予算特別委員会 令和6年3月12日(福祉保健領域)

2024/03/12

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質問項目

 

質問

区立保育園の老朽化に伴う問題について

坂本みえこ 委員

 日本共産党区議団の福祉保健領域の質疑を始めます。

 まず初めに、区立保育園の老朽化に伴う問題について伺います。

 先日訪問させていただいた太子堂保育園では、調理室のエアコンに不具合があったため、点検をお願いし、エアコン洗浄を行いましたが、不具合を完全に改善することができなかったため、新しいものに交換してもらったと伺いました。調理室では、油も使うので大変な汚れ具合だったようです。また、その他の保育室のエアコンは、洗浄により効き目もよくなって快適になったので、ぜひ調理室はまめに洗浄を行ってほしいと要望を伺いました。

 国立成育医療研究センターによると、子どもの熱中症についてこう書かれております。子ども(乳幼児・幼児)は、体温調節機能が未発達です。特に汗をかく機能が未熟で、大人と比べると暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり、体温を下げるにも時間がかかってしまうため、体に熱がこもりやすく、体温が上昇しやすくなります。全身に占める水分の割合が大人より高いため、外気温の影響を受けやすくなっています。気温が体表温度より高くなると熱を逃がすことができず、反対に周りの熱を吸収してしまうおそれもあります。子どもは体重に比べて体表面積が広い分、気温など周囲の環境の影響を受けやすいと言えます。

 また、幼少期の子どもは大人よりも身長が低いため、地表からの照り返しの影響を強く受けます。このため、大人が暑いと感じているとき、子どもはさらに高温の環境下にいることになります。例えば大人の顔の高さで三十二度のとき、子どもの顔の高さでは三十五度程度の感覚ですとあります。

 酷暑が続く夏場、エアコンが効きにくいとか、ましてや故障しているという状態は至急改善しなくてはならないと思います。現在のエアコンの取替え時期はどのように設定されているでしょうか。エアコンの洗浄、エアコンの不具合への対応について伺います。

寺西 児童課長

 区立保育園のエアコンは、おおむね十五年に一度実施する中長期改修の際に交換することを基本としながら、日常的なメンテナンスは、フィルター掃除等の簡易な清掃に加え、専門の業者が随時または定期的に行う内部洗浄や修繕等により対応しております。

 エアコンの汚れや劣化の状況は、その使用頻度や設置環境等により異なることもあり、各園の調理室のエアコンを一律に定期清掃することはしておりませんが、園から不具合の連絡を受けた都度、保育や執務への影響を考慮し、優先すべきケースから対応するなど、園の運営に支障がないよう手配を行っております。

 これまで子ども・若者部内の修繕担当が保育園を含む児童施設全般の修繕を担っておりましたが、保育園の小破修繕の件数が多いことから、機動的に対応できることを目的に、令和六年四月から保育園の修繕担当者を区立保育園運営担当の直下に集約する予定でございます。園の職員にとってより分かりやすい体制を整え、対応の迅速化や円滑な情報共有を図ることで、エアコンの清掃をはじめとした修繕業務のさらなる改善に取り組んでまいります。

坂本みえこ 委員

 今までは児童課のほうで、児童館も保育園も一緒に修繕の対応をされていたということですので、四月から保育施設の修繕の体制が変更されることは、保育園の職場にとっても分かりやすくなってよかったと思います。より機動的な対応で、エアコンに限らず、もろもろの修繕についても円滑に進めていただきたい。加えて、不具合が出てからではなく、定期的なエアコンの洗浄を要望します。

認可保育園の整備と認可外保育施設の問題について

坂本みえこ 委員

 次に、認可保育園の整備と認可外保育施設の問題について質問します。

 私ごとですが、今から約三十年前、娘を出産したときには、待機児問題は今ほど大変ではありませんでしたが、十二月生まれであったため、翌年四月に育休を取らずに保育園に入れようと思っても、生後四か月では月齢が足りず、保育園には入園できません。育休を取る選択をした場合でも、当時は育休は一年でしたので、一年後の育休明けの十二月からでは、年度途中で保育園には入れない状況でした。

 出産後、近所の認可外保育施設に数か月育休を取りたいので、年度途中から預かってほしいと相談して、四月の段階で入園を予約してもらって、九月から翌年の三月末までの認可外保育室を利用して、四月から公立保育園に行くことができました。認可外の保育室は、全ての保育室が令和十年度には認可に移行されるそうですが、ゼロ、一、二歳児を産休明けから預かっており、ゼロ歳から保育をやっている保育園は少ないため、その受皿として大きな役割を担ってきました。

