2024/06/10
日本共産党世田谷区議団を代表して質問します。
第一に平和の問題です。
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。一方、アメリカのバイデン政権は、ウクライナに対し軍事支援を行い、アメリカが供与した兵器でロシア領内を攻撃することを許可したと報道されています。
また、パレスチナ・ガザは壊滅的な状況で、今や世界最悪の人道危機。病院、学校、水道などインフラへの攻撃はやまず、さらに、イスラエルによる封鎖で、支援物資を運び込むことが制限され、子どもたちが餓死しています。強制的に避難させられた先でも攻撃を受け、ガザは、もはや安全な場所がありません。
一方、アメリカやイギリスなどの各地の大学で、パレスチナ・ガザ地区へのイスラエル侵攻に抗議する学生の運動が大規模に広がっています。学生らは、大学の基金などによるイスラエル関連企業への投資をやめるよう求めています。所属する大学がガザへの攻撃に加担しないようにするためです。
日本でも、市民や学生が粘り強く声を上げています。先日は、三軒茶屋駅前で、生かそう憲法!今こそ九条を!世田谷の会の主催で、ガザ人道危機打開三茶宣伝が五十名以上で行われ、日本共産党をはじめ、超党派の議員も多数参加し、ストップ・ジェノサイド、パレスチナに平和をと声を上げました。
こういう世界情勢にあるからこそ、平和都市宣言を持っている世田谷区からも、平和のための発信を大いに行っていくべきです。
世田谷の平和の拠点と位置づけた世田谷公園を中心に、イベント、平和資料館の企画展など、来年の平和都市宣言四十周年を見据えて進めていただきたい。見解を伺います。
また、世田谷公園が平和の拠点であるということを知っていただくためにも、公園の名称を世田谷平和公園に改名することを重ねて要望します。
次に、土地利用規制法についてです。
国会では、有事を想定した法律などがめじろ押しです。世田谷区民に関係するものとしては、重要土地等調査法、いわゆる土地利用規制法があります。
日本共産党は、基地や原発などの周辺住民を政府が監視し、憲法が保障するプライバシー権や財産権、思想、良心の自由を侵害する憲法違反の土地利用規制法の廃止を求めています。
重要施設の敷地の周囲一キロの区域内にある土地及び建物が、機能阻害行為の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域、注意して視るという意味の注視区域として指定することができるとしており、機能阻害行為が確認されれば、国が中止を勧告、命令を出します。従わなければ刑事罰が科されます。
四月十二日付の内閣府の告示で、注視区域に池尻の衛生学校と上用賀の用賀支処が指定されました。
内閣府の重要土地調査法の概要によると、調査対象は、土地及び建物の所有者、賃借人等で、所有者等の氏名、住所、国籍まで調査の対象であり、現地・現況調査のほか、不動産登記簿、住民基本台帳等を収集するとされています。住民説明会も行われず、知らぬ間に個人情報が調査されることは、個人情報保護の観点からも問題です。
通信施設から妨害電波を出している、高い建物を建てるなど、基地等の機能阻害のおそれがあると判断し、登記簿の調査で利用状況が分からない場合、自治体に必要な情報提供を依頼するということで、判断基準も曖昧です。
何よりも、おそれがあるだけで個人情報の提供を求めるものとなっています。世田谷区個人情報保護条例では、条例要配慮個人情報として、国籍、性的マイノリティー、ドメスティックバイオレンスの三項目を定めており、外部提供、目的外利用等の案件のうち、要配慮個人情報及び条例要配慮個人情報を含むものは審議会に報告するとされています。世田谷区個人情報保護条例に基づき適切な対応を行っていただきたい。見解を伺います。
今回指定された池尻の衛生学校について、内閣府のコールセンターに、なぜ陸上自衛隊三宿駐屯地ではなく、同一敷地内の衛生学校が指定されたのか聞いたところ、代表的な施設だからという回答でした。我が国の防衛に直接関連する研究を行う施設というのが、指定の理由です。衛生学校が大変危険な施設であるのではないかという不安につながります。区として明確な説明を求める必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
次に、地方自治法の改定についてです。
日本国憲法は、戦前の中央集権的な体制の下で自治体が侵略戦争遂行の一翼を担わされたことへの反省から、独立の章を設けて地方自治を明記し、自立した地方自治体と住民の政治参加の権利を保障しました。
