決算特別委員会 令和6年10月07日(福祉保険)

2024/10/07

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質問項目

質問

手話言語の問題について

坂本みえこ 委員

 まず、手話言語の問題について伺います。

 今年四月一日から世田谷区手話言語条例が施行されました。手話が言語であることの理解促進を進め、手話を必要とする方の権利が尊重される地域共生社会の実現を目指すとしています。ホームページを見てみますと、基本理念、取組、デフリンピックのことなどに加え、添付ファイルがあります。文字による手話言語条例と音声版の手話言語条例です。音声版は画面が真っ黒で、手話言語条例の条例文がナレーションで流れます。しかし、手話による手話言語条例の動画がありません。

 手話は言語であることの理解促進を進めるとしているのに、ホームページを見に来た聴覚障害者の方はがっかりするのではないでしょうか。生まれたときから、あるいは言語理解のできていない幼い頃に聴覚に障害を持たれた方は、日本語の読み書きが不得意な方もおられます。私たちが中学や高校、大学まで含めて六年とか十年とか英語に触れていても読み書きが堪能でない場合があるように、日本語が不得意な方も、聴覚障害者の中にはおられるわけです。文字で読めればいいわけではないんです。

 視覚障害者のための音声版はあるのに、なぜ聴覚障害者のための手話の動画がないのでしょうか。手話の動画こそ必要だと思います。見解を伺います。

宮川 障害施策推進課長

 世田谷区手話言語条例は、手話に対する理解を促進し、手話を使いやすい環境の整備等を進めることを基本理念に定めています。現在、区ホームページにおいて、テキスト形式及び音声により条例の周知を行っているところです。

 手話は、文字や音声によらない非音声言語であり、手話を第一言語とする方にとって、手話動画による情報は大切と考えています。

 今後、聴覚障害の当事者団体等からの御意見をお聞きしながら、手話言語条例の動画による情報発信について検討してまいります。

坂本みえこ 委員

 すぐにでも検討するように、お願いします。

シルバーパスの問題について

坂本みえこ 委員

 次に、シルバーパスの問題について伺います。

 昨年の決算特別委員会でもシルバーパスを東急世田谷線も対象にしてほしい、東京都に申し入れていただきたいという質問をいたしました。今年に入って、世田谷区のほうから東京都に出向き、担当所管との意見交換を行っていただいた、担当者同士の話合いの場は初めてと伺っております。

 この夏、東京都知事選挙が行われた際に、小池都知事の公約の中にシルバーパスの改善が盛り込まれました。東京都の担当の福祉局高齢者施策推進部在宅支援課に具体化は進んでいるか聞いてみましたところ、知事の公約は認識しているが、どう実現していくかはまだということでしたので、世田谷区の担当者がそちらに伺って意見交換をしていると思いますが、世田谷線をシルバーパスの対象にしてほしいんですよねと言ってみたところ、電話対応をしてくださった方が直接意見交換に参加されていたということで、すぐに話が通じました。直接意見交換をしたことで担当者の認識となっていた。やはり一般的に都が行っている自治体向けのシルバーパスに関する調査で伝えるだけでは、簡単には変わりません。

 先日、聴覚障害者の方と東急電鉄にデフリンピックのことなどで申入れに行ったときに、世田谷線の下高井戸と三軒茶屋の駅で出発のベルが聞こえないので発車時刻を表示してほしいという要望をしたのですが、東急からはこういう答えでした。

 世田谷線は、どちらかというとバスだと思っていただければいいと思います。路面電車はいわゆるバスなんですね。なので、車と同じ法律にのっとって運行しています。世田谷線ってバスと一緒なんですよね。見た目、電車なんです。鉄道と一緒ですけれども、全くシステムが違っていて、道路を走っている車と同じぐらいのイメージで考えていただければ。よくバスを利用されるときも、バス停の表示で、いわゆるバスの位置が今ここですよっていう表示が主流だと思うんですけれども、こちらのシステムしか導入できないという事情がございますというお話でした。電車のホームにあるような、何時何分に発車するという表示が法律上できないということを答えてくれたんですが、世田谷線は電車ではなく、バス。システム上、バスと同じだということです。