 当時、認可外保育室は、年度途中でゼロ歳児を受け入れるため、その間、空きが出る分の運営費が区から補助されており、赤字の心配なく運営できたと伺っております。四月からしばらく空きがあっても、運営費の補助があるので、常勤でベテランの保育士さんが複数おられました。だから安心して預けることができました。

 二〇二三年十二月に区内のベビーホテルで起きた乳児の死亡事故では、認可保育園に年度途中から入れなかったことにも注目が集まっています。来年度、深刻な一、二歳児の待機児解消のために、ゼロ歳児の枠を置き換えれば、四月時点での一、二歳児の待機児は減らすことはできますが、その分、ゼロ歳児の年度途中の入園枠が少なくなります。

 長い目で見れば確かに、就学前人口の減少が見込まれるわけですが、今の子どもたち、保護者にとっては、いずれ子どもが減るから認可保育園はつくりませんという方針は納得できないのではないでしょうか。

 年度途中入園を可能にできる状態にするためには、四月時点で、年度途中の入園を希望されるゼロ歳児の予約を受け付け、ニーズを把握すること、ニーズに合った認可保育園のさらなる整備と、区立保育園を減らさないことが必要ではないでしょうか、見解を伺います。

伊藤 保育課長

 大切なお子さんをお預かりする保育施設においては、認可、認可外の種別を問わず、保育の安全性の向上が不可欠であり、施設に対する抜き打ち検査等の指導と同時に、サポート訪問等の施設への支援を進めております。ゼロ歳児の年度途中の入園の方策に関しましては、現在行っている検証委員会での議論を踏まえながら、質の向上策とともに判断してまいります。

 令和五年四月の入園選考では、一歳児を中心に十人の待機児童が発生したものの、ゼロ歳児や四歳児以降のクラスに多くの欠員が生じていること等により、令和三年から引き続き、新たな認可園の整備を停止しております。

 施設の欠員の増加や、年間千六百人以上の就学前人口の減少の一方で、一、二歳児の需要増など、地域や年齢等の偏在を踏まえると、既存の施設の有効活用が必要であり、柔軟な定員の振替策等を検討しているところでございます。また、お話しの区立保育園につきましては、就学前人口の動向や保育需要を踏まえつつ、区立保育園の今後のあり方に基づく新たな再整備計画により対応してまいります。

坂本みえこ 委員

 保育の質を守るためにも、待機児解消のためにも、認可保育園を増やすこと、公立保育園を減らさない方向にかじを切ることを求めていきます。

認可外保育施設の問題について

坂本みえこ 委員

 次に、認可外保育施設の問題です。

 区内の認可外保育施設には、ベビーホテル十七施設、事業所内保育三十九施設、院内保育十一施設、その他四十九施設あります。事業所内保育は、企業主導型保育施設と企業が設置し、企業で働く従業員の子どもなどに対して保育サービスを提供する保育所も含まれています。

 院内保育は、病院で働く職員の子どもを預かるため、夜勤などに対応しています。その他の施設は、インターナショナルスクールやスポーツ、音楽といったニーズに特化した内容のものがほとんどですが、中には、旧統一教会、文鮮明先生が提唱された教育理念にのっとった幼児教育の保育施設という施設まであります。

 今回の事故はベビーホテルで起こりました。ベビーホテルとは、一、夜八時以降の保育、二、宿泊を伴う保育、三、一時預かりの子どもが利用児童の半数以上、このいずれかを常時運営している施設です。

 調べてみると、アートやスポーツ、音楽に力を入れている施設や、病児保育、休日保育、夜間保育、一時保育のみの施設、ネーティブ先生常駐園、通常営業時間が十三時から十九時半で、学童クラブ併設のアフタースクール、九時から十七時の営業で家庭的保育を行う施設、特別講師に作曲家、ピアノ指導者、フォトグラファーがいる施設、小児科併設のインターナショナルスクール、週五日九時間保育で料金十四万四千円で家庭的保育を行い、私立小学生の学習支援も行うという施設、病児保育室のみの施設、整体院に併設された一時預かりを行う施設、預かり保育サービスでセラピスト、ネイリストがいるという施設と、年度途中から入園せざるを得ない保護者にとっては、受皿にならないのではと思われる施設ばかりでした。これらを指導監督する世田谷区も本当に大変なことだと思いました。

 先日の子ども・若者施策特別委員会では、保育従事者への研修などを求めましたが、そもそもこれらの施設は、保育施設として適切なのか。保育士資格を有する者が保育従事者のおおむね三分の一でよいなどの国の基準を改めさせるべきだと思います。国に対して意見を述べる必要があります。見解を伺います。