地方自治法の改定は、まさに有事を前提としたもので、改定案は、政府が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態と判断すれば、国に地方自治体への広範な指示権を与え、自治体を国に従属させる仕組みをつくるものです。
狙いは、沖縄の辺野古新基地建設の強行に見られるように、住民の意思を無視して、有無を言わさず自治体を国に従わせることです。憲法が保障する地方自治を根底から踏みにじるもので、絶対に許すわけにはいきません。
全国首長九条の会は六月三日、地方自治法改定案は、地方自治の本旨を構成する団体自治を脅かし、国による地方自治体への不当な介入が生じるのではないか、大きな危惧を抱いている。地方自治を根底から壊すだけでなく、立憲国家、法治国家すら否定しつつ、憲法九条をさらに形骸化するものである。廃案を強く求めるとの声明を出しました。
二〇〇〇年の地方自治法改正では、国と地方自治体の関係を上下主従の関係から対等協力に転換するとして、従来の機関委任事務を廃止し、地方自治体の事務を法定受託事務と自治事務に分けました。
その中で、国の地方自治体への指示権は、個別法に規定された法定受託事務に限られましたが、今回の改定では、自治事務にも国の指示権行使を可能とするもので、分権から集権への逆流となっています。
大規模な災害、感染症の蔓延その他、その及ぼす被害の程度において、これらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、または発生するおそれがある場合に、閣議決定で、住民の生命財産を守るために必要があるとすれば、自治体に指示を出し、義務を課せるようにするものです。
災害や感染症を例示していますが、その他、これらに類するなど、事態の範囲は極めて曖昧です。
日本共産党が行った総務省のヒアリングでも、その他については、指示などの対象が、特に事象を限らず、想定外の事態が起きたときに対象になってくるとの説明で、大規模な災害、感染症の蔓延についても定義がない、さらに、発生のおそれがあるなど、判断は全て政府に委ねられ、国会にも諮らず、閣議決定で決められるものなのです。
新型コロナへの対応で、世田谷区はPCR検査の抜本的な拡充に踏み切りました。当時、日本共産党世田谷区議団も、都議会議員、国会議員と共に厚生労働省に、国として世田谷モデルのようなPCR検査の抜本的拡充をと要望しましたが、世田谷区などの自治体が積極的に進めてきた政策を、国が後から取り入れました。
世田谷区では、積極的なPCR検査で無症状の感染者をいち早く見つけ出し、クラスターをつくらない、重症化を防ぐことにつながりました。
札幌医科大学の発表した統計によると、比較できる二〇二二年九月一日現在で、人口百万人当たりの都道府県別死者数は、全国平均で三百二十一・七人、東京は三百八十一・二人です。世田谷では実数で二百五十三人、百万人当たりで計算すると二百七十六人と、全国平均、東京都の数字を大きく下回っています。
事態は現場で起こっています。震災のときにも、被災自治体の首長さんたちは、現場の状況が分からない政府が口出しするのではなく、自治体に権限を委譲してほしい、自治体の判断で次々と対策が打てるように、予算と人を回してほしいと国に求めています。
緊急事態においてこそ徹底した分権化を図り、むしろ自治体が司令塔になって、第一義的に事態に対処すべきです。求められるのは、危機管理の国への集権化ではなく、危機管理の現場化・地域化です。
今回の地方自治法の改定は地方自治の本旨に反し、団体自治を破壊する、さらに自治体を丸ごと戦争体制に組み込むものではないですか。地方自治法の改定について区長の見解を伺います。
次に、マイナ保険証についてです。
マイナ保険証の登録者数は全人口の六割弱、四月の利用率は六・五六%です。なぜマイナ保険証の利用率が上がらないのか。最大の理由は、メリットを感じず、制度に不安があるからではないでしょうか。
メリットの一つに、情報提供に同意することで、過去に処方されたお薬や特定健診などの情報を医師、薬剤師にスムーズに共有することができますとありますが、マイナ保険証の医療情報は、診療報酬明細書、レセプトという医療費の請求データが基になっており、レセプトがマイナ保険証のデータとして反映されるのは、診療を受けた月の翌月十一日以降、閲覧可能となるまで、長いと一か月半かかることもあるということです。データが常に更新されているわけではありません。
