決算特別委員会 令和6年10月02日(企画総務)

2024/10/02

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質問項目

質問

提案型プロジェクトチーム制度について

坂本みえこ 委員

 日本共産党の企画総務領域の質疑を始めます。

 まず、新たな行政経営への移行実現プランの人材育成に関わる取組の一つ、提案型プロジェクトチーム制度についてお聞きします。

 この制度は、柔軟な組織運営の構築と職員の経験学習機会の充実を図ることを目的とし、能力やスキルを生かし、企画、立案から事業実施までの一連を経験できるとしています。約半年という期間でプロジェクトのゴールをどう設定していくのか、スケジュールと仕事量を適切に示していくことが必須ではないでしょうか。今の時点でプランニングはどこまで進んでいて、ゴールは見えているんでしょうか、伺います。

斉藤 官民連携・行政手法改革担当課長

 今回、本制度で実施する九プロジェクトについては、実施の理由や活動の概要、想定スケジュールを各プロジェクトごとに企画書として提出し、区長を本部長とする新たな行政経営の移行実現推進本部においてプロジェクトの選考を行った上で、メンバーを募集しております。今年度は半年という短い期間ではありますけれども、庁内から集まった各メンバーの新たな発想も生かしながら、各プロジェクトが目指す成果を上げていけるよう伴走支援を行ってまいります。

坂本みえこ 委員

 それぞれのプロジェクトのメンバーは庁内に固まっているわけでもない中で、具体的に会議を行うのはオンラインが主体になることが考えられますけれども、せっかくチームになっていても、オンラインだけでは情熱が伝わらない、リアルで話し合うことで生まれる信頼も大きいと思います。プロジェクトによって対応は違うと思いますけれども、対応する所管課のほうで信頼を深める工夫や能力を生かす工夫についてどのように考えておられますでしょうか。

斉藤 官民連携・行政手法改革担当課長

 委員御指摘のとおり、各メンバーは庁内の様々な部署から集まり、一定の期間の中で目標達成に向けた活動を行うことになります。プロジェクトを効果的に進めるためには、チーム内のコミュニケーションも重要な要素と考えております。各プロジェクトチームでは、事業のオリエンテーションを対面で実施したり、実際に現場への視察を行いながらアイデアを議論する場を設けるなどして取り組んでいるところです。

 一方で、チーム内の資料作成や情報共有はコミュニケーションツール、チームズを活用し、離れていても作業や進捗確認ができるよう効率化を図っております。限られた時間の中、目標達成に向けて各メンバーが協力し、能力を発揮できるよう工夫しながら、各プロジェクトチームを運営してまいります。

坂本みえこ 委員

 プロジェクトの半年後の結果をもって今後の方向が決まってくると思いますけれども、若い職員の能力を生かす取組は待ったなしの課題でもあると認識しています。プロジェクトの途中経過、仕事が楽しめている様子、区民に喜んでもらえる仕事のやりがいなどを全体に返していくことも、この取組を一過性のものにせず、バージョンアップさせていく上でも重要ではないでしょうか。見解を伺います。

斉藤 官民連携・行政手法改革担当課長

 各メンバーは公募により募集しており、希望するプロジェクトに自ら応募し参加していることから、それぞれが意欲を持って活動を行うことを期待しております。職員が意欲を持って活動を行う様子や公務員としての仕事のやりがいを庁内に発信するため、プロジェクトチームの活動の様子や検討状況は庁内報や職員向けポータルサイトに定期的に紹介する場を設けていくことを考えています。今回のプロジェクトチームによる活動を積極的に周知することで、庁内の人材育成への機運、それから、職員の挑戦意欲の醸成を図り、次年度以降の活動にもつなげていきたいと考えております。

坂本みえこ 委員

 このプロジェクトの成功には、対応する所管課、送り出す元職場、それぞれに余裕があることが必要だと思います。週四時間の時間内の活動の穴を埋めるのに元職場に迷惑をかけることにならないのか、プロジェクトメンバーの個人負担として残業ありきなのか、対応する所管課のほうも、迎え入れるに当たって新しい仕事をする負担が伴うことになります。十分にプロジェクトメンバーの能力を引き出し、人材を育成しようとするなら、やりがい搾取にならないような余裕が求められると思います。対応する所管課は、やらねばならないプロジェクトはあるが、人手が足りなくてできないので、この企画に手を挙げたという側面もあるのではないでしょうか。送り出すほうの職場は、残業が蔓延している場合には、さすがに上司も、よし、行ってこいとは言えない、若い職員もやってみたいという気にもならないかもしれません。余裕のない職場で埋もれてしまう若い人を生まないような人員体制の強化が必要だと思います。官民連携・行政手法改革担当課として、プロジェクトを伴走していくに当たって、新たな負担をどう解消していくのか、人員体制の点についてもお考えをお聞かせください。