松岡 保育認定・調整課長

 認可外保育施設は、認可施設より緩やかな基準で運営されており、柔軟で多様な預かりが可能となっているほか、認可施設への入園が困難となった世帯や、短時間の預かり等を希望される世帯の受皿となっている施設もございます。

 一方、このたびの重大事故のように、保育士等の配置が十分でなく、慢性的な人員不足や経験の浅い職員により保育を行っている現状があることから、今回の事故を契機に、抜き打ちの指導検査等の指導を強化するとともに、施設訪問による支援の充実を図ることといたしました。全ての保育施設で保育の質を確保し、子どもの安全安心を保障できるよう、検証委員会の検証結果を踏まえ、国の基準について国に要望するとともに、さらなる具体的な取組を進めてまいります。

坂本みえこ 委員

 認可外保育施設の指導監督に当たって、ホームページで見る限り、果たして保育なのか、塾なのか分からないようなつくりのところも多く、世田谷区として指導監督を行うのは大変な御苦労もあろうかと思います。このような事故を二度と起こさないよう、保育の質の確保、子どもの安全安心の保障のために取り組んでください。

人生の終わりの活動の終活登録制度の事業について

坂本みえこ 委員

 次に、終活、人生の終わりの活動の終活登録制度の事業について伺います。

 世田谷区に限らず、単身世帯の方が倒れた場合や亡くなった場合に、せっかく書いておいたエンディングノートの保管場所や、お墓の所在地さえ分からなくなる。さらに、引取り手のない遺骨が急増しているなどの事態が起きているそうです。

 世田谷区では、引取り手のない遺骨はどの程度ありますか。増加傾向なのでしょうか、伺います。

石川 生活福祉課長

 世田谷区における行旅死亡人及び墓地、埋葬法に係る死亡者につきまして、令和五年度の取扱件数は二月末時点で三十六件、そのうち引取り手のいない遺骨が二十二件でございます。令和四年度は取扱件数五十五件、そのうち引取り手がいない遺骨が三十五件、令和三年度は取扱件数四十七件、そのうち引取り手がいない遺骨は二十九件でございます。例年二十から三十件くらいで推移しており、特に増加傾向のトレンドは見られません。

坂本みえこ 委員

 神奈川県の横須賀市では、全国に先駆けて引取り手のない遺骨対策として、二〇一五年から終活支援事業を始めました。一九八〇年代まで、引取り手のない遺骨はほぼ一桁で推移していたそうですが、一九九〇年代から徐々に増え、二〇〇〇年代には年間六十件近くになったそうです。

 携帯電話、スマホの普及に伴って、固定電話が減少し、親族の住所までは調べられても、直接お話しすることができず、お手紙を送るだけで返信がない。身元が判明しているにもかかわらず、引取り手が現れないケースが増え、御本人は葬儀費用を貯めていたのに、親族が見つからないケースもあったということです。

 現在、ほかの自治体でも終活支援事業が行われています。緊急連絡先、かかりつけ医師やアレルギー等、臓器提供意思、血液型、エンディングノートの保管場所、遺言書の保管場所、お墓の所在地、生命保険、預貯金、葬儀や遺品整理の生前契約先などの終活関連情報を生前に登録していただき、病気やけが等により意思表示ができなくなったときや、死亡したとき、病院や消防、警察、福祉事務所、また本人が指定した方に、役所が開示をして、本人の意思の実現を支援するという事業です。もしものときに必要な情報を御家族や大切な方に伝えられるようにするものです。

 世田谷区の高齢者人口と高齢化率は微増傾向で推移しています。六十五歳以上の高齢者の世帯状況を見ると、令和五年四月現在、単身世帯の方が三四%です。世田谷区でも終活登録制度の導入を検討できないでしょうか、伺います。

石川 生活福祉課長

 超高齢者社会を迎え、身寄りのないひとり暮らし高齢者や、御家族や親族がいても遠方におられたり、つながりが薄く支援を受けられない方が増加してございます。そのような状況の中、相談する方などがおらず、不安に思う高齢者への対応は社会的課題であると認識しております。

 横須賀市をはじめ豊島区や大府市など、他自治体では終活登録制度を導入し、いざというときに御本人に代わり行政が、病院、消防、警察等からの照会に対応していると聞いております。

 実際の運用に当たっては、警察等の関係者や住民への制度周知が課題であるとともに、終活登録だけではなく、死後事務などと一体的に運用していく必要があると考えております。