厚生労働省は、本年十二月二日の保険証廃止までの間に、より多くの国民にマイナ保険証の利用体験を持っていただくためとして、医療機関、保険者、経済界の代表が集う日本健康会議で四月二十五日、マイナ保険証利用促進宣言を行い、医療機関、薬局、保険者、事業主、行政など、医療に関わる全ての主体が一丸となってマイナ保険証の利用促進に取り組み、とりわけ五月から七月は集中取組月間として総力を挙げて取り組むとしています。
五月十七日の記者会見で、河野太郎デジタル担当相は、マイナ保険証の利用率が低迷したままでも、現行の健康保険証を十二月に廃止するかを問われ、十二月二日の予定は変更ございませんと言い切りました。
資格確認書交付事務や、そのためのシステム改修も、保険者、世田谷区にも負担がかかります。マイナンバーカードがつくれない要介護者や、高齢者施設での保険証の管理の問題など、全く解決していません。日本共産党は、マイナ保険証への一本化を進めることに反対し、紙の保険証の廃止撤回を求めます。
そこで伺います。世田谷区における国保加入者のうち、マイナ保険証所持率と利用率をお聞きします。
五月から七月はマイナ保険証の利用促進のための集中取組月間ですが、世田谷区としてどのような対応を取っているのか伺います。
電子版お薬手帳では、マイナポータルに登録されている薬剤情報、調剤情報、処方情報を取得し、閲覧することができますとされています。しかし、医療機関への受診状況や薬の処方などに関する情報がすぐには反映されない、制度上の問題があり、紙のお薬手帳なら確認できた、ほかの薬との飲み合わせ、重複して無駄になるお薬も確認できない場合があります。現在のお薬手帳の重要性をどのように受け止めますか。利用者のことを考え、改めて国にマイナ保険証の一本化をやめるよう要望を出すことを求めます。見解を伺います。
次に、高齢者の安心につながる終活支援についてです。
読売新聞が、政令市など主要自治体計七十四市区に実施したアンケートでは、東京都品川区や福岡市など十六市区が無縁遺体を一か月以上保管したことがあると回答、長期保管が各地で相次いでいる実態が浮かび上がったと報道されました。
昨年、名古屋市では、引取り手のない住民十三人の火葬対応を怠り、二遺体が二年以上にわたって放置されていたことが判明したと発表されました。
身寄りのない人が亡くなった後、遺体の引取り手がなければ、火葬などは自治体が行うことになっています。高齢化が進み、ひとり暮らしの世帯も増える中で、運用は自治体ごとに異なっており、専門家などからは、国に指針などを設けるよう求める声が上がっています。
厚生労働省は、引取り手のない遺体や遺骨の自治体の取扱いについて、初めて実態調査に乗り出すことになったそうです。
身寄りのない遺体の取扱いの基準など、世田谷区の対応はどうなっているのか、また、その費用については年間どの程度発生するのか伺います。
東京都によると、都内のひとり暮らしの高齢者は増えていて、病気になったり亡くなったりした場合に、医療や葬儀などで本人の希望が分からず、対応に困るケースが生じているということです。そこで東京都は、人生の終わりへ向けた準備を行う終活を支援しようと、専用の相談窓口を設置した区市町村に対し費用の一部を補助することになりました。
これは、家族や親族がいない、または、家族や親族がいても、それらの者から必要な支援を受けることができない高齢者または障害者が、日常生活を送る上で将来生じるであろう医療、福祉等に関する諸問題に関し、高齢者等が将来にわたり安心して地域で生活を送ることができるよう、必要な相談対応や情報提供を行うことにより、本人の希望に基づき、自分らしく安心して人生の終えんを迎えるための支援を行うことを目的とし、体制整備を行う区市町村を支援するものです。
豊島区では、二〇二二年に終活情報登録事業を始めました。緊急連絡先や遺言の保管場所などを区に登録しておき、亡くなった場合などには、事前に指定した親族や友人などに情報が伝えられる仕組みです。
ひとり暮らしの高齢者の終活は新しい分野であり、社会問題となっています。東京都の制度を利用して、高齢者の不安解消のためにも、他自治体の先進例を参考に、スピードを速めて制度の実現に取り組んでいただきたい。見解を伺います。
最後に、新庁舎のトイレ事情についてです。
新庁舎に引っ越して、女性議員から一番に不満が出たのは、フロアのトイレの個室数が少ないということでした。これまで、女性のトイレの個室は四つありましたが、男女兼用の多機能トイレが一つ、個室は二つになりました。