 この都知事の公約を盾に、引き続き世田谷区のほうからシルバーパスを東急世田谷線も対象にしてほしいとプッシュしていただきたい。この間の経過、そして見解を伺います。

佐藤 高齢福祉課長

 シルバーパスの東急世田谷線への対象拡大については、これまでも区民の方々から要望をいただいていることから、都が行っている自治体向けのシルバーパスに関する調査などの際に、その旨を伝えているところです。

 委員御指摘のとおり、先般の東京都知事選における小池知事の公約の中にシルバーパスの改善ということが示されておりますが、現時点におきましては、東京都よりシルバーパスに関する制度変更の情報は得ていない状況です。

 シルバーパス事業につきましては都の事業であるため、令和六年一月に東京都の担当所管と打合せし、東急世田谷線をシルバーパスの利用対象交通機関に適用するよう直接申入れを行っているところではありますが、引き続き、東京都の担当所管に対し申し伝えてまいります。

坂本みえこ 委員

 小池都知事はシルバーパスに関して、多摩都市モノレールのシルバーパス適用も個別に公約に掲げています。東京都シルバーパス条例第二条は、東京都は、この条例及びこの条例に基づく東京都規則の定めるところに従い高齢者がパスを利用することにより一般乗合旅客自動車(東京都交通局が運行する電車、地下高速電車及び東京都日暮里・舎人ライナーを含む。)に乗車できるようにする事業を行う者として、知事が指定するものに対し、その事業の実施に必要な支援を行うものとするとあります。

 条例の改正の際、この一般乗合旅客自動車の括弧書きの中に、多摩都市モノレールとともに世田谷線を書き込む、この機会を逃がさない、機敏な対応が世田谷区に求められていると思います。世田谷線は路面電車です。路面電車は軌道法という法律の管轄下にあり、鉄道業法に基づく一般の鉄道とは明確に区別されています。東急電鉄側も、世田谷線はシステム上、バスと同じと言っているわけですから、東京都の担当者を納得させてください。

 引き続き、世田谷線をシルバーパスの対象にしてもらえるよう、高齢者の外出の機会を保障して健康維持できるよう、都知事選挙後のこの機会を逃がさず、東京都に働きかけてくださるよう要望します。

補聴器購入費助成について

坂本みえこ 委員

 次に、補聴器購入費助成について伺います。

 令和六年四月から、補聴器購入費助成制度が始まりました。世田谷区の取組は、十八歳以上の若い方も対象となり、全国を牽引するものとなっています。しかしながら、六十五歳以上の高齢者のための助成は前年度の住民税が非課税世帯の方に限られることから、私どものところにも、対象を広げてほしい、非課税枠をなくしてほしいとの声が寄せられています。品川区、荒川区、新宿区、豊島区、足立区、練馬区、港区、杉並区は既に住民税課税の方も助成の対象になっています。品川区では制度発足後半年で非課税枠を外し、今年四月より制度を拡充しています。

 世田谷区でも非課税枠を外して制度を拡充することが求められているのではないでしょうか、見解を伺います。

佐藤 高齢福祉課長

 区は、聴力が低下している高齢者が補聴器を装用することで周囲とのコミュニケーションを確保し、日常生活の質を高めることを目的として、住民税非課税世帯の方を対象に高齢者補聴器購入費助成事業を今年の四月から実施しております。

 この九月までに千件を超えるお問合せをいただいており、百十五件の交付決定をいたしました。お問合せいただいた方の中には課税世帯の方も少なくなく、対象拡大の御要望をいただくこともございました。

 今後、助成事業の対象拡大に当たっては、区民間の公平性や制度の持続可能性なども考慮し、他自治体の事例を参考にしながら、対象者の範囲について検討してまいります。

坂本みえこ 委員

 九月までに千件を超える問合せがあったが、課税世帯の方が少なくない。交付は百十五件、予算を大きく下回っているのではないでしょうか。ヨーロッパでは補聴器所有率、普及率が高く、デンマーク、イギリス、ドイツ、フランスの補聴器所有率が二〇二二年のデータで難聴者の四〇%を超えているそうです。それに対して、日本はヨーロッパと比べて難聴者率は大きく変わらないにもかかわらず、補聴器所有率は一五・二%と、ヨーロッパと大きな開きがあります。