 区といたしましても、引き続き他自治体の取組を参考に、高齢者の方が安心して暮らせるための方策を検討していきます。

坂本みえこ 委員

 ぜひ具体化をお願いします。

 ある終活事業を行っている企業のホームページを見ると、葬儀、連絡代行、お墓、行政手続、遺品整理、遺言、相続、公正証書作成という亡くなった後に必要なことが全て含まれる万全プランは、入会金一万円、利用料百四十八万五千円かかります。これに保証人、任意後見人がついた完璧プランは、入会金一万円、利用料百八十七万円と、かなりの費用がかかり、生活にゆとりのある人しか使えません。

 終活支援事業に加えて、横須賀市では、ひとり暮らしで頼れる身寄りがなく、生活にゆとりのない高齢市民が対象のエンディングプラン・サポート事業を行っており、葬儀、死亡届出人の確保、納骨、延命治療などの心配事に応え、あらかじめ協力する葬儀社と生前契約し、葬儀等にかかる費用を、利用者の方が行政に預けて、万一の場合には、横須賀市と協力葬儀社などの関係機関が連絡を取り合ってリビングウィルを迅速に伝え、葬儀等を円滑に進めることで、ひとり暮らし高齢者の心配事に向き合っています。

 世田谷区では、世田谷区社会福祉協議会が成年後見の制度利用の相談や、葬儀、家財整理、施設入所、相続などの専門家が相談に応える仕組みがありますが、ひとり暮らしで頼れる身寄りがなく、生活にゆとりのない高齢者の不安に十分に応えるものにはなっていません。このような方の不安に応えられる、横須賀市のエンディングプラン・サポート事業のような仕組みについても、世田谷区で取り組んでいただきたいと思います。見解を伺います。

石川 生活福祉課長

 区では、横須賀市が実施するような仕組みは実施してございませんが、身寄りのない方の葬儀等に関する関心は非常に高いと認識しております。死亡情報を速やかに把握する手法に課題がございますが、引き続き、他自治体の類似の仕組みを参考に、実効性のある仕組みの研究、検討を進めてまいります。

坂本みえこ 委員

 身寄りのないひとり暮らしの高齢者が葬儀などの不安を解消して、安心して暮らせるようにしていただきたいと思います。

介護指導所の問題について

坂本みえこ 委員

 最後に、介護指導所の問題について伺います。

 二〇〇〇年に介護保険制度がスタートし、世田谷区は二〇〇三年度末で介護保険、二〇〇四年度末で障害者の居宅介護、ホームヘルプの指定事業者を廃止しました。その際、極めて緊急、迅速な対応が求められるケースについては、区が必要に応じて短期の訪問介護を行うなどの福祉緊急対応を実施するということが確認されました。また、区の職員として、ホームヘルプサービスに従事している介護指導、家庭奉仕職は、その能力、経験を生かして、区の役割である相談、支援等の新たな業務を担っていくとされました。

 ひとり暮らしの高齢者の方で、認知症等が進んでいらっしゃる、御自分では契約できないようなケース、虐待が疑われるケース、介護を拒否するケースなど、いわゆる困難ケースに対しては、福祉緊急対応を実施するということです。現在、福祉緊急対応に介護指導職はどのように関わっているでしょうか。

 また、庁内の関係部署に福祉緊急対応の制度そのものが周知されていない、保健師やケースワーカーでさえ知らない場合もあるという話も伺っています。人事異動などの際に周知徹底はどのように行われているのでしょうか、伺います。

庄司 保健福祉政策部次長

 福祉緊急対応における介護指導職の役割としては、ケースワーカーや保健師、民間事業者等によるチームの一員として、また、認定調査やケースワーカーなどと協力したアセスメント等の業務を行っております。

 福祉緊急対応の制度につきましては、近年微増傾向ではありますが、虐待者と被虐待者の分離のためのショートステイや施設措置等がほとんどを占めています。メニューの一部であるホームヘルプについては、利用者のニーズとの不整合やマニュアル等の未整備等により、職員にとって活用しにくいものであることなども課題の一つと認識しております。

 令和六年度からの重層的支援体制整備事業の導入も踏まえ、マニュアル等の見直しや医療保健的介入などの支援手法、財産管理や権利擁護など福祉緊急対応と密接に関連する支援の研修を進めていきます。また、新規の転入者でも正しく理解し運用できるよう、人事異動などの際の制度の周知徹底に努めてまいります。