公共施設などでの女性トイレの増設は長年の問題です。国土交通省は、二〇一七年に女性が輝く社会づくりにつながるトイレ等の環境整備・利用のあり方に関する取りまとめとする文書を出し、女性トイレの行列の原因は、利用者数に見合った個室数となっていないことを挙げ、個室の数を増やすことが最も効果的と明記しました。
公共施設のトイレの面積は、男女で同じところが多数です。そのため、全て個室である女性の便器数は少なくされているのが現状です。日本のトイレの多くは、空気調和・衛生工学会の基準で設置されています。同基準は、利用者の人数が男女同じなら、男性の小便器と個室の合計数と女性の個室数はほぼ一対一でよいとします。
しかし、中日本高速道路の調査では、男性が小便器を利用する時間が平均三十七・七秒であったのに対し、女性の個室トイレの平均利用時間は約九十三・一秒で、女性が男性の二・五倍です。中日本高速道路は、女性用個室を二倍以上に増やしました。
山口県萩市は、公共施設について、女性用個室は男性用小便器の二倍という基準を設けたそうです。
日本でも、災害時の避難所についての指針で、女性のトイレは男性用の三倍という基準を打ち出しています。人道支援の国際基準です。この考え方は公共施設のトイレにも共通します。
窓口職場における区民の皆さんの使い勝手のみならず、毎日働く職員の皆さんの声を聴き、今後に生かすこと。公共施設の女性トイレは男性の三倍必要です。庁舎の今後の工事で、設計の変更を可能な限り行うべきと考えます。見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
坂本議員にお答えをいたします。
地方自治法についての見解でございます。
今回の地方自治法の改正案では、個別法で対応できない事態が発生し、国民の生命等の保持のために特に必要な場合に、国が地方公共団体に対し、閣議決定を経て、必要な指示権が行使できるものとされております。
今回の改正案では、これまで対等協力とされていた国と地方自治体の関係が、従前の上下主従に戻るおそれがあります。
また、議員御指摘にあったように、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の範囲が大変曖昧であり、例えば、大規模災害時に被災自治体から権限の移譲や予算措置など、これまで国に求めてきたことと異なる方向に向くのではないかと危惧をしております。
必ずしも緊急の事態、地方自治法ではパンデミックと災害、大規模災害時ということは例に挙げられているのですが、よくよく政府の見解を聞いていくと、いわば個別法に国が関与する仕組みがない個別法は多いのですね。
だから、森羅万象いろいろな領域で、この事象には国が関与する個別法はない、そして、この重大なおそれがあるというときに、閣議決定で、いわば決められる。それに対して、協議はあるとしても、自治体は従わなければいけない。例えば職員を派遣しなさいということに対して派遣をするということになりますが、では、いついかなるときに、こういった強い権限が行使されるのか、それはやってみなければ分からない、想定できないことは想定できませんというのが答弁なのですね。
こういうことではですね、いわば白紙委任法に近い、つまり、国の自治体へのいわば指示ができる事態に対する関与が白紙委任である、こういう法律の構成はいかがなものだろうかと。
コロナ禍での対応を振り返っても、厚労省の数多い通知を参考にしながら、つまり、国の指示や、やはり現在も技術的助言とされていますが、かつては通達でした。通達は、もうこれは絶対従わなければいけない。これは二〇〇〇年の分権改革で、いわば通知に変わっているわけですね。
とはいえ、コロナ禍の通知も、かなり詳細に読み込んで、担当所管も、これはやろう、これは待とうというふうにやってきているわけで、その中で、さらに改善ができないかという自治体からの様々な案や、厚労省との協議ということをやってきたことを振り返ると、コロナ禍を例に取りながら、何か別の意図があるのではないかということを、私は感じているところであります。
つまり、非常に幅広い、いわばどんな領域でも、おそれというだけで、何か重要な事態だというふうに断じたときに、自治体はそれに対する指示に対して絶対服従というような内容になっているということは、非常に危惧を感じます。
今回の改正の審議の動向を注視し、多くの自治体から同じような考えが国会の審議に届けばと願いながら、私自身も発信していきたいと思います。