斉藤 官民連携・行政手法改革担当課長

 本制度は、新たな行政経営への移行実現プランに掲げる取組の一つとして実施しております。取組の背景として、特別区採用試験の応募者数の減少や若手職員の早期退職などの課題がございます。庁内に向けては、職員の経験学習機会の拡充という本制度の趣旨を説明した上で、ぜひ参加の後押しをしていただきたいと依頼しているところです。また、プロジェクトへの職員の参加は、本務職場の職務との両立が前提となるため、所属長への確認を必須とし、週の活動時間の制限を設けております。各プロジェクトにおける業務時間の管理を行いながら、プロジェクト所管課とメンバーの本務所属の間に立ち、伴走支援を行ってまいります。

坂本みえこ 委員

 若い職員のやる気を引き出す点でも、人員体制の問題は避けて通れないと思います。余裕がなければ、いいアイデアも浮かびません。引き続き体制の充実を求めていきます。

図書館職員の人事について

坂本みえこ 委員

 次に、図書館職員の人事について伺います。

 先日の都政新報に、区立図書館、司書は全て非正規、勤続二十年も給与上がらずという記事が掲載されていました。司書資格を持った方が事務職として区役所の図書館に異動し、働くことはできても、必ずしも図書館だけで働くことは約束できません。図書館司書として能力を生かそうとすれば、会計年度任用職員として働くか、委託先の職員として働くしかありません。会計年度任用職員では長く働いても給料は上がらず、立場上、十分に司書資格が生かし切れないこともあると思います。

 日本図書館協会は、二〇二二年一月に会計年度任用職員に関する提言の中で「安定した雇用と良好な労働条件は、図書館職員に必須である経験と知識の蓄積にとって必要なもの」「『司書』としての常勤職員(正規職員)を配置するべき」と述べ、さらに、二〇二三年五月には図書館非正規職員の処遇についてのお願いの中で「図書館の進歩発展のためには、そこで働く職員が、安定的な雇用条件の下で長期間働き続け、知識と経験を蓄積し、地域固有の課題と利用者の要望の理解に基づいた図書館サービスを提供することで、利用者に信頼される存在であることが基礎であるといえます」と述べています。令和六年三月の第三次世田谷区立図書館ビジョンでは「直営の区立図書館においては、人材育成が課題であると指摘されており、司書資格者についても、将来的に減少が見込まれ、人材育成にとどまらず、計画的な人材確保について検討すべき時にきています」とあり、令和五年度の有資格者は、五十歳代が全体の四七%、再任用職員を合わせると八五%となっていて、図書館司書の有資格者を一定数確保しなければ図書館の質の維持は困難な状況となると指摘しています。

 都政新報の記事では、特別区の公立図書館で司書として働くAさんという方が、地域のため、未来のために司書を正規職員として採用し、その立場を保障してほしいと述べておられます。世田谷区でも図書館司書を専門職として区独自で雇うという方向にかじを切れないでしょうか、伺います。

山田 人事課長

 図書館に配属される事務職の常勤職員に採用されるためには、特別区統一採用試験に受験して、合格する必要がございます。事務職としての採用となりますので、図書館に配属されることはありますけれども、司書資格があるからといって図書館のみの配属になるということではなく、区民サービス向上のために様々な職場に異動して経験を重ねていただくことになります。

 図書館司書を専門職として区独自の採用というお話でございますけれども、そちらについては困難でございますけれども、特別区経験者採用選考の受験資格が今年度から緩和されましたので、図書館嘱託員を含めました会計年度任用職員に対しまして選考実施を案内してまいります。

坂本みえこ 委員

 計画的な司書資格者の確保なしには、図書館の質の維持は困難です。抜本的な改善が求められることを指摘して、質問者を替わります。

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