坂本みえこ 委員

 昨年十二月に、五地域の保健福祉センター全てに現職の介護指導職を含めて各三名以上の介護福祉の専門職を配置して、区が区民に直接ホームヘルプを提供できる体制を強化してほしい、こういう要請が重度障害のある方などから区長宛てに出されたと伺っています。民間事業所では、訪ねていったけれども、必要ないと断られたり、困難ケースの対応でヘルパーが辞めてしまうなど、採算上対応できない、行政が関わっていかざるを得ないケースも数多く存在しているのではないでしょうか。

 ホームヘルパーによる家事援助は、家事代行ではなく、利用者の自立支援であり、生きる意欲を引き出すことを目指すものです。ケースワーカーなどが玄関先で話を聞くのも大切ですが、ヘルパーは部屋に上げてもらうまで信頼関係を重ね、部屋に上がって片づけたりしながら、生活の中に入っていき、利用者の本音、お困り事を引き出すことで自立支援につなげたり、生きる意欲を引き出すことができます。また、役所なら秘密が漏れないと安心につながっていることもあるようです。

 公務員ヘルパーには、様々な問題を抱える家族や重度、重複の障害を持つ利用者、精神障害を持つ利用者等の困難事例への対応のスキルやノウハウの蓄積があります。

 福祉緊急対応にはホームヘルパーは欠かせないと考えます。現職の介護指導職がいる今、ノウハウ継承のため、男女で対応できる各総合支所に複数の介護指導職の採用が必要です。見解を伺います。

庄司 保健福祉政策部次長

 介護指導職は、介護保険制度の導入に伴い、家庭奉仕員から介護の知識や経験を生かす職として介護指導職を新設し、家庭奉仕員から転職したものです。その後、事務職への特例転職を経て、現在に至ります。この間、介護指導職の採用はしておりません。

 これまでの福祉緊急対応は、先ほど御答弁したとおり、ケースワーカーや保健師、介護指導職等によるチーム対応を基本としてきました。介護指導職の退職などもあることから、区の職員のチーム体制を今後どのように構築していくのかという課題があると考えています。

 先日の総括質疑で他会派にも御答弁しましたが、福祉緊急対応を実効性のあるものにするために、従来の在り方から時代に合った形で進化させ、ケースワークを担う職員の力量の底上げとともに、パートナーである民間事業者とも日頃からの丁寧な意見交換や業務内容のすり合わせを密に行うなど、連携を強化し、区としての公的責任を果たしてまいります。

坂本みえこ 委員

 来年度になると、今年の三月末で退職される方もいらっしゃるので、介護の職員は三人になってしまうと伺っています。今増やしていかないと、これまで蓄積されてきたものがなくなってしまうという、もうぎりぎりのところまで来ていると思いますので、ぜひ拡充をしていただきたいと思います。

 まだ介護保険制度が始まる前、公務員ヘルパー、当時の家庭奉仕員さんにお話を伺ったことがあります。ごみ屋敷の話をよく聞きました。靴を脱ぐのは危ないので、スニーカーにレジ袋をかぶせて、マスクをして家に上がって、至るところにある猫の排せつ物を片づけたり、あるときには、洋服ダンスの引き出しを開けたら猫の死骸が出てきた、こういう壮絶なものでした。ごみ屋敷の片づけは、民間の介護ヘルパーには依頼できません。また、利用者の人に追いかけられたり、相手の方によっては、男女ペアで行く必要があったり、公務を担っているという自負心なしにはできないということもあるようです。

 介護保険が導入されたとき、世田谷区はすぐには居宅介護の指定事業者を廃止せず、公務員ヘルパーが介護の現場で働き続けてきました。その後、民間事業者も増えて、居宅介護の事業者を廃止することになりました。それでも民間が対応できない、いわゆる困難ケースには、行政が責任を持つ立場で、福祉緊急対応の仕組みを実施し、公務員ヘルパーがチームの一員として大切な役割を果たしてきました。

 ヨーロッパでは、介護職員は公務員です。福祉の仕事は、民間がもうけを求めてやるのにふさわしい仕事ではないからではないでしょうか。ほかの職種に比べて低い処遇なのは、介護は家族の仕事、女性の仕事という価値観が根強く残っていることも原因としてあると思います。

 介護人材が不足する日本は、二〇三五年には団塊世代が八十五歳以上になり、介護難民が続出する危機にあります。訪問介護職員の四人に一人は現在六十五歳以上という調査結果もあります。今後、困難ケースが減ることはないでしょう。公務員ヘルパーの退職不補充をやめて、拡充の道に切り替えることを強く要望して、質問を終わります。

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