二点御答弁いたします。
まず、お薬手帳と国民健康保険証についてです。
お薬手帳は近年、電子版お薬手帳として様々なアプリがあり、令和四年度に国が示した電子版お薬手帳のガイドラインでは、マイナポータルとの連携が望ましい機能の一つとして推奨され、利用者は服薬状況をより一元的、継続的に把握できることから、今後の普及が期待されております。
一方で、高齢者などスマートフォンの操作に不慣れな方には、引き続き紙のお薬手帳も利用できると国のガイドラインで示されており、区は、電子版と紙のそれぞれの利点を生かして、お薬手帳の普及啓発をしてまいります。
現行の健康保険証については、本年十二月一日をもって廃止されることになりますが、発行済みの世田谷区国民健康保険証については、令和七年九月三十日まで有効となります。
区は、マイナ保険証を持たない方も、これまでどおり必要な保険診療等を受けられるよう、資格確認書を、国保証の有効期限までに、申請によらずに送付する準備をしております。
次に、高齢者の終活についてです。
いわゆる終活は、自分らしい人生の最期を安心して迎えるための準備として、昨今、関心が高まっていると認識をしています。
終活相談は、葬儀の方法や家財道具、遺品の整理といった一般的な相談から、遺産相続など、弁護士や司法書士等による専門的な相談に至るまで、広範で複合的な内容に対応することが求められることから、担い手となる事業者の体制整備が課題であると考えています。
今年度より東京都が実施します単身高齢者等の総合相談支援事業を実施している他自治体の実施状況も踏まえ、高齢者の不安解消に向けて、お一人お一人の尊厳を重視し、価値観を尊重した相談ができる仕組みについて検討をしてまいります。
以上です。
私からは、世田谷公園を中心に、平和都市宣言四十周年を見据えた取組をとの御指摘についてです。
区では、四十回目の終戦の日に当たる昭和六十年八月十五日に平和都市宣言を行い、その翌年、周辺に戦跡が多く点在する世田谷公園内に、平和都市宣言全文を刻み込んだ「平和の祈り」と題するモニュメント像を設置しました。
また、宣言から五周年には平和の灯の設置、十周年には被爆二世の木の植樹、三十周年には玉川小学校の平和資料室を平和資料館として開設をしたところです。
このように、世田谷公園は平和の振興において象徴的な拠点となっております。公園内にある平和資料館では、令和三年度から、平和のモニュメントを巡るスタンプラリーの実施をはじめ、近隣の商店街や大学等と連携したイベント、青空図書館に参加するなど、平和について積極的な発言を行っております。
来年は、戦後八十年となります。戦後七十年に開設した平和資料館に対する期待と果たす役割は非常に大きいと認識をしております。
平和都市宣言四十周年に向けて、世田谷公園を中心とした記念イベントや企画展等を今後検討していくとともに、平和都市宣言にある戦争のない平和な社会を実現していくことを希求し、今後も後世に伝えてまいります。
以上です。
私からは、土地利用規制法について二点、初めに、土地利用規制法に基づく個人情報の開示についてお答えいたします。
重要土地等調査法第七条においては、土地等利用状況調査のために必要がある場合においては、関係行政機関の長等に対して、注視区域内にある土地等の利用者その他関係者の氏名または名称、住所等の提供を求めることができるとされており、規定による求めがあったときは、関係行政機関の長等は情報提供するものとなっております。
また、国は、本法律に基づく基本方針において、収集した個人情報は、内閣府が一元的かつ適正に管理し、個人情報保護法を遵守し、必要な情報漏えい対策を講じるなど、厳格な管理を徹底することとしております。
区といたしましては、国から情報提供を求められた際には、利用目的や調査項目を区の外部提供の基準で審査し、国籍などの条例要配慮個人情報等が含まれる場合には、情報公開・個人情報保護審議会に報告するなど、法令等に基づき適切に対応してまいります。
続きまして、三宿駐屯地ではなく池尻の衛生学校が指定されたことについてお答えいたします。
重要土地等調査法の注視区域につきましては、関係行政機関の長との協議及び本法律に基づく土地等利用状況審議会に意見を聞き、内閣総理大臣が指定するものでございます。
議員御指摘の池尻の注視区域につきましては、衛生学校が指定事由となっておりますが、同じ敷地内に三宿駐屯地及び自衛隊中央病院が位置しております。
