育園内の小規模な改修である、いわゆる小破修繕は、保育園からの随時の依頼に基づき、簡易なものは子ども・若者部内の修繕担当が直接に対応し、空調機器の不具合など専門的な修繕は事業者を手配して対応しております。また、必要に応じて、修繕の内容を施設営繕担当部とも共有し、今後の改修工事の内容を確認しておくなど、効率的な実施となるよう努めております。

 これまで子ども・若者部内の修繕担当が保育園を含む児童施設全般の修繕を担っておりましたが、保育園の小破修繕の件数が多いことから、機動的に対応できることを目的に、令和六年四月から保育園の修繕担当者を区立保育園運営担当の下に集約し、対応の迅速化や円滑な情報共有がより可能となる体制を整えることとしており、さらなる改善に向けて取り組んでまいります。

 次に、定員割れによる保育運営費減少分の国への働きかけや区独自の補助についてです。

 私立認可保育園では、年度の前半にゼロ歳児の欠員が生じており、特にゼロ歳児は一人当たりの単価が大きいことから、私立保育園の運営に大きな影響を与えていることが課題であると認識しております。しかしながら、令和五年四月の私立保育園のゼロ歳児欠員は二百三十四人であり、この欠員分の運営費を区独自で補助する場合には約二億円程度と大きな財源が必要となります。

 現在、年齢ごとのニーズと定員のミスマッチの解消や、年度途中の入園希望者にも対応できる定員設定が求められており、柔軟な定員設定について、財政支援も含め、国や都に要望してまいります。

 次に、公立保育園を減らさず、引き続き認可保育園をつくっていくべきとの御質問についてです。

 令和六年四月に向けた選考では、入園申込者数が高止まり、特定の年齢や地域の入園が厳しい状況となっております。一方で、ゼロ歳児や四、五歳児を中心に保育施設に欠員が生じ始めており、区が積極的に整備してまいりました私立保育園の経営への影響が懸念されることから、現時点では、需給のミスマッチの解消が必要であり、新たな施設整備には慎重であるべきものと考えております。

 区立保育園では、令和四年にお示しした新たな再整備計画に基づき対応していくほか、引き続き、グランドビジョンで掲げております在宅子育て支援を含めた地域における子育て支援の拠点としての役割をしっかり担ってまいります。

 最後に、まいぷれいすの各地域への拡充と、高校生へのアフターケアについてです。生活困窮世帯等の子どもの成長と家庭の生活の安定に向けた学習生活支援の拠点事業、まいぷれいすは複合的な困難を抱えた家庭の中学生に対する事業ですが、中学卒業後も、高校中退防止や家庭の見守りのため、子どもと保護者それぞれへの定期的な連絡、子どもを対象としたイベント、保護者への官民の支援サービスに関する情報提供等によるアフターケアを実施しております。今年六月には二か所目を区内南部に開設しますが、今後の設置計画等につきましては、来年度以降の利用状況やニーズ等を踏まえて検討してまいります。

 また、今年度、高校生世代を対象に実施しました子どもの生活実態調査の結果等を踏まえまして、学習支援や居場所、経済的負担の軽減、支援につながる仕組みづくり等を含め、総合的に検討し、高校生世代に対する支援を充実してまいります。

 以上です。

笠原 都市整備政策部長

 私からは、暮らしを支える政策について三点御答弁させていただきます。

 まずば、大学生など若者の住まい確保のための空き住戸の借り上げなどの手だてについてでございます。

 区では、高齢者、障害者、ひとり親世帯などの住宅確保要配慮者を対象に、民間賃貸住宅への入居支援を推進しております。議員お話しの若者は、国や都の住宅確保要配慮者の対象となっていないため、居住支援協議会に参画する不動産団体の協力の下、協力不動産店の一覧を区のホームページで公表することで、生活に困窮する若者を含めた全ての方がお部屋探しの相談ができるような体制を設けております。

 一方で、御提案の東京都住宅供給公社祖師谷住宅の建て替え前の空き住戸の活用については、築年数が古く、状態も悪いため、多額なリフォーム費用も想定されるなど課題が多いと聞いており、区としても困難であると考えております。

 区といたしましては、入居支援の取組をさらに推進するとともに、国が検討中の居住支援機能等の在り方に積極的に提案するなど、若者を含めた誰もが安心して住み続けられるよう取組を進めてまいります。

 続きまして、高齢者の住まいの見守り体制等についての御答弁です。

 令和三年度の国土交通省の調査結果によりますと、高齢者に対する貸主である大家の方々などの入居制限の理由は、居室内での死亡事故等に対する不安が約九割を占めております。大家の方々などが住宅を提供しやすい環境整備が求められているものとうかがわれます。

 区では、民間賃貸住宅の大家等の不安を軽減し、高齢者の入居促進を図るため、安否確認と原状回復費用の補償がセットになった見守りサービスの利用に必要となる初回登録料を賃借人に補助する制度を実施しておりますが、昨年度の実績は三件にとどまっており、周知等に課題があると認識しております。

 今後は、本サービスをより多くの方に知っていただくため、居住支援協議会や不動産団体の講習会などで制度案内による普及啓発に取り組むなど、高齢者が安心して暮らせるための支援を推進してまいります。

 続きまして、公営住宅等の新たな整備に関する御答弁です。

 高齢者をはじめ、障害者や低額所得者等の住宅確保要配慮者の居住を支援するため、公営住宅の果たす役割は重要であると認識しております。このため、第四次住宅整備方針では、住宅確保要配慮者への居住支援の推進による安定的な住まいと暮らしの確保を重点政策として掲げ、区営住宅の供給をはじめとした公的住宅のセーフティーネット機能を強化することとしており、議員御指摘の公共施設等総合管理計画におきましても、区営住宅については、適正な住戸数を供給すると規定しているところでございます。

 今後は、これらの計画に基づき、都営住宅の移管受入れや既存区営住宅の改築に合わせ住戸数を増やすなど、区営住宅の供給に努めるとともに、都営住宅や東京都住宅供給公社の住宅建て替え時に戸数を増やしていただくよう要望していくなど、公的住宅の戸数確保に努めてまいります。

 以上です。

坂本みえこ 議員

 終わります。

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