 その要因の一つに挙げられるのが公的助成の違いです。補聴器所有率の高い国の多くは補聴器購入費用の公的助成が日本よりも充実しており、個人負担がない、もしくは少なくなっています。北欧諸国やイギリスでは早い段階から補聴器の無償化を実現しています。

 二〇二二年の日本補聴器工業会が行った調査によると、全補聴器所有者のうち、五一%がもっと早く補聴器を使用していればよかったと思っている。その理由は、より快適な社会生活が送れる、より安定した精神状態、よりよい仕事、夕方になっても疲れないというものです。

 また、補聴器使用者の七七%が補聴器を使うようになってから町なかを安心して歩けるようになったと回答しています。車が近づいてくる音などに気づけるようになるからです。そして、九七%の人が補聴器の使用により生活の質が何がしか改善したと回答しています。

 認定補聴器専門店にお話を伺ったところ、三十デシベルでも五十代の方が会議などで支障がないように補聴器を装用するケースもあるようです。中等度難聴の若い方の補聴器購入費助成制度を持つ世田谷区の強みも生かして、対象者の範囲の拡大を改めて要望します。

 さらに、練馬区では、助成後、五年経過すれば再交付可能となっています。世田谷区も制度発足から五年経過する前に、補聴器の買替え時にも使える、さらなる助成を検討するよう要望します。

難聴予防について

坂本みえこ 委員

 次に、難聴予防についてです。

 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が聴こえ八〇三〇運動という難聴啓発プロジェクトを行っています。八十歳で三十デシベルの聴力、または補聴器を使用した状態で三十デシベルの聴力を保つ国民啓発活動で、若い方から御年配の方まで皆さんで参加しましょうとされています。三十デシベルは、ささやき声が聞こえる程度です。

 世田谷区の補聴器購入費助成の対象は、耳鼻咽喉科の医師による診察の結果、聴力レベルが四十デシベル以上の方、または片耳が高度以上の難聴の方で補聴器が有効だと認められた方です。四十デシベルは、小さな声や騒がしい場所での会話が聞きづらい、テレビの音が大きいと言われるという程度です。

 難聴の予防を啓発することが必要ではないでしょうか。難聴のリスクには、加齢、中耳炎、髄膜炎などの病気のほかに、生活習慣に起因する騒音暴露、喫煙、そして糖尿病や腎疾患といった慢性疾患が挙げられるそうです。若い人でも知らないうちに聴力低下が進むヘッドホンによる騒音性難聴など、補聴器のお世話になる前に知っておくことで、八〇三〇が実現できるのではないでしょうか。予防にも力を入れていただきたい。見解を伺います。

佐藤 高齢福祉課長

 難聴を放置し続けることで、日常的な聞き取りにくさからコミュニケーション不足や人間関係が疎遠になり、健康にも悪影響を与えるおそれがあることから、補聴器を早期に装用し、慣れ、使い続けることが重要であると認識しています。

 区では、聞こえでお困りの方に、保健センターで言語聴覚士による聴力検査や補聴器の試聴を行う聴覚相談、医師等が区内の施設に出向き相談を行うきこえの相談会を実施しております。

 今後もこうした様々な機会を通じ、より多くの方が早期に補聴器の装用につながるよう、関係所管と連携を図り、普及啓発に取り組んでまいります。

坂本みえこ 委員

 若い人の間では、イヤホン、ヘッドホンで音楽を楽しむのが当たり前となっている中で、まさか難聴になるとは思わないわけですから、高齢者への啓発とともに、若い人にも自分事になるよう啓発していただけるよう要望します。

聴力検査の問題について

坂本みえこ 委員

 次に、聴力検査の問題です。

 高齢者の方から、健康診断の項目に聴力検査を入れてほしいという御要望を伺っています。港区では、医師会と協力して、区内の耳鼻咽喉科全てではありませんが、二十か所の検査実施医療機関で六十歳、六十五歳、七十歳、七十五歳の方が聴力検査を無料で受けることができます。検査の結果を医師から直接聞くことができ、補聴器使用の必要があるとされた方は補聴器購入費助成制度を利用することができます。