重要土地等調査法の注視区域の指定事由につきましては、内閣府に確認したところ、基本的に一つの敷地に対して一つの事由としており、衛生科部隊の運用等に関する調査研究施設である衛生学校を指定事由にしたと聞いております。
なお、当該敷地のように、一つの敷地に複数の施設や機能が位置するケースはよく見受けられ、例外的な位置づけではないとのことでございます。
以上でございます。
私からは三点、まず、国保関連二点について御答弁いたします。
令和六年三月の国民健康保険加入者約十六万四千人のうち、約七万三千人がマイナ保険証を所持しており、所持率は約四五%、マイナ保険証利用率は約七%です。
国は、本年十二月二日の保険証廃止までの間に、一人でも多くの方にマイナ保険証の利用体験を持っていただくため、五月から七月を集中取組月間とし、国、医療機関等、保険者、経済界が一丸となって利用促進に取り組むこととしております。
区では、ホームページや区民に個別に送付する限度額適用認定証の案内への記載に加えて、七月に発付する国民健康保険料納入通知書に同封する国保のしおり、国保だよりにおいて、マイナンバーカードを保険証として利用するメリットを周知してまいります。
次に、身寄りのない方の御遺体への対応についてです。
区では、身寄りがない方、または身寄りがあるかどうか分からない方が亡くなった場合、東京都が作成している行旅病人、行旅死亡人及び墓地埋葬法第九条、事務の手引に基づき対応しています。
令和五年度の行旅死亡人及び墓地埋葬法の取扱い件数は三十七件で、火葬及び埋葬にかかった経費はおおむね八百五十八万円です。費用のうち、御本人が加入する健康保険組合の葬祭費から二百三十万円、御本人の遺留金品から二百六十万円、火葬後に判明した親族から百十二万円を御負担いただいており、残りの二百六十万円程度を東京都へ請求しております。
私からは以上です。
私からは、新庁舎の女性トイレの個室数について御答弁いたします。
施設のトイレに設置する衛生器具数の設定に際し、一般に多く用いられている基準として、公益社団法人空気調和・衛生工学会の衛生器具の適正個数算定法がございます。
この基準では、庁舎や劇場、駅といった建物用途ごとで異なる利用特性に応じて、利用人数、占用時間、待ち時間の評価尺度により、男女トイレごとの衛生器具の適正個数の算定方法を定めています。
本庁舎等整備における女性トイレの衛生器具数も、この基準に基づき、フロアごとに想定する職員数と来庁者数より適正個数を算定し、設置しています。
例えば、一期工事で完成した区民会館全体では、女性トイレの個室数は、基準十七個に対し二十八個を設置し、また、二期棟に整備する区民窓口エリア全体では、基準二十四個に対し三十二個の設置予定でございまして、全体としては余裕のある計画と認識しております。
このほか、各階にはユニバーサルトイレを機能別に複数配置し、区民利用の多いフロアにはジェンダーフリートイレを計画するなど、多様化するトイレ利用のニーズに対応できるよう、トイレ機能の分散化を図っています。引き続き誰もが働きやすい職員の労働環境の整備、また、ジェンダー平等の視点を常に持ち、本庁舎等整備を進めてまいります。
以上でございます。
土地利用規制法について区長にお聞きします。
今度、土地利用規制法で注視区域に指定されている住民の皆さんに対しては、広報紙で、ここが指定されましたよ、三宿が指定されましたよとか出ましたけれども、内閣府のホームページを奥深く潜っていかないと、どこの地域が指定されているのかというのは、住民の皆さんには分からないような仕組みになっています。
住民説明会も行われないということですし、本当に自治体に対しても、何が機能阻害行為なのかということも知らされないまま、個人情報だけ開示しろという大変ひどい仕組みなのではないかと思います。土地利用規制法についての区長の見解を伺います。
再質問にお答えをいたします。
土地利用規制法については、政経部長が答えたとおりの仕組みになっておりまして、これについて、では、どこの範囲でそのゾーンが規定されているのかということが、区民に必ずしも周知されていないと。一方で、それぞれの強い、個人情報の提出というようなことがあるということで、区民に対して、こういう法律があり、このゾーンでこういうふうになっているという内容を正確に伝える役割は必要かと思っておりますので、担当所管とよく相談して決めたいと思います。
では、最後に平和の問題についてお聞きします。
平和都市宣言四十周年を見据えて、ぜひ次代を担うような子どもたちに、この宣言の大切さというものを伝えていっていただきたいということを最後に要望して、質問を終わります。