 港区医師会によると、自覚がないものの聴力に異常のある人が三割程度いることから、加齢による聴力低下は認知症リスクの一つでもあり、聴力を維持することが生き生きと過ごすために重要という考えで行われているものです。

 北区でも同様に、六十五歳以上の奇数年齢の方が対象で、本人負担五百円、生活保護の方は無料で聴力検査が行われています。さらに、豊島区では、聴力検査ではありませんが、ヒアリングフレイルチェックを実施しています。ヒアリングフレイルとは、聞き取る機能の衰えのことです。みんなの聴脳力チェックアプリを使って、聞こえのチェックを行っています。語音聴取率六〇%未満、大きな声での会話が必要になる方には豊島区医師会の耳鼻咽喉科の案内もします。

 東池袋フレイル対策センター、高田介護予防センターの二か所で月一回ずつ、区内二十二か所ある区民ひろばで年二回。予約が必要ですが、身近なところで六十五歳以上の方は無料で体験することができます。客観的に聞き取る能力を知ることができ、受診につながることができます。要は、きっかけが大事なのではないでしょうか。

 聴力検査が難聴の早期発見につながる、とりわけ自覚のない方に受診のきっかけになり、効果が期待できます。厚生労働省によると、現在、難聴の患者数は約千四百三十万人、国民全体の約一〇%いると言われています。国立長寿医療研究センターが行った老化に関する長期縦断疫学研究によると、難聴有病率は七十五歳から七十九歳の男性で七一・四%、女性で六七・三%、八十歳以上の男性で八四・三%、女性で七三・三%と言われています。

 一方、日本補聴器工業会が行った調査では、難聴を自覚している人の割合は七十五歳以上で三四・四%、有病率が七割なのに対して、自覚がある方が三割と乖離があります。コミュニケーションや認知症の観点から、社会的に孤立してくると鬱状態になる可能性も出てくると指摘されている。有病率と自覚の差を埋めるためにも、聴力検査の機会が与えられる必要があると思います。

 世田谷区でも、高齢者の聴力検査に取り組んでいただきたい。見解を伺います。

桐山 健康企画課長

 耳の聞こえの不調を早期に気づき、早期に対応することは生活の質を維持するために大切なことであると認識しております。

 そのために、まずは御本人が耳の聞こえに関心を持ち、不調に気づいた際には加齢によるものであるから等と自己判断せず、早期に耳鼻科医療機関への受診や、かかりつけ医への相談等を行うことが重要です。

 区では、保健センターが聞こえに不安のある方に対して聴力検査、聴覚相談を実施していることや、あんしんすこやかセンターで実施する事業等での聞こえのチェックシート等を活用したセルフチェックなど、身近な場所での聞こえの確認や相談の機会の拡充に向けて検討を進めているところであると承知をしております。

 保健所といたしましても、引き続き、高齢福祉部など関係部署と情報を共有してまいります。

坂本みえこ 委員

 先ほど紹介した日本補聴器工業会が行った調査では、難聴に気づいてから補聴器を購入するまでに平均で二、三年を要しているという結果が出ています。早く装用することで快適な生活が送れたであろうということも当事者の実感として数字になっているわけですから、自分の難聴の状態を客観的に知る機会は大変重要だと思います。

 豊島区の聴力チェックアプリは誰でもダウンロードできます。私も試しに雑音ありの五十デシベル、少し静かな会話というのを設定してやってみたら、百点満点中三十点しか取れませんでした。雑音の設定で小さい声を聞こうとすると、集中力が必要で疲れます。体も固まって、肩こりの原因にもなると感じました。自分でやると、やり方が正しいのか分からない部分がありますので、豊島区のように慣れた方に機器を操作してもらい、体験できるだけでも安心感があります。

 体験を通じて、結果が悪かったら耳鼻科で検査するきっかけにもなり、助成制度を利用して、補聴器の装用で早めに生活の質を上げて暮らすことができるようになる。それで交通事故を減らしたり、認知症を防いだりすることができれば、これからの人生にも希望が見えてきます。

 他区の例を参考に、世田谷区でも聴力検査を行うことを改めて要望して、質問を終わります。

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